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申 将守 院長の独自取材記事

しんこどもクリニック

(新潟市秋葉区/荻川駅)

最終更新日:2022/08/19

申将守院長 しんこどもクリニック main

新潟市秋葉区に2022年5月にオープンした「しんこどもクリニック」。新潟大学医歯学総合病院などで小児科の診療に携わってきた申将守(しん・ちゃんす)院長が、もともとこの地にあった小児科クリニックを継承し、新たに開業した。広い駐車場を備え、新型コロナウイルスの流行下においては車内診療を実施。また院内に隔離室2部屋を確保し、発熱患者の待機スペースとして活用している。小児がんを専門として、難しい病気と闘う子どもやその保護者に向き合ってきた申院長は、診療におけるコミュニケーションの大切さを強調。「診療のみならず、予防接種や健康診断などを通じて地域の子どもたちの成長・発達を支えたい」と抱負を語る。そんな申院長に、診療にかける想いや理想とするクリニックの在り方など、じっくり話を聞いた。

(取材日2022年7月26日)

地元の小児科クリニックを継承し、新たにオープン

閉院した小児科クリニックを引き継いで開業されたのですね。

申将守院長 しんこどもクリニック1

ここでクリニックを開業されていた先生とは以前から交流があり、昨年、閉院を考えているというお話を伺ったんです。秋葉区は小児科クリニックが少ない地域で、閉院されると地域の皆さんが困ることになるだろうと感じたのと、その先生から「開業を考えているなら引き継ぎませんか」と言っていただいたことで、こちらでの開業を決めました。患者さんも元のクリニックに通われていた方が多いですね。建物はそのまま引き継ぎ、内装のみ少し手を加えました。広い建物なので、感染症の疑いがある方にお待ちいただく隔離室も2部屋確保できています。

スタッフの皆さんも以前のクリニックから引き続き勤務されているのですか。

約半数は継続採用したベテランスタッフです。患者さんのこともよく知っていて、私もいろいろ教えてもらえますし、顔見知りのスタッフがいると患者さんも安心されるようです。新たに採用したスタッフには、過去に勤務していた職場での経験から意見をもらっています。私が全部決めて指示するというよりも、みんなの経験を生かし、意見を持ち寄りながらクリニックをつくり上げている感じですね。私自身も複数の病院で外来診療の経験を積んできて、診療内容としてはこれまでの延長線上にあるといえます。しかし、元のクリニックに通われていた患者さんを引き継いだという責任の重さ、院長としてクリニック全体に目を配らなければならないという重圧は想像以上のものでした。新型コロナウイルス感染症第7波における患者さんの急増にもしっかり対応できているのは、スタッフのおかげだと感謝しています。

感染症対策としてはどのようなことをされていますか。

申将守院長 しんこどもクリニック2

当院では待ち時間の短縮、院内感染防止の観点からウェブ予約を取り入れています。体調を崩したお子さんを長時間待たせるのは大きな負担ですし、院内感染のリスクが懸念されます。患者さんやご家族の負担軽減、安全確保につながればと考えています。また予約時に問診票を記入いただいているため、どのような症状で来院されるかを事前に把握できます。もちろん、医師・スタッフは常にマスク、ゴーグル、フェイスシールドといった防具を身につけるといった対策も徹底しています。新型コロナウイルス感染を疑って来られる方も増えており、発熱がある場合には駐車場で待機していただき車内診療を行っています。

デジタルツールは感染症対策としても有用なのですね。

希望される患者さん全員が受診できるのが理想ですが、感染症が流行している中、安全を確保しながら診療を続けるには、受診時間・人数をある程度コントロールする必要があります。ウェブ予約により待ち時間が少なく受診できることに加え、事前に問診票の記入まで済ませておけば院内滞在時間も短く済み、ほかの患者さんとの接触を減らせます。なかなか予約が取れない、急に体調を崩したときに受診しづらいといった声もありますが、安心して受診いただける環境を守るための方策だとご理解いただければ幸いです。また、当院ではSNSでの情報発信にも取り組んでいます。多忙な親御さんたちに当院の情報をお届けするのに有用な手段だと考えています。

コミュニケーション重視の診療で子どもの不調を捉える

大学病院などとの連携も重視されていますね。

申将守院長 しんこどもクリニック3

小児科はお子さんのあらゆる症状を診ますので、最初の訴えを聞いて丁寧に診察し、専門医療を受ける必要があると判断したら大学病院など適切な専門医療機関へご紹介するという、重要な役割を担っていると思います。地域のクリニックは風邪などの軽い症状にしっかり対応し、大学病院や大規模病院には専門医療に集中してもらう。それが、地域の皆さんの健康の維持・向上につながると考えています。小児科の医師は基本的になんでも診られるよう知識と経験を積んでいますので、お子さんに心配な症状が表れたら、まずは地域の小児科クリニックにご相談ください。

それが小児科クリニックの重要な役割なのですね。

地域にお住まいのお子さん、親御さんが気軽になんでも相談できるような場所であるべきですし、病気を診るだけでなく、お子さんの成長や発達を見守るという役割も課されていると考えています。例えば予防接種、ワクチン接種については、秋葉区の子どもたちがほかの地域から遅れることなく受けられるよう努めなければなりません。また、定期健診や学校健診、幼稚園や保育園での健診を通して、子どもたちが順調に育っているか、また健康に過ごせる環境が整っているか見ていかなければなりません。お子さんの成長や発達を見守るというのも、地域の小児科クリニックが担う大切な役割だといえるでしょう。

小児科ならではの難しさもあると思いますが、工夫していることはありますか。

申将守院長 しんこどもクリニック4

お子さんとのコミュニケーションには難しい面もありますね。言葉を話せない年齢だとお子さん自身が症状を説明できず、言葉を話せる年齢であっても親御さんや医師に自らの状況を正確に伝えるのは難しいでしょう。だからこそ、小児科の医師にはお子さんの気持ちを理解し、訴えをくみ取る力、お子さんの様子をよく観察する力が必要なんです。当院ではウェブ予約の際に問診票を書いていただいていますが、診察時にはその内容に基づいてどのような症状があるのか、お子さんと親御さんに具体的にお話しいただいています。また、言葉でのコミュニケーションにとどまらず、お子さんの表情や反応、全身の様子からできる限り多くの情報を得ようと努めています。開業から2ヵ月たちましたので、2回、3回と通ってくださる方も増えています。継続して通っていただけるというのは本当にうれしいことですね。

子どもが理解・納得して受診できるクリニックをめざす

先生が小児科の道に進まれた理由を教えてください。

申将守院長 しんこどもクリニック5

医学部を卒業し、研修医としてさまざまな診療科を回る中で、小児科外来の穏やかな雰囲気に惹かれたんです。もちろん病気のお子さんを連れて来られる親御さんは大きな不安を抱えておられますが、私を指導してくれた先生も看護師さんたちもとても温かくて、最終的には親御さんも笑顔になって帰られるんです。大人を対象としたほかの診療科とはまったく違う雰囲気、お子さんが元気を取り戻す、笑顔になるというのが良いなと思って小児科に進みました。大学病院では小児がんを専門として診療に携わってきました。

お忙しいと思いますが、休日はどのように過ごされていますか。

当院の患者さんと同年代の娘が2人いますので、休日は子どもたちと遊ぶことが多いですね。大学病院に勤務していた頃と比べれば規則的な生活ができており、家族と過ごす時間も増えました。クリニックでの診療を継続していくため、自分自身の心身の健康維持にも努めていきたいと思っています。

今後、どのようなクリニックにしていきたいとお考えですか。

申将守院長 しんこどもクリニック6

将来的には、ゆとりを持ってお子さん・親御さんとお話できるような診療環境をつくっていきたいと考えています。病気だけでなく、お子さんの成長・発達を見守るのも小児科医の重要な役割ですので、ちょっとした心配事を気軽にご相談いただけるような場所にできるといいですね。また小児科では、親御さんが嫌がるお子さんを連れて来て、お子さんは泣きながら診療や予防接種を受けるという場面がよく見られます。理想をいえば、なぜ受診しなければならないのか、予防接種は何のために受けるのかといったことをお子さん自身が理解し、納得できるよう、コミュニケーションをさらに深めていければと考えています。お子さん自身が「体調が悪いからクリニックに行かなきゃ」と思えるような場所にできたらいいですね。

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