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渡部 真人 院長の独自取材記事

おひさまげんきクリニック

(川崎市高津区/高津駅)

最終更新日:2023/07/26

渡部真人院長 おひさまげんきクリニック main

医療の進歩によって健康寿命が延びた今、医療はよりわかりやすい役割分担で「患者にとって足りないところ」を埋める必要があると「おひさまげんきクリニック」の渡部真人院長は話す。例えば、大病の手術後に風邪をひいた場合、地域のクリニックでは診ることができず、手術をした大学病院や総合病院を受診するよう勧められるケースは多い。いずれも、手術の原因に直結する症状がないのであれば、身近なクリニックで待ち時間なく診てもらえるのが理想だろう。大学病院に勤務し、患者の負担が大きい現状を目の当たりにしてきた渡部先生は、「小回りの利く医療で患者さんを支えなければ、診療の空白を生みかねない」と考えて開業を決意。自らバイクにまたがって訪問診療も行うなど、院名のように「地域の太陽」として幅広い診療を行っている。

(取材日2023年6月12日)

大学病院と連携し、それぞれの強みを生かす役割分担を

帝京大学医学部附属溝口病院と強固に連携していらっしゃるそうですね。

渡部真人院長 おひさまげんきクリニック1

はい。私は大学卒業後、帝京大学医学部附属溝口病院の外科に入局し、長く勤務していました。大学病院では難しい小回りの利く診療で患者さんを助けたいという思いから、病院と距離が近く、患者さんにとって利便性が高いこの場所での開業を決意しました。専門性の高い治療が必要と思われる方を帝京大学医学部附属溝口病院の各診療科に紹介したり、同院で手術を受けて退院された方に経過観察で通院していただいたりという形の連携が多いでしょうか。多くの患者さんを迎える大学病院では、待ち時間が長くなりがちなのに、一人ひとりにかけられる診療時間は限定されてしまいます。その点、当院のようなクリニックでは、一人ひとりに時間をかけて対応することが可能です。受診の負担を抑えたいけれど、以前大きな病気を診てもらった大学病院との関係が切れるのは不安という方にもご利用いただいています。

大きな病気の治療後に改めて受診先に困るケースがあるのですね。

大学病院で大きな手術をした患者さんが、日常生活に戻った後で風邪をひいた場合、地域のクリニックでは診療できないと断られるケースが少なからずあります。手術の原因となった疾病との関連性や、術後の経過がわからないまま診療するのはリスクが高いからです。結果として、軽微な症状であっても、労力と時間をかけて手術をした病院に通う必要性が出てくるわけです。何もないことを確かめに行く術後の経過観察も同様です。情報が共有されてさえいれば、普段は近隣のクリニックで待ち時間なく診てもらい、気になる変化があるときだけ手術をした病院へ行くことができるでしょう。大学病院で勤務する中で、そうした患者さんの負担の大きさを知り、問題解決の一助となるクリニックが必要だと考えるようになりました。同時に、こうしたクリニックがあることで役割分担ができれば、大学病院は本来の高度医療に集中できるというメリットもあるでしょう。

大学病院の先生方による診療も受けられるとか。

渡部真人院長 おひさまげんきクリニック2

帝京大学医学部附属溝口病院の内科や外科から、多くの先生方を招いて外来診療を担当していただいています。時には、患者さんに合わせて特定のドクターにお声がけし、外来をお願いすることもあります。今も遠慮なく連絡を取り合える関係性の深い先生方が多いので、スムーズに紹介を進められ、適切な治療につなげやすい点もメリットだと思います。大学病院にいた先生がクリニックでも継続して診てくれたら、患者さんも安心ですよね。加えて、実は医師のほうでも、病院で自身が診ていた患者さんのその後に関わりたい、見届けたいという思いは少なからず持っているものなのです。

地域リソースの活用で、安心できる自宅療養を支援

具体的にはどのような患者さんが受診されていますか。

渡部真人院長 おひさまげんきクリニック3

私のキャリアは呼吸器外科からスタートしていて、診療科としても「呼吸器内科」を標榜していることから、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの患者さんは多いですね。とはいえ、どのような症状でもまずは相談をお受けする総合診療のようなスタンスですので、頭痛や咳、鼻水といった軽い症状や生活習慣病の管理にも対応しています。「具合が悪いがどの科に行けば良いかわからない」という方からのご相談もよくあります。当院で治療が可能なものについては当院で対応し、高度な治療が求められるものは大学病院へご紹介しています。他方で、大学病院での治療後に状態が落ち着いているからと退院された方で経過観察のための外来受診を希望される方、同様に自宅療養に切り替えて訪問診療を求められる方も多くいらっしゃいます。

訪問診療にも力を入れていらっしゃるのですね。

加齢や病気の状態によって通院が難しくなった患者さんは、治療を継続するために入院を余儀なくされ、そのまま病院で最期を迎えることが少なくありません。しかし、「余生は家で過ごしたい」「自宅で最期を迎えたい」と望む患者さんはとても多いのです。対して、受け皿となる在宅医療はまだ発展途上で、普及も十分とはいえません。実践を通じて学びを重ね、ベストな方法を模索しているのが現状なのです。開院以来、バイクに機材を積んで訪問を続けてきましたが、その中で訪問看護ステーションやナーシングホーム、ケアマネジャーら、地域で活躍する他の事業者との連携を深めることができてきたのは大きな強みとなっています。

地域の医療・介護サービスとはどのように連携していますか。

渡部真人院長 おひさまげんきクリニック4

大学病院からの退院が決まっても、その時点で自宅での迎え入れ準備が整っていないというケースは多々あります。そうしたケースでは大学病院のドクターから「このタイミングで退院してもらいたい」という連絡を直接受けて対応することもあります。病状とご本人・ご家族の要望だけ伺い、こちらでマッチしそうな訪問看護師や訪問介護士、ケアマネジャーなどを手配する形です。もちろん大学病院にもこうした手配を担う部門はありますが、どうしても手続きに時間がかかってしまいます。在宅医療への切り替えでは、「1日でも早く自宅に戻って、少しでも長く家族と過ごしたい」というような一分一秒を争うようなケースもあり、スピード感を持って対応できる小回りの利くクリニックこそが求められる場面も多いと感じています。

症状の程度を問わず、患者が本音で語れる診療を提供

診療の際に心がけていらっしゃることは何ですか。

渡部真人院長 おひさまげんきクリニック5

心構えとしては、常に「気楽にやろうぜ」というスタンスを大切にしています。患者さんに向き合う際には、皆さんが恐れることなく、今できることを精一杯やって気楽に過ごせるようにという気持ちと態度で接しているのです。これは、普段の診療でも、命の灯が消えそうな患者さんに対する時も変わりません。医師が難しい顔をして威張っていては、患者さんやご家族から本音を引き出すことは難しいでしょう。「実はこれがやりたい」とか「こんなこと聞いて良いのかわからないけど」と、気軽に口を開いていただけるように、緊張せずに話せる雰囲気づくりは意識しています。

今後の展望を教えてください。

クリニックとしての医療スタンスを変える気はありませんし、これまでどおりの診療で広く患者さんとご家族を支えていければと考えています。一方で、当院の診療を通して若いドクターの教育面で力になりたいですね。当院で実践しているような、時間をとって患者さんの話を聞き、実際に手で触れるなど五感を駆使して診る診療を若いうちに経験してほしいのです。そのため、訪問診療で私がクリニックを離れている間の診療は帝京大学病院の若い医師に任せるようにしています。当院では経験豊富な大学病院の医師がバックアップしてくれていますので、経験不足によりわからないこと、自信が持てないことがあれば、抱え込まずすぐに相談するようにというスタンスです。高度な機器による検査ももちろん重要ですが、丁寧な診療を通して、小さな兆しから病気を疑う感覚を養う経験は若い医師にとって非常に大切なものなのです。

読者へひと言メッセージをお願いします。

渡部真人院長 おひさまげんきクリニック6

内科・循環器内科を掲げていますが、どのような症状でも選別せず、幅広くご相談をお受けしています。普段と少し違う体調不良を感じつつも、「こんな小さな症状で大学病院を受診するのは」とためらうようなケースでも、診察により必要と感じれば大学病院での検査や治療へとつなげます。軽微な症状でも気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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