宇野 勇樹 院長の独自取材記事
明大前歯科クリニック
(世田谷区/明大前駅)
最終更新日:2024/07/05

明大前駅、東松原駅からそれぞれ徒歩7分。人の多く行き交う世田谷の住宅地に「明大前歯科クリニック」はある。院内は落ち着いた和モダンな雰囲気。口腔内スキャナーや2台のマイクロスコープを備え、一般歯科・小児歯科・審美歯科・矯正・インプラント治療と幅広く診療を行っている。宇野勇樹院長のモットーは、可能な限り歯を残すこと。マイクロスコープを使用して肉眼のおよそ20倍に拡大して確認しながら、虫歯部分だけを緻密に削り取ることを心がける。治療前には丁寧なカウンセリングを行い、治療の様子を動画で見せるなど、患者に寄り添うオープンな診療スタイルも特徴的だ。先進の機器を用いてワンランク上の歯科治療をめざす宇野院長に、同院の特徴や今後の展望について聞いた。
(取材日2024年3月7日)
根本的な問題を明確にして、その改善策を考える
和モダンですてきなクリニックですね。

ありがとうございます。いかにも歯科医院という真っ白な内装ではなく、患者さんがリラックスできるような落ち着いた雰囲気を意識しました。「和菓子屋さんみたい」と言われることもありますね。私は開業するまでの10年間、勤務医として技術を磨きながら、めざすべきクリニックの在り方や診療スタイルを確立してきました。人口密集地でありながら歯科医院が少ないこのエリアで、地域の皆さんに必要とされる歯科医院へと成長していきたいです。
この場所で診療されて1年半がたちますが、どのような感想をお持ちでしょうか?
開業当初から「地域に予防歯科の意識を根づかせたい」という思いがありましたが、それは一層強くなりました。幅広い年代の患者さんに接してきましたが、若い方であっても歯を失ったり口腔内の状態が悪かったりする方が一定数いらっしゃるんです。私は常々患者さんに「治療でいらしてはいけません」と話しています。歯科医院とは「治療」ではなく「予防」をする場所であるべきだと考えているからです。「予防」とはプロのケアだけを指すのではなく、歯科衛生士の技術で正しい歯磨きを体感していただき、デンタルIQともいわれる歯や口の健康への関心の向上をサポートするものだと私は考えています。そのため、患者さんご自身によるホームケアも不可欠です。この1年半で、患者さんは少しずつ予防に目を向けてくださるようになりました。さらに多くの方に予防歯科の重要性について知ってほしいと思います。
治療を開始する前にしっかりカウンセリングを行うそうですね。

緊急対応が必要でない限り、歯型採取や検査をした後に、カウンセリングの時間をしっかりと設けています。口腔内の状態、治療内容、通院回数や費用、患者さんの質問には何でもお答えします。カウンセリングに力を入れるのは、治療のゴールを患者さんと共有するためです。「いつまで通わなくてはいけないんだろう……」といった不安を解消するためにも、患者さんが納得されてから治療をスタートします。説明時に工夫しているのは、動画や画像の活用です。実際に患部の状態を見ていただくことで、患者さんの理解度や納得感も深まると思います。
その他に治療でこだわっていることはありますか?
痛みが出ている歯だけではなく口腔内全体を診て、「なぜ虫歯ができたのか」という根本的な問題を明確にし、その改善策を考えるようにしています。不調がある1本の歯だけを応急処置しても、原因を根本的に取り除かなければ、他の歯も同じような不調に陥りかねません。他に、治療中の痛みへの配慮も心がけています。口腔外バキュームの設置や水の除菌システムの導入など、衛生管理の徹底にも努めています。
精密な治療のために用いるマイクロスコープ
マイクロスコープを活用した治療が特徴的ですね。

当院で導入しているマイクロスコープは、裸眼の約20倍も拡大して見ることができます。虫歯だけをピンポイントで削ることにつなげられ、天然歯を多く残すことをめざせます。当院では2人の歯科医師が診療を行っていて、マイクロスコープも2台備えています。裸眼での歯科治療ではどうしても目視しづらい箇所が出てしまい、歯科医師の経験と勘に頼って治療を行うことになります。すると、虫歯が残っているのを見逃してしまって再発の原因になったり、不必要に削りすぎることで歯をもろくしてしまったりすることも。マイクロスコープを使えば、そのような治療への不安にもアプローチできます。治療の様子を動画撮影することもでき、治療後にはその映像を患者さんにお見せします。
他に治療の精度を上げるための工夫をされていますか?
当院では、ラバーダムというゴムでできたシートを患部以外の箇所にかぶせて治療します。これを用いることで、患者さんの舌の動きなどを気にすることなく、緻密さの求められる治療に専念することができます。治療中に唾液が患部に触れると細菌感染してしまうリスクがあるのですが、ラバーダムにはそれを防ぐ役割もあります。
精密な治療にこだわるのはなぜですか?

最も大きな理由は、低侵襲治療の実現を図り、患者さんの歯をできるだけ残したいからです。体にメスを入れるのは誰しも慎重になるでしょうが、歯科の場合、歯を削ったり抜いたりすることが当たり前のように行われてきました。ですが一度失ったものは二度と戻りませんし、ご自身の歯や神経をできるだけ残しておくことは、健康な生活を送るために大切だと考えられます。入れ歯やインプラントなどの歯科技術もどんどん進歩し、昔に比べてはるかに快適になっていますが、やはり人工物ですから天然歯にはかないません。どうしてももろくなってしまうんですね。
天然の歯はそんなに強いんですね。
そうなんです。人工歯を入れて、お口に合わなかったり治療の質が低かったりすると、生活に不便が生じて心身に影響を及ぼすこともあり得ます。私は子どもの頃、高齢の親族が口の中の不調に悩む姿を見て、歯を残すことの大切さを実感してきました。その人は日々の食事を楽しみにしていましたが、歯の調子が悪化するにつれて、だんだんと食べられる物が減っていきました。悲しそうに料理を処分していた姿が忘れられません。食べられなくなると心身の不調にも影響していくようにも思え、「元気に楽しく生きるためにも、口の健康は大切なんだな」と感じたことを思い出します。
天然歯を大切に、機能と美しさの両立をめざす
その他に、先生が現在注目している診療はありますか?

審美歯科です。新型コロナウイルス感染症の流行中は「マスクで口元が隠れているうちに」と矯正を希望される方が増えました。それだけ皆さん、見た目を気にされているんですね。そのニーズに応えられるよう、当院ではセラミックを使用した補綴治療やホワイトニングにも対応しています。審美歯科を受診するきっかけは見た目の問題でも、そこから歯への意識が高まれば、定期検診に通おうという気持ちや、ホームケアへの意識にもつながるでしょう。そうして健康な歯や噛み合わせを保つことができれば、しっかり噛んでおいしく食べることにもつなげられます。実はそこが大きなポイントで、審美歯科は歯や全身の健康にも影響する可能性があるんです。もちろん見た目の改善に導けると、心の面でもきっと良い変化があるでしょう。当院では天然歯を大切に、極力削らないよう心がけながら機能と美しさの両立をめざしています。
セラミックの特徴を教えてください。
保険診療で使われるコンポジットレジンとの比較になりますが、まず色の精密さが違います。単一ではなく微妙に混ざり合うような、天然歯に近い色合いを表現できます。型採りの材料や工程、また補綴物の製作を依頼する技工所も異なり、それらは歯にかぶせた際の隙間に影響します。隙間ができてしまうと、そこから細菌が入り込んで口腔内の悪化につながりかねません。セラミックでの補綴治療は自由診療ですが、歯へのリスクとてんびんにかけて考える必要があるのです。セラミックにはいくつかの種類があり、素材の硬さなどそれぞれに特徴があります。興味がありましたらお気軽にご相談ください。
今後力を入れたい分野があればお聞かせください。

子どもの歯や発育に関する治療です。開業してまもなく生まれた私の娘は、もう少しで歯が生えそろう年齢になります。この先、虫歯で困ることのないよう、砂糖の取り方に気をつけたり、フッ素塗布を始めたりしていますよ。わが子の成長と歯の健康を見守りながら、同時に地域の子どもたちの歯の健康を守っていきたいと強く思います。ゆくゆくは食育や口腔機能育成にも取り組んでいきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/40万円~、セラミックの詰め物/8万8000円~、セラミックのかぶせ物/14万3000円~、矯正/88万円~、ホワイトニング/3万3000円~