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袋 秀平 院長の独自取材記事

ふくろ皮膚科クリニック

(横浜市港南区/港南台駅)

最終更新日:2021/12/27

袋秀平院長 ふくろ皮膚科クリニック main

外科、内科の両面からアプローチでき、また病理学的な面もあるところに惹かれて、皮膚科の医師になったという「ふくろ皮膚科クリニック」袋秀平院長。「肌だけでなく、髪の毛、爪、口の中など、目で見える部分の異常や違和感は、まず皮膚科に相談してほしい」と、幅広い症状に対応する。常に研鑽を積み「専門の診療科だからこそ持つ新しい知識、豊かな診療経験から、納得いただける説明や治療ができると思います」と語る。穏やかな語り口の中に、皮膚科医としての確かな信念が感じられるドクターだ。クリニックでの診療に加え、高齢者施設や患者宅への往診にも取り組み、在宅医療のネットワークの中でも重責を担う。皮膚科医の立場から地域医療に貢献する袋院長に、診療の特徴や医師としての思いを聞いた。

(取材日2021年11月10日)

皮膚科は、体の表面すべての症状に対応する診療科

まず、こちらの成り立ちや最近の診療について教えてください。

袋秀平院長 ふくろ皮膚科クリニック1

近隣に皮膚科クリニックが少なく、地域の方も困っておられると聞き、1999年に開業しました。港南台は、昔からの団地や住宅地に加え、新しいマンションも多いエリアで、小さいお子さんから、高齢の方まで幅広い年代の患者さんが来てくださいます。新型コロナウイルス感染症が流行し始めた当初は受診控えもありましたが、最近はマスク生活によるニキビや肌荒れの患者さんが増えている感じですね。ストレスの影響なのか、帯状疱疹の患者さんも増えた印象があります。

皮膚科では、どのような症状が対象となるのでしょうか。

湿疹やかぶれといった典型的な皮膚の症状だけでなく、髪の毛や爪、口の中など、皮膚科で診る症状は意外に幅広いのですよ。目に見える部位に違和感がある時は、まず皮膚科を受診していただきたいですね。お子さんがアトピー性皮膚炎になった時に小児科か皮膚科か迷うと聞きますが、私は年齢に関わりなく、皮膚科の受診をお勧めしています。というのも、最近、皮膚科では薬剤の進歩が著しいのです。アトピー性皮膚炎においてもかなり効果が期待できる注射や、ステロイド剤だけでなく今までなかったような系列の外用薬が登場しています。ニキビや、高齢の方に多い足の爪の水虫、あるいは尋常性乾癬や掌蹠膿疱症、化膿性汗腺炎といった治りにくい病気にも適した薬剤が使えるようになっています。薬剤をはじめ、専門の診療科だからこそ持つ新しい知識、豊富な診療経験をもとにした適切な治療を受けられるメリットは大きいと思います。

では、先生の治療方針について聞かせてください。

袋秀平院長 ふくろ皮膚科クリニック2

患者さんの話をよく聞くことを大切にしています。特に初診の方には、どのような時に症状が起きるか、今までどのような時に症状が起きてきたか、今までどんな治療をしてきたか、といったこれまでの経緯を詳しくお聞きします。そして、私からも病気や治療について、できる限り詳しい情報をお伝えしています。専門的な診断に基づいて、どんな病気なのか、何が原因で起きたのか、どう治療していくかを理解していただけるように心がけています。もちろん症状の緩和も大切ですが、患者さんに納得してもらった上で、安心して治療に取り組んでいただくことも重要だと考えているのです。

皮膚科の在宅医療にも対応し褥瘡などの治療を行う

先生は、在宅医療にも取り組んでいるとのことですね。

袋秀平院長 ふくろ皮膚科クリニック3

ええ、通院が難しい高齢の方を中心にご自宅や施設に往診しています。在宅医療を手がける皮膚科の医師はまだ少ないので、依頼が集中しているところはありますね。私の場合、もともと妻が看護師で、介護保険が始まる前から訪問看護に取り組んでいたので、開業したら在宅医療にも対応するのが当然という感じだったのです。また開業時がちょうど介護保険制度がスタートした頃で、訪問看護も盛んになり、ニーズも高まってきたのですね。訪問診療では、どういった病気で在宅医療を受けられているのか、皮膚科では何を診るのかなど、主治医やケアマネジャー、看護師の皆さんに詳しくヒアリングして患者さん一人ひとりにきめ細かな対応を心がけています。

どのような症状の患者さんが多いのですか。

褥瘡(じょくそう)いわゆる床ずれが多いですね。褥瘡はあまり知られていないこともあり、特に在宅医療での対策は遅れていると思います。寝たきりの方は、少しケアを怠ると褥瘡になりやすいのです。原因となる圧力の除去、血行を良くして栄養状態を整えること、適切なスキンケアなどを行えば改善は見込めます。しかしご家族だけで判断して実行するのは難しいので、皮膚科医が在宅医療に参加して治療や指導を行い、ケアマネジャーとも相談して介護保険制度のサービスを利用することも必要です。褥瘡のつらさが減ることでご本人の生活の質が向上し、周囲の方の負担も減ることが期待できます。褥瘡のケアに関心を持つ看護師やケアマネジャーの方は増えているのですが、まだ医師への啓発が足りていないと感じています。

他にはどのような症状があるのでしょうか。

袋秀平院長 ふくろ皮膚科クリニック4

高齢の方や持病のある方のフットケアも課題だと感じています。例えば糖尿病をお持ちで、足先の感覚がなくなっているような場合、ご本人も足の痛みや、血流障害などはわからないのです。そこで、ご家族に「毎日足を見て、触って、確認してください」とお願いしています。また足の爪を切る場合も、ご本人は感覚がないので、傷つけてもわからないのです。傷は感染症のもとになるので注意が必要ですね。

新しい治療や、在宅医療の啓発にも積極的に取り組む

ところで、医師を志したきっかけを教えてください。

袋秀平院長 ふくろ皮膚科クリニック5

母の実家や親類に医師が多く、自分も「人を助けられる仕事に就きたい」と思ったのがきっかけでしょうか。皮膚科は外科、内科の両面からアプローチできて、顕微鏡で組織を見る病理学的な面も持ち合わせている点が興味深くて選びました。当初は開業を意識していなかったのですが、勤務した総合病院では、キャリアを積むほど仕事が忙しくなり、自分が考えていた「患者さんとじっくりお付き合いして、納得していただく医療」の実現が難しくなってきたので開業に至りました。

プライベートな時間はどのように過ごされていますか。

音楽が好きで、大学時代に入っていたコーラス部の合同練習会に参加して、世代を超えた定期演奏会やOB会に参加したり、神奈川県皮膚科医会の40周年記念イベントでバンド演奏もしました。コロナ禍でそういった活動ができないのが残念ですね。一方で、在宅医療を手がける皮膚科の医師が少ないので、委員会などでの役割が増えています。今はオンラインが中心ですが講演や会議、執筆の依頼も多く、結果的に仕事が趣味になっています。働き方改革の時代によくないなあとは思っているのですが(笑)。

今後の展望について聞かせてください。

褥瘡をはじめ、在宅医療での皮膚科疾患に対する啓発活動に力を入れたいですね。現在は中断している褥瘡や皮膚疾患に対するセミナーも再開して、地域の在宅医療の充実にも取り組みたいですし、フットケアについても、施設の職員や訪問看護師を対象とした研修を再開したいと考えています。一般の診療では、ダニによる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が関東へも広がってきているとの報告や、薬剤耐性を持つと考えられる頭ジラミなどに注目しています。新たに効果が期待できる薬剤ができる一方で、こうした新しい問題も起こってくるので、病気や治療に関する新しい情報や知識を積極的に得て、適切な治療を提供していきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

袋秀平院長 ふくろ皮膚科クリニック6

最近は、皮膚の症状や治療法についても、インターネットでなんでも調べることができますが、中には信用できないような情報もありますし、自己判断で市販薬を使うとかえって悪くなることも少なくありません。やはり、体の表面のことに関しては、まず皮膚科を受診していただきたいと思います。また、当院では、医療フットケアにも力を入れています。これは、医師とフットケアに詳しいスタッフが連携して、タコやうおのめ、爪の処置を行うものです。靴との相性が問題になるので、立体的な計測を行い、適したインソールを作製します。また糖尿病患者さんの足潰瘍、壊疽など足病変の治療も行います。介護の中で足のケアまでは行き届かないことも多いので、ご家族の方にもフットケアの重要性を知っていただき、ぜひ足を大切にしていただきたいと思っています。

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