銀歯からセラミックに交換は可能?
種類や特性を知り適切な選択を
芥川歯科
(豊島区/駒込駅)
最終更新日:2025/04/23


- 自由診療
歯の一部が欠けたり、歯が失われたりした際に人工的な詰め物やかぶせ物で修復する補綴。代表的な素材は保険診療の対象になる金属やプラスチックだが、近年では自由診療のセラミックが使われることも珍しくなくなってきた。その要因について、「人と会話するときに前歯や奥歯はよく見えるので、審美性を考えて銀歯からセラミックに替えられるケースが増えています」と話すのは「芥川歯科」の芥川重之院長。一般的にセラミックと呼ばれている素材の中にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特性を持っている。実際には審美性だけでなく、求められる機能性なども考慮した上で素材を選ぶ必要があり、そのためには検査や診断も重要になる。そのようなセラミック治療における、素材の違いや診療の工程などについて、芥川院長に話を聞いた。
(取材日2025年3月5日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q銀歯からセラミックへの交換は可能なのでしょうか?
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A
ほとんどの人はセラミックへの交換が可能です。ただし、銀歯と比べてセラミックは歯を削る量が多くなります。元の歯がすごく摩耗していると、噛みしめたときの力が影響してしまい、セラミックが割れる可能性があります。その場合でも、セラミックの中でも硬い素材であるジルコニアを使うと破損のリスクを回避できます。セラミックにはさまざまな種類があり、当院では透明度が高くて色を合わせやすいガラス系セラミック、強度に優れるジルコニア、ジルコニアの外側にセラミックを盛りつけたメタルボンドと呼ばれる3種類を中心に扱っています。さらにジルコニアの中でもより硬いものや審美性をより追求したものなど、いくつかの種類があります。
- Qセラミック交換後の注意点はありますでしょうか?
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A
セラミックは硬いことが特徴の一つで、そのため金属やプラスチックと比べて噛み合わせの調整には繊細さが求められます。ですので、装着後は自身で噛み合わせをチェックして、違和感があれば早めに歯科医師に伝えてください。セラミックの特性上、後から材料を足すことはできなくて、調整が必要な場合は少しずつ減らしながら合わせていきます。また硬いゆえに金属のようにたわむことがなく、過度な力が加わると割れる可能性があるため、歯ぎしりや食いしばりには注意したほうがよいでしょう。一方で、セラミックは生体親和性に優れるため歯茎の炎症も起きにくく、汚れもつきにくいので、衛生管理がしやすいのが大きなメリットです。
- Qこちらで行うセラミック治療の特徴を教えてください。
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A
口腔内スキャナーで口腔内を3D画像で表現し、コンピューターでデザインしたかぶせ物を合わせることで、装着した様子を患者さんがイメージしやすいようにしています。その段階で形や向きなどを細かく調整することができますので、頭の中のイメージと実際とのギャップをなるべく少なくすることができます。中には顔貌の写真を撮らせていただき、顔貌にマッチした審美性を備えたかぶせ物を提案することもあります。こだわりが強い患者さんに対しては、かぶせ物の作製や装着時に歯科技工士さんに来てもらって、要望を直接伝えられる機会を設けることもできます。基本的にかぶせ物を装着するまでは修正は何度でもできる点も当院の特徴です。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1要望や疑問点などを話し、治療のゴールを設定
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問診では、銀歯からセラミックのかぶせ物に替える要望を伝える。ニーズに応じて使う素材を提案してくれるので、メリットやデメリットを聞いて検討する。例えば色にこだわりたい場合、費用は高額になるが、セラミックだと歯科技工士が色づけを行うため希望の色を再現しやすい。審美性がそこまで求められない奥歯では、割れにくい硬めのジルコニアが選択肢の一つになる。
- 2口腔内スキャナーなどで口腔内の状態を確認
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口腔内スキャナーやエックス線撮影で口腔内を検査してもらう。かぶせる対象になる歯は神経が取られていることが多く、その場合は根管が病気になっているなどのトラブルの可能性もあるという。詳しく診なければいけないと判断された場合は、歯科用CTで撮影し診断してもらう。
- 3治療計画を確認した後、仮歯を作製し装着
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審美性を追求した形状と歯科医療が推奨する形状にはギャップがある場合が多く、その違いを埋め合わせるために丁寧に擦り合わせを行い、治療計画を立てていく。時には3D画像を見ながら相談することも。この段階でもさまざまな要望を伝えて修正することは可能。その後、仮歯の作製に入り、1~2週間後に来院し仮歯を装着。イメージに合っているかを確認し、修正希望があれば伝える。
- 4かぶせ物を作製し、装着・調整を行う
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希望したセラミックを使ってかぶせ物を作製。審美的なこだわりが強い場合は、歯科技工士に歯科クリニックまで来てもらい、色や形などの要望を直接伝えることもできる。かぶせ物の適合を確認する際にはマイクロスコープを使い、必要に応じて修正してもらう。装着する際は、歯茎の炎症の原因になる余剰な接着剤が残っていないかなどを確認しながら丁寧に行われる。
- 5治療後は定期的にメンテナンスを受ける
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口腔内の状態や治療した部分の変化などをチェックするため、3ヵ月から半年に1度くらいのサイクルで通院する。セラミックは生体親和性が高いため、天然の歯と同じように歯茎がなじんでくる。こうした変化が起きているかどうかを確認しながらメンテナンスを受ける。普段のブラッシングで注意しなければいけない点は、物が詰まりやすいことくらいで、継続して何かしなければいけないことは特にない。
自由診療費用の目安
自由診療とは【かぶせ物】 フルジルコニア・グラデーション/7万7000円、フルジルコニア・ハイトランス/6万6000円、ジルコニアセラミック/11万円、メタルボンド/6万6000円 【詰め物】ジルコニアインレー/5万5000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。