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市山 卓彦 院長の独自取材記事

torch clinic

(渋谷区/恵比寿駅)

最終更新日:2023/11/17

市山卓彦院長 torch clinic main

恵比寿駅から徒歩1分に位置する「torch clinic」。院長の市山卓彦先生は、周産期救急を中心に研鑽を重ねた後、女性不妊症のみならず男性不妊症も含めた臨床および研究に従事してきた。その経験から、仕事を辞めないと不妊治療ができないといった社会課題の解決と、生殖医療のオペレーションを改善することで無駄な診療時間を削りたいとの思いを強くし、2022年に開業。質の高い医療を提供することはもちろん、不妊治療と就労の両立、院内のDX化による滞在時間の短縮、プレコンセプションケアの推進による妊孕性に関する知識の普及など、さまざまな試みをしている。「生殖医療を通じて、より多くの家族計画に寄与することをめざしています」と語る市山院長に、生殖医療にかける思いや、クリニックの方針などについて聞いた。

(取材日2023年9月28日)

生殖医療を通じて、家族計画に寄与する

産婦人科の医師を志したきっかけは何だったのでしょうか?

市山卓彦院長 torch clinic1

私の実家は、山口県で内科を開業しています。特に祖父は、90歳で亡くなる1週間前まで診療を続けており、その姿を見て素晴らしいと感じていたんです。実際、実習が始まるまでは呼吸器内科に興味がありました。ところが、産婦人科に実習に行った時、子宮頸がんの患者さんが亡くなる場面に遭遇したんです。子宮頸がんはワクチンによる予防や、検診での早期発見が望めます。予防医療の知識を持ち、妊孕性教育がなされていれば亡くならずに済んだかもしれないわけです。しかし、当時は子宮頸がんワクチンの副反応が問題になっていました。日本における子宮頸がんワクチンの接種率が低いのは、世論の影響が大きいと思います。そこで私は、生産年齢の女性の命を救うため、ワクチンを普及させたいと思い、産婦人科の医師を志しました。

その後の経歴を教えてください。

大学卒業後は、順天堂大学医学部附属静岡病院で、周産期医療に従事しました。周産期救急に携わる医師として安定してきた時、より多くの人を救うことができるようにサブスペシャリティーを身につけたいと考えました。周産期医療では、高齢で不妊治療を受けている患者さんが多かったのですが、産婦人科の医師に対し、生殖医療を専門とする医師は少ない現状があり、悩んでいる人が多いのに、医師の数が圧倒的に足らないんです。そこで、不妊治療を専門に扱うセントマザー産婦人科医院で、不妊をしっかり研究しようと思いました。ここでは、3年間で多くの体外受精を経験させてもらいました。その後、順天堂大学医学部附属浦安病院不妊センターで副センター長を務めました。生殖医療は、人間の根源的な欲求である子孫を残すという点に関われるところにやりがいを感じています。

クリニックの理念を教えてください。

市山卓彦院長 torch clinic2

当院では、生殖医療を通じて、より多くの方の家族計画に寄与することをめざしています。そのため、子どもを望む人に対して良質な生殖医療を提供することはもちろんのこと、ただ子どもを産むだけでなく、子どもを何人産んで、どのような家族を形成していくかという計画に合わせた医療を提供したいと考えています。そのため当院では、最終的に何人産みたいのかを見据えた治療を提案するようにしています。患者さんが妊娠する力と、欲しい子どもの数を意識した医療が大事だと考えているからです。

不妊治療と就労の両立をめざす

家族計画は問診の際に聞くのですか?

市山卓彦院長 torch clinic3

問診では、クリニック専用の受診アプリを活用しています。そこに「今後の家族計画について教えてください」という項目があります。アプリを使用する理由は、現場で答えられないことを、じっくり考えて回答してほしいからです。また、アプリであれば、性交渉の頻度、パートナーとの関係がいつからか、過去の中絶経験など答えづらいことにも回答しやすいと思います。夫婦で欲しい子どもの数が違う場合もありますが、お互いの正直な気持ちを伺うことができるきっかけにもなるでしょう。性交渉の頻度を尋ねる理由は、不妊治療では、まずタイミング法を勧めることが多いからです。しかし、日本人の半数はセックスレスといわれています。そうしたカップルに、タイミング法を強要することはできません。

受診のしやすさを意識しているそうですね。

当院がめざしているのは、就労との両立です。体外受精を望む人の中には、子どもを産むために仕事を辞めざるを得ないという方も多いと思います。キャリアアップをめざす方は不妊治療を諦めざるを得なかったり、逆に仕事を辞めたことでストレスを抱えてしまう患者さんもいらっしゃるでしょう。仕事との両立が難しい理由の一つが、治療の長期化です。働きながら不妊治療をするには企業や患者さん自身の努力も必要ですが、クリニック側の努力として滞在時間の短縮があげられます。平均的な不妊治療の行うクリニックの滞在時間は2、3時間といわれていますが、当院では平均約1時間20分に短縮できるようにしています。また、土日祝と夜も開院しているので、仕事をしながら通院することも可能です。

滞在時間短縮のために実践していることを教えてください。

市山卓彦院長 torch clinic4

まず、院内をDX化を推進しています。当院では、患者さんのメンタルケアを重視しており、電子カルテにメンタルスコアの項目を設け、数値として見える化しています。それによって、受診前から能動的にメンタルケアができるんです。診察室で患者さんの表情を見て、問題がありそうならメンタルケアを受けることをお勧めするのが一般的ですが、当院では診察にメンタルケアを行うためのスタッフが立ち会うこともできます。また、事前問診が電子カルテに反映されるため、あらかじめ患者さんの情報をインプットしておくことで、その日に必要な検査や治療がスムーズに行えます。さらに、後日会計と院内処方を行うことによって待ち時間を省くことができます。駅から徒歩1分の場所に開業したのも、移動時間を短縮するためです。

意識と能力の高いスタッフ一丸となって治療に取り組む

プレコンセプションケアに注力していると伺いました。

市山卓彦院長 torch clinic5

プレコンセプションケアとは、妊娠する前の性教育と検査のことです。女性の健康を守ることを目的として、2008年にアメリカ疾病予防管理センターによって提唱されたのですが、あまり認知されていません。リテラシーを高めるため妊孕性に関する知識は非常に重要であるにもかかわらず、日本の性教育ではそれを意識する機会がほとんどないのが現状です。キャリアを積みたい女性は妊活が遅くなりますが、36歳を過ぎると妊孕性が下がることも知られていません。また、不妊治療にはさまざまな治療法の選択肢があります。患者さんには、理解と納得をした上で、治療法を選択し、自分の権利をしっかりと守ってほしいと思っています。

どのようなスタッフが在籍しているのでしょうか?

仕事を辞めないと不妊治療ができないといった社会課題を解決したい、そのためには生殖医療のオペレーションを改善することで無駄な診療時間を削りたいと考えています。それに共感するスタッフを厳選しているため、意識が高く優秀な者が集まっています。また、患者さんの幸せな家族計画を実現するためには、医療従事者としての能力が最低限担保されていることが必要です。温かみのある対応をしても、臨床成績が伴わなければ何の意味もありません。さらに、がんや生殖医療に精通したメンタルケアを行うスタッフ、培養士などがいることも強みの一つです。不妊治療は非常にプライベートな問題なので、他人に相談しにくいんです。そこで心理的なペインを早めに察知し、うつになる前に介入することも重要になります。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

市山卓彦院長 torch clinic6

医療の質の担保とともに、全国の基幹都市に分院を置きたいと考えています。遠隔診療を利用したり、近隣の婦人科の医師と連携を取りながら、地方の患者さんも助けられる体制を作りたいんです。当院の名称は、正しい医療情報にアクセスできるたいまつの役目を果たしたいとの思いから名づけました。同時に、先の見えないトンネルといわれる不妊治療において、将来の家族計画を可視化するという目的もあります。婦人科やレディースクリニックという言葉を使用しなかったのは、男性も通いやすいクリニックをめざしたからです。現在、患者さんの3割は男性で、男性が一人で来院されることもあります。不妊治療は、パートナーと二人で行わないとうまくいきません。当院では幸せな家庭を築くためのお手伝いをさせていただきたいので、悩み事がありましたら、ぜひご相談ください。

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