保険適用での治療も可能
外科手術を併用した矯正治療
すみれ矯正歯科 本郷
(文京区/本郷三丁目駅)
最終更新日:2023/06/19


- 保険診療
矯正治療単独では噛み合わせの改善が期待できない場合に、顎の手術も併用して歯並びの改善を図る外科的矯正治療。保険適用になるケースも多く、「自由診療や美容整形へ行く前にまずは相談に来ていただきたいです」と話すのは、「すみれ矯正歯科 本郷」の院長を務める岡安麻里先生。同院では、院長が以前勤めていた東京大学医学部附属病院時代のネットワークを生かし、高度な専門性のある治療の提供に努めている。今回は、岡安院長に、外科矯正治療とはどういった治療なのか、対象となる症例、保険適用となるケース、メリット・デメリットなど、話を聞いた。
(取材日2022年11月17日)
目次
顎の骨格に問題があり不正咬合を起こしている患者に対して行う「外科的矯正治療」。まずは専門家に相談を
- Qかなり外科的矯正治療について研鑽を積まれてきたそうですね。
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A
▲さまざまな患者の背景に寄り添いながら治療を提供している
東大病院では、口唇裂・口蓋裂をはじめとする先天異常を有する患者さんや、顎の手術を併用した顎変形症の患者さんなどの診療に携わってきました。矯正治療というと自由診療のイメージを持たれる方が多い思うのですが、東大病院の患者さんは8割ぐらいが保険診療、自由診療は2割ほどでした。そのような環境で、重症度の高い症例をたくさん診させていただきました。信頼できる先生とチームを組み、さまざまな治療を行ってきたので、歯並びが悪いというだけでなく、その背景に先天的な病気や代謝の病気などがあっても、外科の先生と連携を取って必要な情報を得ながら治療をするというノウハウを身につけることができたと感じています。
- Q外科的矯正治療について具体的に教えてください。
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A
▲患者のニーズに沿った矯正装置を提供するよう努める
外科的矯正治療というのは、顔の骨格に問題があるために不正咬合の状態にあり、矯正治療単独では十分な噛み合わせをつくることが難しい場合に骨格自体を治すことを目的とした外科手術も併用して行う治療のことを言います。極端に上顎や下顎が前に出ているなどの顎変形症などが対象になります。骨格に対して歯の向きなどをすべて適切な向きに整えた上で、骨格の不調和は手術を行うという流れになるので、手術の前後に矯正治療を行います。外科的矯正治療と単独の矯正治療のボーダーライン上にいらっしゃる方の場合、患者さんのお悩み、主訴がどこにあるのかということと、病態の原因がどこにあるのかという点の両方を診て判断することになります。
- Q矯正が保険適用になることもあるそうですね。
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A
▲カウンセリングルームでじっくり相談できる
はい。厚生労働省が定める先天性の疾患により咬合異常を来している方や、顎変形症で条件に合う方などは保険適用になります。また、重症度の高い反対咬合や受け口、奥歯は噛み合っているのに前歯が噛み合っていない状態の開口なども保険適用になることが多いですね。機能的には何の問題もなくそんなにずれてもいないのに、 患者さん自身は曲がっていると思う、とおっしゃられる場合は、外科的矯正治療ではなく美容整形の範囲になるのかなと思います。逆に、保険適用になる症例かもしれないのに、自由診療のみの歯科医院や美容整形のほうへ行ってしまう方もいるので、まずは外科的矯正治療を行っている歯科医院へ相談することが大切です。
- Qどのような流れで治療を進めるのでしょうか。
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A
▲専門の歯科医師に判断してもらうことが大切だと話す岡安院長
普通の矯正治療と同じように、エックス線で撮影したり歯型を採ったり、顎の機能検査など精密検査をして、一旦矯正の歯科医師がプランを立てます。そのプランをもって、口腔外科ないしは形成外科を受診していただきます。外科でも諸々の検査をして、それをもとに外科の医師がプランを立ててくれるので、そこで意見が一致するか、しない場合はディスカッションをしてすり合わせができたところで、治療がスタートします。外科の手術前に「術前矯正治療」を行い、手術ができそうになったら手術日を決めて手術を行います。その後は「術後矯正治療」といって、新しい顎の位置できちんと噛み合わせをつくるための矯正を行います。
- Q外科的矯正治療のメリットとデメリットを教えてください。
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A
▲プライバシーに配慮した診療室
歯の問題は歯で解決して、骨格の問題は骨格で解決することになるので、不正咬合の原因に対して直接アプローチでき、治した歯並びが長持ちさせやすいのがメリットといえます。デメリットとしては、機能を作るために見た目が多少なりとも変わることを好ましく思わない方もいれば、気持ちの負担になる方もいらっしゃることです。また、全身麻酔なので合併症のリスクや出血、神経を切ることにより感覚が鈍くなった気がするとおっしゃる方も中にはいらっしゃいます。ほとんどの場合、時間とともに解消していきます。こういった手術の合併症みたいなものは、年齢が若ければ若いだけ回復が早まることが期待されます。