関節痛や発疹、指が白くなる症状は膠原病かも
受診の流れや治療法
木曽川平野内科リウマチ膠原病クリニック
(一宮市/新木曽川駅)
最終更新日:2023/03/22
- 保険診療
字面だけ見ると、どのような病気なのかイメージがつきにくい膠原病。しかし、実際は高校生から高齢者まで幅広い人にとって身近な病気であり、早期に治療に取り組んだほうがその後の生活を穏やかに過ごせるそうだ。「木曽川平野内科リウマチ膠原病クリニック」には、日本リウマチ学会リウマチ専門医であり、複数の病院で経験を積んだ平野大介院長と、関節リウマチの知識が豊富な看護師が在籍。患者の悩みや要望に丁寧に寄り添いながら、適切な治療の提供と病態の安定・維持に努めている。また、膠原病を診療できる医療機関は少なく受診までに時間がかかるケースもあるという。そのような中で内科の医師の観点から専門的にアプローチする平野院長に、膠原病について詳しく話を聞いた。
(取材日2023年3月7日)
目次
多岐にわたる症状を他科と連携しながらひもとき、早期に診断・治療につなげることが重要
- Q膠原病とはどのような症状がある病気ですか?
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A
膠原病は自己免疫病の側面を持ち、発熱、関節痛、皮膚の発疹などの症状が現れます。自己免疫病とは、本来ウイルスなどから体を守る役割を持つ免疫システムが異常を来し、さまざまな臓器を攻撃してしまう病気のことです。膠原病の中で最も多いのは関節リウマチで、根本的な原因は判明していないものの、遺伝的な背景に喫煙・歯周病などの環境要因が重なると発症に至るといわれています。そのほか比較的若い女性に多い全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚と筋肉に炎症が起きる多発性筋炎・皮膚筋炎、寒さで指先が一時的に白くなり(レイノー現象)、皮膚が硬くなる全身性強皮症、全身の血管に炎症が起きる血管炎も膠原病の代表的な病気です。
- Qどんなときに何科を受診すべきでしょうか?
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A
主に関節症状がある場合は整形外科、発疹やレイノー現象などの皮膚症状がある場合は皮膚科が窓口となり得ます。微熱などの漫然とした症状は、周辺にあれば膠原病専門の内科、なければ内科を受診するのが良いでしょう。時には複数の科が連携しながら診療するケースもあり、当院でも皮疹の診断に迷う場合は皮膚科にアドバイスを仰ぎ、生検を行ってもらうこともあります。また関節リウマチの診療は、解剖学的な知識がある整形外科と、頭から口の中、爪の先まで全身を総合的に診れる膠原病専門の内科とで強みや特徴が異なります。症状を基準に受診先を決めるのが望ましく、大事なのは早期の発見・治療ですので、まずはかかりつけ医へ相談しましょう。
- Q診断・治療はどのように行いますか?
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A
膠原病専門の内科では全身状態を把握すべく、初めに問診によって病歴を確認します。そして膠原病では大半のケースで自己抗体が出現しますので、疑わしい病気を特定するために血液検査を実施します。さらに、必要に応じて腎・尿検査やエックス線検査、関節の超音波・MRI検査なども追加で行います。診断後、関節リウマチはガイドラインに従って治療を進めるのが基本で、治療薬も確立されています。発症後3ヵ月から半年ほどの間に、病気の勢いを弱めることが目標です。その他の病気は主にステロイドを用いた治療となり、重症度によっては免疫抑制剤も併用します。こちらもなるべく早く減薬をめざし、安定期に持っていけるようにします。
- Q膠原病には怖いイメージもありますが、完治は見込めますか?
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A
膠原病は原因が明らかにされていません。中には難病に指定されているものもあり、なかなか完治させにくいのが現状です。しかし、病状が体の表面に現れない「寛解」に可能な限り早く到達し、その状態が維持できれば通常通りの生活が望めます。また、SLEは高校生にも発症するのが特徴です。女性は将来妊娠・出産などのライフイベントに影響を及ぼす恐れがあるため、早めに寛解させステロイドの使用をゼロにするのが理想ですね。一方、関節リウマチは生物学的製剤やJAK阻害薬の登場により、症状が治まっている状態の維持がめざせるようになりました。安定後も服薬を忘れず、何かあればすぐに主治医に相談しながら再発防止に努めましょう。
- Qこちらのクリニックの診療の特徴を教えてください。
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A
当院では、膠原病と併発する高血圧や糖尿病を含め全身を診察できます。肺などに異常が現れる関節リウマチも、早期に発見し綿密なフォローアップが可能です。専門家の見立てが必要であれば、連携先の呼吸器内科と一緒に診ることもありますね。加えて、当院には関節リウマチの診療に携わってきた看護師がいます。リウマチ患者さんの経済面や社会的背景にも目を向けながらお困り事に対応し、全人的なケアに医院全体で取り組んでいるのが特徴です。特に注力しているのが女性のライフイベントに応じた治療。リウマチは病気の活動性が高いと不妊のリスクがあるため、早めに治療を始めたほうが長期的なメリットが大きいと考えます。