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関谷 真一郎 院長の独自取材記事

クレヨンキッズクリニック

(泉大津市/泉大津駅)

最終更新日:2023/09/29

関谷真一郎院長 クレヨンキッズクリニック main

南海本線の泉大津駅から徒歩15分ほどの住宅街にある「クレヨンキッズクリニック」は、2022年8月に開業した小児科・アレルギー科のクリニック。同院の大きな特徴は、小児科の一般外来診療に加え、小児の訪問診療に対応していること。訪問診療は、人工呼吸器や経管栄養を必要とするなど、定期的な通院が困難な重症心身障害児への訪問を中心に行っている。院長の関谷真一郎先生は市民病院のNICU(新生児集中治療室)に長く勤め、開業にあたって重症心身障害者の支援や小児訪問診療を実施する医師のもとでも研鑽を積んだ。「親御さんと一緒にその子を見守っていきたい」と話す関谷院長に、クリニックの概要や開業への想いなど、詳しく話を聞いた。

(取材日2023年1月7日)

小児の訪問診療を行うクリニック

クリニックの特徴を教えてください。

関谷真一郎院長 クレヨンキッズクリニック1

小児科の外来診療に加えて、小児の訪問診療にも対応している点が一番の特徴だと思います。現在、訪問診療は水曜の午後に実施しています。具体的には、人工呼吸器をつけていたり、経管栄養が必要であったり、寝たきりのことが多いお子さんがいて定期的な通院が困難なご家庭に訪問を行い、気管切開チューブや経管栄養チューブを交換したり、痰の吸引をしたりと、そのお子さんに合ったケアを実施します。体の状態により異なりますが、基本的には隔週で訪問しています。

訪問診療で大切にされていることを教えてください。

医療行為はもちろんですが、それ以外の親御さんとのコミュニケーションの時間もとても大切にしています。訪問診療は医師1人でも可能ですが、当院では基本的に看護師と2人で伺い、1つのご家庭に30分ほどかけています。そのうち医療行為をしている時間は長くても15分程度で、残りの時間は主に親御さんとのコミュニケーションに使ってもらいます。お母さんがお子さんのお世話をしているケースが多いので、同じ母親である看護師と子育ての話などをして、少しでも心が休まる時間を過ごしてくださればと考えています。

障害のあるお子さんやご家族と接する際に心がけていることはありますか?

関谷真一郎院長 クレヨンキッズクリニック2

障害のあるお子さんでも特別視せずに、普通に接することを心がけています。これは親御さんたちから教わったことですが、子どもの障害は親御さんにとっては一つの個性であって、特別なものではないんです。訪問を重ねて、親御さんがお子さんに普通に接しているのを見るうちに、「こちらも普通でいいんだ」と気づかされたんです。ですから、当院の外来に通院してくるお子さんと同じように接しています。

送り出す側から受け手側へ

開業の経緯を教えてください。

関谷真一郎院長 クレヨンキッズクリニック3

私は関西医科大学を卒業後にいくつかの病院に勤務して経験を積みました。中でも、新生児内科のNICUを長く担当していましたが、そこでは元気に退院する子もいれば、何かしらの障害を残して退院する子も多くいました。例えば、口から十分に栄養を取れない子や、家に帰っても人工呼吸器が必要な子など、退院後に訪問診療が必要なケースも多くありました。そういった子を地域に送り出す際には、小児の訪問診療が可能な医師を探すのですが、このエリアには対応可能な医師が少なく、見つけ出すのに苦労していました。訪問看護ステーションは以前と比べると少しずつ小児に対応できるところが増えていますが、小児科のクリニックはまだまだ少ないと感じています。そういったジレンマを抱えるうちに、いつか自分が開業して、送り出す側から地域の受け手側になろうと考えるようになりました。

最終的な開業の決め手はありますか?

何か特別な出来事があったというよりは、さまざまな要素が重なって、徐々に開業への気持ちが高まっていきました。例えば、さまざまな在宅医療の勉強会に参加して、第一線で活躍されている先輩医師からの話を聞いて刺激を受けたこともそうですし、当時勤めていた病院で後輩医師が成長してきて、もう任せられると感じたこともそうです。中でも、初めに勤めた京都市立病院を離れる時に先輩医師から頂いた言葉は、私が地域の受け手側になることに大きな影響を与えたと思います。それは、「新生児医療はNICUで終わりではない。障害のある子どもが退院した時点がスタートであり、その後の親御さんや本人を取り巻く環境も含めて、目をそらさずに責任を持てないのならば新生児医療はするべきではない」という言葉です。その言葉が私の中にずっと響いているおかげで、今、親御さんと一緒にお子さんを見守っていきたいと思えているのだと思います。

このエリアを選んだ理由を教えてください。

関谷真一郎院長 クレヨンキッズクリニック4

近くに長く勤めていたので土地勘があるというのが理由の一つです。あとは、大阪府は比較的都会で小児の訪問診療もたくさん実施されていると思われるかもしれませんが、こちらのいわゆる泉州エリアでは非常に少ないんです。小児の訪問診療に対応している医師は、堺市と和泉市には1人ずついますが、この南海本線の海側のエリアでは私の知る限りいないと思います。ですので、開業する場所として、他の訪問診療を行う医師とエリアを分担できるこの場所が適当と判断しました。

大変な道と知りながらも小児科の道へ

小児科を選ばれたのはなぜですか?

関谷真一郎院長 クレヨンキッズクリニック5

実は、初めは小児科を選ぶつもりはありませんでした。医学部5年生か6年生の時に、外来の予診を行うという病院実習があり、その際に、明らかにぐったりしている赤ちゃんを見つけました。これは、ゆっくりお母さんから話を聞いている場合ではないと思い、近くにいる看護師に伝えました。すぐに教授が診てくれて、細菌性髄膜炎の疑いがあり、すぐに入院・検査をする必要があると判断されたんです。本来ならば学生の私はその場に残って予診の実習を続けるべきところ、教授の計らいで、病棟までその赤ちゃんについて行って流れを見るといいと言ってくださいました。しかし、いざ病棟に行くと、主治医がお母さんに、細菌性髄膜炎は命に関わるか、助かっても後遺症が残る可能性があると話していて、お母さんはボロボロと泣いていたんです。当時は単なる学生でしたので、小児科の医師の責任の重さを痛感し、それ以来自分に小児科は務まらないのではと思っていました。

そのような経験をされて、最終的に小児科を選ばれたのはなぜですか?

転機となったのは医師になりたての頃です。研修先として行きたい病院を自分で選べる時代でしたので、興味のあった京都市立病院を選びました。その病院は曜日ごとに見学できる診療科が決まっていたのですが、私の都合と合うのがたまたま小児科でした。それが運命だったのでしょうね。そこで素晴らしい先生に出会い、この方と働きたいと思ったことが小児科を選んだ理由です。

そこからNICUを担当されるなど、さまざまな経験を積まれたんですね。

関谷真一郎院長 クレヨンキッズクリニック6

実はNICUも、小児科の中でとても大変な部門と知っていたので、初めは選ぶつもりはなかったんです。しかし、ある経験が私の心を変えました。産まれた直後に遺伝性疾患が判明し、長くは生きられないことがわかっている赤ちゃんをNICUで治療したことがありました。その時、NICUのスタッフが自主的に泊まり込みで世話をしたんです。その子はほどなくして亡くなってしまったのですが、お母さんが「次もまたこの病院で産みたい」と言ってくれたんです。その言葉にスタッフはみんな、涙していて。その光景が私の中で大きく響きました。こうして自分の人生を振り返ると、知らず知らずのうちに大変なほうの道を選んでいるのかもしれませんね。

今後の展望を教えてください。

訪問診療に関しては、2022年8月の開業時は数人の患者さんから始まりました。今後よりニーズが高まるのであれば、訪問診療に充てる時間を増やしていこうと考えています。最終的にはもう1人医師を増やして、私は午前は外来、午後は訪問といったようにできれば理想的です。また、外来診療では小児科疾患に全般的に対応できるよう努めています。こんなこと聞いてもいいのかな、と思うようなことでも、どんな些細なことでもお気軽にご相談くださればと思います。

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