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羽溪 優 院長の独自取材記事

はたにクリニック

(神戸市須磨区/月見山駅)

最終更新日:2022/12/21

羽溪優院長 はたにクリニック main

父からクリニックを継承した羽溪優(はたに・ゆたか)院長は、「はたにクリニック」と改称すると同時にクリニックモール内へ移転開業。現在3代目として、専門の循環器内科をはじめ地域に求められる診療に幅広く対応している。心疾患の予防や早期発見に取り組む一方、実施している医療機関が少ない心臓リハビリテーションを行っているのが大きな特徴。術後の再発リスクを下げることに努め、日常生活を快適に送れるよう多職種とともに機能回復をめざす。また、羽溪院長は勤務医時代より多くの高齢患者と出会い、病気だけでなく個人の内面とも深く向き合ってきたという。「当時の経験なくしては今の診療は行えません」と語る羽溪院長に、現在に至るまでに得た学びや同院で実現したい治療、そして新規開業における意気込みを聞いた。

(取材日2022年12月1日)

予防と治療、心臓リハビリテーションで病気全般に対応

初めに、こちらのクリニックについて教えてください。

羽溪優院長 はたにクリニック1

当院はもともと父が経営していたクリニックです。2022年10月に私が継承し、クリニックモールに移転開業する形で新たな一歩を踏み出しました。父も循環器内科が専門ですので、現在は週に3日ほど当院の診療を手伝ってもらっています。患者さんは一生涯のうちにさまざまな病気をしますので、継承後も地域に根差した治療を行う父のスタンスは変えず、何かあれば都度対応していきたいと考えています。一方、新型コロナウイルス感染症の診療や高齢の方のフレイル予防など、近年の問題にも新たに取り組んでいます。心疾患の診断・治療に加えて心臓リハビリテーションも実施し、心臓が弱った方のQOL(生活の質)やADL(日常生活動作)を健康な人と同じぐらいに維持するのが目標の一つですね。

心臓リハビリテーションとはどのようなものなのでしょうか?

心臓リハビリテーションの目的は大きく分けて二つあります。一つ目はリハビリという名のとおり、心肺機能が低下した心臓に対し、運動時にかかる負荷を少しずつ慣らしていくこと。弱った心臓を元の状態に戻すのではなく、運動による負荷に耐えるために必要な「耐容能」の向上をめざします。そして二つ目は、患者さんが手術を受けない選択をした際に、症状をコントロールしながらADLを保てるようサポートすることです。対象疾患は中等症以上の心不全や心臓弁膜症といったほとんどの循環器疾患で、当院では理学療法士や看護師との多職種チームで一人の患者さんの指導にあたります。ただ、基本的には治療の後に行うものですので、予防フェーズでは病気の早期発見、治療フェーズでは心疾患の前段階である生活習慣病の治療にまずは注力しています。

内装や設計、設備などでこだわったところはありますか?

羽溪優院長 はたにクリニック2

内装は差し色があったほうがメリハリがつくと思ったのと、海が近いという理由で青を各所に取り入れています。リハビリ室は、患者さんが窮屈さを感じずに運動できるよう広々としたスペースを確保しました。また、神戸大学で超音波検査を専門的に学んだ経験を生かし、心不全や心臓弁膜症に予防段階から介入するために設備も充実させています。超音波装置は画質が鮮明で、必要に応じて先進の循環器検査も行えるものを導入しているのが特徴です。感染症対策としては、飛沫感染のリスクを考慮し、高性能なフィルターを備えた空気清浄機を稼働させています。新型コロナウイルス感染症の疑いがある患者さんも断らず診察できるよう努めています。

病気への自覚と治療への意欲を持てる診療に注力

患者さんの特徴についても伺います。

羽溪優院長 はたにクリニック3

現在は父の代からの患者さんが約8割で、あとは健診の方や他院からのご紹介の方がいらっしゃいます。主な年齢層は80代とかなり高めですね。この土地は地下鉄の開発に伴いベッドタウンとして誕生しましたので、当時移住してそのまま年を重ねた方が多いんです。主訴は多岐にわたり、日々のお困り事以外に整形的な痛みやしびれでお困りの方も少なくありません。クリニックモールだからこそ、他の医療機関とも円滑に連携できるようになったのは良かったですね。また、足の痛みなどを理由に受診に後ろ向きだった患者さんにも、ついでの複数受診を促しやすくなりました。とはいえ、私は勤務医時代に総合的な診療を行う場面が多く、心疾患の合併症の治療にも携わってきました。そのため当院でも、可能な限り網羅的に病気を診ながら、患者さんと長くお付き合いしたいと考えています。

患者さんの治療のモチベーション向上のために取り組んでいることはありますか?

なるべく具体的な数字を使って現在の状況をご説明しています。例えば生活習慣病の治療であれば、専門機関から発表されているデータも活用しながら「あなたは10年以内に10%の確率でこんな病気になる恐れがあります」などとお伝えします。患者さんを脅すわけではないのですが、生活習慣病の方は自覚がないことがほとんどです。だからこそ最初に現状を理解していただき、その上で私たちがやるべきことを提示しています。そして治療では、薬の処方だけでなく食生活や運動習慣の見直しも行い、例えば成果が出たら患者さんを思い切り褒めさせていただきます。頑張りや成果を認めることで、治療を継続する理由が一つできますからね。

他にも、診療で心がけていることがあれば教えてください。

羽溪優院長 はたにクリニック4

特に心不全の管理で重要なセルフケア指導をこまめに実施しています。足のむくみや体重変化といった目に見える形でわかる症状は患者さん自身も気づけますので、「こんな状態になったら」または「数日で何キロ以上体重が増えたら」来てくださいとお話しします。結果として通院回数が増えてしまう可能性はあるものの、それでも入院するよりは負担が少ないですし、筋力低下の予防にも一層介入できます。入院しなくて済むよう個人に適した基準を設定し、セルフケアができているかを確認したり、わからないことがあればご説明したりして病気の管理に努めています。あと、病気にかかわらず診療全般で心がけているのは、なるべくフレンドリーに接することですね。

治療で何より重視するのは、患者の価値観や人生計画

勤務医時代のご経験も気になります。

羽溪優院長 はたにクリニック5

大学病院などの他に、国内で最も高齢化が進行しているといわれる淡路島で診療した時期があります。そこで心疾患のある80代くらいの患者さんと3年ほどお付き合いしました。一般的には「心臓の手術は大ごとだから、高齢であればやらないほうが良いのではないか」と考えがちです。しかし適切なタイミングで手術を行うことで、患者さんにさほど大変な思いをさせずに済むケースがほとんどであることを学びました。また、手術をするか否かは、ご本人の価値観や残りの人生をどう生きたいかで決めるべきだということにも気づきました。一人ひとりの人生計画を踏まえ、総合的な観点から手術の適応を決定する力は、淡路島の患者さんとの出会いがあったからこそ養えたと思います。今、治療の方向性を決めかねている方がいれば、経験を生かしたお話をしたいですね。

まさに現在の診療につながる貴重な経験だったのですね。

そうですね。加えて、心臓移植前に使用する人工心臓の治療を神戸大学で開始するお手伝いをさせていただきました。そこで大変な生活を送る患者さんたちとお付き合いし、死生観や物事に対する考え方などを知ったのも、淡路島と並んで非常に勉強になった経験です。恩師の先生方の言葉も大切にしていますね。患者さんは人生の先輩として尊敬しつつ、自分は医療者として、医学の知識をもってサポートすること。さらに厳しい状況下での治療が多い循環器だからこそ、自分がやれていないことはないかを諦めずに探し、最後まで全力で治療する重要性を教えていただきました。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

羽溪優院長 はたにクリニック6

患者さん自身が病気を理解し治療への意欲を高めていただけるよう、予防や啓発の機会を設けたいと考えています。地域の開業医として循環器疾患以外も診ていますので、市の事業に参画するなどして認知症の高齢患者さんにもアプローチしたいです。また当院以外に、心臓リハビリで患者さんをお元気にできる場をもっと増やせればいいですね。個人的に、内科の医師は病気を治すというより、悪くならないようにお手伝いする立場だと思っています。患者さんに必要な知識を共有し、自分事として病気と向き合ってもらって初めて良い結果が得られると思います。大病のない穏やかな生活のため、小さなことからこつこつと指導できればと思いますので、ぜひ気軽にお越しください。

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