早期対応が合併症回避への鍵
生活背景を考慮した治療の継続を
よつや駅前クリニック 内科と皮膚科・形成外科
(新宿区/四ツ谷駅)
最終更新日:2025/06/13


- 保険診療
生活習慣病の一つである糖尿病は、体内のインスリンの働きの低下により、血糖値が高いままの状態となってしまう病気。自覚症状がほとんどないため気がつかず放置していると、心筋梗塞といった重篤な合併症が起こる可能性がある。そうならないように早い段階で受診し、生活習慣の改善など必要な対策を行うことで、血糖値を管理することが重要といわれている。早期受診・早期対策の必要性や糖尿病治療の進め方について「よつや駅前クリニック 内科と皮膚科・形成外科」の副院長で、日本糖尿病学会糖尿病専門医である尾島碧先生に詳しく聞いた。
(取材日2025年5月30日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q糖尿病はどのような病気ですか?
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A
糖尿病は生活習慣病の一種で、大きく分けて1型と2型があります。1型は自己免疫の異常が原因といわれています。一方、糖尿病患者さんのほとんどが該当するのが2型糖尿病で、血糖値が上がりやすい食事や運動不足などの生活習慣が主な原因です。また、遺伝や加齢が原因となることもあります。いずれにしても、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌量や働きが不足することが、糖尿病の直接的な原因です。
- Q糖尿病を放置するとどのようなリスクがありますか?
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A
血糖値が高い状態で長く放置すればするほど、合併症を発症しやすくなります。合併症には急性と慢性があります。血糖値が急激に上がることで起こるのが、高血糖緊急症などの急性合併症で、意識障害を引き起こす恐れがあります。一方、慢性合併症には、細小血管合併症と大血管合併症があります。細小血管合併症は主に神経・目・腎臓に悪影響が出るのが特徴で、糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症などを発症する可能性があります。大血管合併症の場合は、心筋梗塞や脳卒中などを発症しやすくなりますが、これは、糖尿病になると体中の血管の動脈硬化が進行するためです。
- Q糖尿病の治療は、具体的にはどのように進めるのでしょうか?
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A
まず、目標とする血糖値を定めて、食事管理と運動指導を中心に行います。当院では糖尿病療養の専門知識を持つ管理栄養士が指導を行い、患者さんと一緒に目標数値をめざしています。それでも改善が見られない場合は、内服や注射を取り入れることがありますが、インスリン注射は必ずしも重症化した人向けの治療とは限りません。血糖値だけでなく、患者さんの生活背景や合併症、糖尿病以外の持病などを考慮して、注射と内服どちらが適切かを総合的に判断していきます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診で体の状態や生活背景を伝える
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糖尿病は、治療や生活改善を継続して一生付き合っていく病気。適切な治療方針を立てるために重要なのが、この問診だ。医師が生活背景を把握できるよう、家族構成、仕事、食事のペースなどを詳細に伝えよう。
- 2検査を受けて、血液や全身の状態を確認
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血液検査で血糖値の状態を示すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値をチェックする。さらに身体測定や尿検査も行うことで、コレステロール値や肝臓機能値などを調べる。同院では精度の高さにこだわった糖尿病検査機器を導入しており、即日結果を知ることができる。
- 3検査結果をもとに治療計画を立てる
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検査結果がすべて出た段階で、今後の治療方針を医師と相談する。本人の生活背景などを考慮し、途中で挫折せず継続できる計画を立てることが重要だ。また、検査の結果によっては、経過観察となることもある。
- 4医師の診療に加え、管理栄養士による指導を受ける
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糖尿病治療の基本は食事管理となるため、医師の診療に加えて、管理栄養士による指導を受ける。正しい方法を実践するためにプロの助言は大切だ。同院は糖尿病療養の専門知識を持つ管理栄養士の指導を実施しており、一緒に目標数値をめざしていく。普段の食事内容やタイミング、間食の有無などを細かく共有しよう。
- 5数ヵ月に1回のペースで、継続的に通院する
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糖尿病は自覚症状が乏しいため、定期的な通院から足が遠のいてしまいがちだが、血糖値を確認するために通院を継続することが大切。基本は月に1回、数値が安定していれば数ヵ月に1回程度の通院となる。