河井 誠 理事長の独自取材記事
あかだクリニック
(大田区/蒲田駅)
最終更新日:2025/04/16

蒲田エリアで在宅医療中心のクリニックを運営してきた経験を生かし「あかだクリニック」を継承した河井誠理事長。もともとは呼吸器内科の出身だが、幅広い患者を診ることのできる総合的な内科の医師をめざして、在宅医療の研鑽も積んできたという。クリニックでは、内科と呼吸器内科の診療を担いながら、専門分野の異なる医師やスタッフをまとめ、地域に貢献するクリニック運営をめざして、日々邁進している。「患者さんやそのご家族と信頼関係を築き、最期まで診てこそ、本来のかかりつけ医の役目が果たせるのです」と、話す真摯な診療姿勢も印象的だ。「呼吸器内科と脳神経外科、在宅医療との連携という当院の特徴を生かしていきたい」と熱く語る河井理事長に、クリニックの特徴や診療にかける思いを聞いた。
(取材日2024年10月16日)
呼吸器内科と脳神経外科に関する専門的な診療を提供
まず、こちらのクリニックの成り立ちを教えてください。

前身は、脳神経外科を中心に、頭痛や脳疾患、認知症の方などを診療していたクリニックでした。先代院長が急逝され、外来診療をお手伝いすることになり、2020年12月に運営を継承しました。今は、呼吸器内科や脳神経外科などを専門とする医師5人が在籍し、それぞれの専門性を生かして診療を行っています。また院内にCTがあり、脳神経外科はもちろん、呼吸器内科でもCT検査ができるのが特徴です。エックス線でははっきりしない影なども明確にわかるので、健康診断で要検査になった方の精密検査も行っています。先代院長時代からのスタッフも残ってくれていて、引き続き通ってくださっている患者さんもいらっしゃいます。
先生のご担当の呼吸器内科ではどのような診療を行うのですか?
病気としては、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、咳喘息、アレルギー性疾患、肺炎、間質性肺炎、気胸、肺がんなどが挙げられます。受診していただきたい症状としては、咳や痰、血痰、息切れ、呼吸困難などです。特に長引く咳は、喘息やCOPDのこともありますし、逆流性食道炎が原因のこともありますので、2〜3週間咳が続いたら医療機関を受診していただきたいですね。またタバコを吸われる方で、咳や痰がひどくなった方はCOPDが疑われます。さらに、家族から睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがある方や日中強い眠気を感じる方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。ご高齢の方に多い誤嚥性肺炎の治療や予防についても、ご相談いただきたいですね。
では、脳神経外科の診療にはどのような特徴がありますか?

脳神経外科を専門とする医師が、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛といったさまざまな頭痛の診療のほか、頭部打撲や物忘れがひどくなり認知症が心配な方、脳卒中が心配な方などの診療を行っています。脳出血や脳梗塞、くも膜下出血などの治療後のサポートも携わっています。大きな病院の脳神経外科に比べて、気軽に受診できるのが特徴ですから、頭痛や物忘れが心配な方はもちろん、頭を打ったり、手足のまひやしびれ、めまい、歩行障害などが気になる方も、遠慮なく来ていただけるのがメリットです。また、女性に多い片頭痛も、医療の進歩により今はある程度コントロールできるようになっています。頭痛に悩まれているなら、専門家による治療を受ける価値はあると思います。
誤嚥性肺炎や認知症に詳しく、在宅医療への橋渡しも
どのような患者さんが多くいらっしゃっていますか?

最近は、健康診断の胸部エックス線写真で異常が見つかり、再検査となった方の受診が増えてきました。ご高齢の患者さんも多くいらしています。当院には物忘れや認知症の専門家である脳神経外科の医師が在籍していますし、私も在宅医療でご高齢の方を多く診てきましたので経験は豊富です。高齢者は、誤嚥性肺炎などの呼吸器内科の病気を患う方も多いですから、安心してかかっていただけると思います。また、高齢になると誰でも認知症を発症するリスクがあるので、かかりつけ医として、患者さんの介護や生活スタイルを全般的に把握していくことが重要なのではないかと思うんですよ。ADL(日常生活動作)が低下したら介護保険を導入したり、誤嚥性肺炎の治療や予防をしたり、施設へ入所するための書類を書いたり、ご家族に生活上のアドバイスをしたり、そういう対応も大事かなと思っています。
先生の診療方針について聞かせてください。
医療機関を受診するのは、誰もが不安やためらいがあったり、壁があったりしますよね。そんな方が思いきって受診されて、来て良かった、安心したと思っていただけるクリニックや診療でありたいと考えています。長いお付き合いの患者さんが亡くなられた時に、ご家族があいさつに来てくださるなど、患者さんやご家族と良い人間関係が築けたなと感じられた時は、良かったと思いますね。また、医師だけでなく、受付スタッフが感じ良く出迎えたり、看護師が丁寧に話を聞いたりすることが、患者さんの安心や満足度につながります。全員の対応で医療の質が決まると考え、スタッフにも全員がチームだと伝えています。
呼吸器内科や在宅医療の経験から、現在気になっていることなどはありますか?

喘息やCOPDなど持病がある方は、風邪やインフルエンザにかかると重症化しやすいので、呼吸器内科を定期的に受診してコントロールするようにしてください。肺炎球菌ワクチンなど予防接種も積極的に受けてほしいですね。また、現在の医療の中では、最期は施設や病院で迎えることが多く、かかりつけ医の手を離れることが多いのが現状です。ご自宅で看取ることも含めて最期までお付き合いするのがかかりつけ医だと思うので、当院が在宅医療の窓口となることによって、かかりつけ医の機能が果たせるのではないかと思います。例えば、高齢になると誤嚥性肺炎のリスクが高まり、誤嚥性肺炎で亡くなられる方も少なくありません。しかし、かかりつけ医が、患者さんの生活や動きの中からリスクを見出して、食事の取り方や介助の方法などをアドバイスしていくと、適切な予防につながると思います。
長いスパンでかかりつけ医としての機能を果たしたい
先生のこれまでのご経歴を教えてください。

千葉大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院の呼吸器内科に入局して、同病院や関連病院で研鑽を積みました。専門は呼吸器内科ですが、幅広く患者さんを診ることのできる内科の医師をめざし、在宅医療にも取り組みました。在宅医療では認知症や脳梗塞など幅広い疾患のある患者さんの全身管理をすることになりますからね。また、この近くで、在宅医療を中心とする「かわいクリニック」を開業し、当院と連携しています。この辺りは昔からお住まいの方も多く、下町っぽさもあって住みやすい地域だと思います。
今後の展望について聞かせてください。
2025年春にCTを先進のものへリニューアルしたので、さらに精密な検査が可能になると期待しています。引き続き、頭痛や認知症などを診る脳神経外科と喘息やCOPDなどを診る呼吸器内科を2つの主軸にして、さまざまな症状に悩む患者さんを診察していきたいです。また、在宅医療の経験を生かし、外来の患者さんが通院ができなくなったら在宅医療につなぐ橋渡し役を果たしていきたいと考えています。通院が難しくなってきた患者さんは在宅医療に引き継ぎ、回復されたら、また当院に通院していただくというような、在宅医療と外来診療をミックスできる環境をつくることで、患者さんやご家族の安心材料になればいいなと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は、一般内科に加え、呼吸器内科と脳神経外科、そして、ご高齢の方などを対象に在宅医療とも連携した診療を特徴としています。風邪や生活習慣病から、喘息やアレルギー、頭痛、物忘れや認知症など、多様な診療に対応しています。長く続く咳や痰、息切れ、喫煙が長くCOPDが疑われる方、慢性頭痛に悩まれている方、花粉症やアレルギー性鼻炎などもご相談ください。脳神経外科では、物忘れの外来も設けていますので、認知症が気になる方や、ご家族の様子が気になる場合も気軽に受診していただければと思います。CT検査も院内でできますし、さまざまな症状や不安に対応できますので、何か心配なことがあれば、まず相談という形でお越しください。