田村 卓也 院長の独自取材記事
大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック
(大阪市北区/北新地駅)
最終更新日:2025/07/04

北新地駅前のビル内にある「大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック」は、鼠径ヘルニアと虫垂炎の日帰り手術ができるクリニックとして2022年12月に開業。開業時から同院で診療を行っていた田村卓也(たむら・たくや)先生が、2024年2月に院長に就任した。これまで同様、経験豊富な看護師や事務スタッフらと連携しながら、平日の診療日は午後9時まで診察、さらに土日・祝日も診察と手術に対応。働き盛りの世代や子育てに奮闘する人など、幅広い世代に日帰りで腹腔鏡下手術を受けてほしいと願い、診療体制を整えている。同院の日帰り手術の特徴や、同院の今後の展望について田村院長にたっぷり語ってもらった。
(取材日2022年12月28日/情報更新日2024年6月25日)
日帰りの腹腔鏡下手術で、患者のさまざまな負担を軽減
まずは、先生のご経歴と開業の経緯を教えていただけますか?

2012年に川崎医科大学を卒業後、川崎医科大学附属川崎病院(現・川崎医科大学総合医療センター)で研鑽を積み、大阪赤十字病院で7年ほど腹腔鏡下手術について学びました。現在、当院の外科部長を務めている所為然(ところ・ゆきなり)先生と同じ消化器外科のグループに所属して、消化に関する臓器の診療を一通り経験したその矢先、所先生から「今後ニーズが高まるであろう腹腔鏡下手術や日帰り手術を多くの人に提供できるクリニックを一緒に始めてみないか?」と声をかけてもらったのです。私も以前から日帰り手術ができるクリニックに関心がありましたので、所先生のお誘いを受けることにしました。2022年12月の開業と同時に入職。2024年2月に所先生から引き継いで院長に就任しました。
診療の主軸として対応している鼠径ヘルニアとは、どのような疾患ですか?
鼠径ヘルニアは、お子さんや40代以上の方がなりやすい疾患で、体の筋肉の隙間から腸が出てくる脱腸のことです。この隙間は体の構造上、誰でもできるのですが、生まれてすぐのお子さんや筋肉が衰えて内臓脂肪が増えてくる40代以上の方がなりやすいですね。当院の日帰り手術は入院の時間が取りにくい、忙しい方に特にお勧めできます。安全面にも気を配っています。当院で検査をした結果、入院手術のほうが良いと判断した場合、ほかの病院をご紹介します。
腹腔鏡下手術と日帰り手術をするメリットは何でしょうか?

腹腔鏡下手術の良さは、開腹手術よりも出血量が少なく創が小さくて済むこと、内視鏡により細部まで確認しながら手術をすることで他の臓器を創つけるリスクが低いことです。この2点によって、合併症や感染症にかかる危険性が低くなると考えられます。また、創が小さければ手術後すぐに帰宅できます。子育てや仕事で入院手術が難しい方も、日帰り手術なら受けやすいですよね。体への負担とかかる時間を抑えられる点が、日帰り手術のメリットといえます。子育て中の女性にも日帰りの腹腔鏡下手術を利用していただきたいですね。
オリジナル診療計画表を使用して手術に備える
クリニックで行っている手術の特徴について教えてください。

手術時の痛みに対して、3つのアプローチを行っている点です。痛みを神経に伝わりにくいようにする。痛みが神経に伝わったとしても、末梢神経系から中枢神経まで痛みの物質が到達しないようにする。中枢神経から脳に痛みが伝わったとしても、痛みの情報を認識しないようにする。これらを同時に行うことで、麻酔の量を減らすことがめざせるのです。麻酔の量が少なくなれば、手術後の目覚めがすっきりしたり、吐き気を感じにくくなったりして、体への負担を減らすことにつながります。また手術後は低体温になることがありますので、痛みや吐き気を抑えるために体温管理をすることも大切です。保温しながらリラックスして休んでいただけるよう、当院では個室のリカバリールームを用意しました。このような環境を整えている点も当院の特徴といえます。
こちらでは手術を受ける方に、オリジナルの手術計画表を渡されるそうですね。
ほかの病院やクリニックにも手術の計画を記したクリニカルパスがありますが、当院ではオリジナルで「患者さま用診療計画表」という冊子を作り、検査内容や結果、麻酔の説明、手術前日に患者さんがする準備などについて記載してお渡ししています。計画表に沿って内容を確認していくと、手術にたどり着けるようになっているんです。手術前の準備の項目については、当日の持ち物、前日の食事の時間、薬を内服している場合、どの薬をやめるべきかなどが書かれています。また、手術後の状態を確認するチェックシートの欄がありますので、患者さん自身でチェックしていただき、後日私たちが電話でチェックシートの内容を確認する作業をしています。いわば手術の記録であり備忘録のようなものですね。私たちと患者さんが一緒になって治療を進めていくために、とても役立つツールとなっています。
スタッフの皆さんについて教えてください。

「こんなに優秀な人はいない」と言えるくらい能力の高いスタッフで、即戦力として活躍してくれています。棚に置く物のレイアウトなどもスタッフに任せました。「患者さま用診療計画表」の内容は、私とスタッフで考えました。看護師の視点で項目を考えてもらい、クリニックが開業する前から一緒に作り上げたものです。開業から徐々にスタッフがまとまってきましたね。頼りになるこのメンバーと一緒に、長く働きたいですね。
「理解」があってこそ、治療に対する安心につながる
開業にあたり、内装などでこだわった点はありますか?

手術室を広く設計しました。手術室が窮屈ですと、人の往来や手術に差し支えがありますので、できるだけ広くしました。個室のリカバリールームもこだわった点の1つですね。手術は、たとえ日帰りであっても患者さんに精神的な負担がかかるものです。そのような負担を軽くするために、居心地の良い環境を整えるように心がけました。手術後にゆったりお休みいただけるように、実際に座り心地を確かめて選んだリクライニングチェアを設置しています。また、ほかの患者さんと接触しないような動線を考え、さらに不安を感じるような器具を患者さんの目に入る場所に置かないようにしました。あと診療時間ですが、仕事後に受診していただけるよう、平日は午後9時まで診察しています。土日と祝日も手術と診察が可能です。患者さんのご要望にフレキシブルに対応できるようにしています。
今後の展望についてお聞かせください。
現在は鼠径ヘルニア、虫垂炎、胆嚢結石症における腹腔鏡を使った日帰り手術を行っていますが、ゆくゆくはほかの疾患の日帰り手術にも対応していきたいと考えています。そして、患者さんのニーズを意識して、なるべく早く要望を引き出して解決につなげること、患者さんにわかりやすく説明し必要な情報を一つ一つ提供することを心がけていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

患者さんのニーズというのは、時代とともに変化していくものです。「ほかの疾患でも日帰り手術をしてほしい」というニーズが高まれば、当院で対応できる手術内容を増やす必要があります。ニーズの変化、時代の変化とともに、クリニックを発展させていかなくてはなりません。当院では、電話やメッセージアプリを使った相談も承っています。期待に応えられるよう万全の準備をしてお迎えしたいと考えておりますので、お気軽にご相談ください。