生活の質と見え方の質が大切
患者の真意に寄り添う白内障手術
くらかず眼科
(さいたま市見沼区/大宮駅)
最終更新日:2024/12/03


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非常に多くの患者がいる白内障。老化現象であり、ある程度の年齢になると避けられない病気だが、今は人工水晶体である眼内レンズに置き換える手術によって、見え方の改善を図ることができる。保険適用となり認知も進み広がりを見せる白内障の手術だが、一方で目にメスを入れることに対する不安も患者には大きいことだろう。さいたま市にある「くらかず眼科」では、患者の人生にプラスとなる治療をめざして、豊富な種類のレンズを用意して白内障の手術を行っている。白内障の手術を検討する時、患者としてどのようなことに気をつければいいのか、実際にどのように手術が行われるのか、一般の眼科では対応しづらい難症例を含め、数多くの治療を行ってきた倉員敏明(くらかず・としあき)院長に詳しい話を聞いた。
(取材日2024年10月25日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q白内障の自覚症状や治療法について教えてください。
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A
白内障は老化とともにゆっくりと進行しますので、症状を自覚しにくい病気です。気づいた時には視界が白く濁ったり、物がかすんで見えたり、まぶしく感じたりして見えにくくなっています。指摘されるまで気づかないこともあります。治療法は濁った水晶体を眼内レンズに置き換える手術で視力の回復を図ります。70歳を過ぎたら眼科を受診されると良いでしょう。重要なのは、定期的に検査を受け、ご自分の目の状態を記録に残しておくこと。私自身、患者さまのカルテを守り次へと引き継ぐことが、医師免許をいただいた人間として守らないといけない使命だと感じています。どんな病気も以前のデータや画像と比べたことで発見できることは多いのです。
- Q白内障の手術で一番注意したい点はどんなことですか?
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A
手術は濁った水晶体を取り除き、代わりに人工水晶体である眼内レンズを挿入します。この時重要なのがレンズ選び。現在はたくさんの種類の眼内レンズがありますが、大きく分けて「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」があります。当院では患者さんの症状や要望、生活スタイルなどに合わせて選べるよう、多くの種類のレンズを用意しています。私自身、国内で販売されている多くの眼内レンズの開発に関わってきました。そこで得た知見や経験を当院の患者さまにフィードバックできるように心がけています。眼内レンズの特徴はさまざまなので、その利点を生かすため、時には左右別々のメーカーや種類の眼内レンズを提案することもあります。
- Q患者さんに適したレンズ選びが大切なのですね。
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A
「きれいに見えるようになりたい」といっても、患者さんによって「きれい」の中身はまったく異なります。その真意をしっかりと把握し、くみ取っていくのも私たちの仕事。車を運転しない方が遠くがきれいに見えたとしてもミスマッチですし、読書が好きなら手元がよく見えるほうが良いでしょう。患者さんご本人も自分がどう見えたら満足なのかわからない場合がほとんどですから、丁寧にコミュニケーションを取り、眼内レンズのことを詳しくご説明して提案します。眼内レンズが合わなければ、違うものに入れ替えればいいという考えもあるようですが、それでは患者さんの心が傷ついてしまいます。手術を後悔することだけはないようにと思っています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1術前の説明・眼内レンズの選択
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一番神経を使わなくてはならないのが眼内レンズの選択。自分の求める「見え方」とはどういうものなのかに注目し、どういう生活スタイルなのか、趣味や仕事なども医師とよく話して、眼内レンズを選択する。単に単焦点・多焦点というだけでなく、メーカーや商品によって特徴が違うため、よく説明を聞いて選択することが肝心。同院では今だけでなく、5年後にどんな生活をしているかも視野に入れて提案しているという。
- 2手術
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術前は抗生剤の点眼薬を使用。倉員院長の場合、手術時間の短さも特徴。おおむね4~5分程度、難症例でも10分程度だそう。痛みに関しては、保護のために目の周囲に貼るテープをはがすときが1番痛いといわれるほど、術中の痛みには配慮されている。倉員院長は、患者を安心させるメンタルコントロールも大切だと考えていて、術前の控室では他愛ないおしゃべりをし、リラックスしてもらった後に手術を行うという。
- 3リカバリールーム
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手術後は落ち着いた雰囲気のリカバリールームで休憩する。10分から15分程度、気分を落ち着かせてから帰宅できる。時間制限は特にないので、患者自身が落ち着くまでゆっくり休むことも可能だ。落ち着いたら会計、点眼薬をもらい帰宅。自分で車を運転して帰ることはできないので、公共の交通機関を使うか、家族などに送り迎えしてもらうといいだろう。
- 4手術後に気をつけること
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手術で一番怖いのは、手術後の感染症。白内障手術後の感染症は、いくら対策をしても完全に防ぐことはできないので注意が必要。感染症予防のために点眼薬が処方されているので、用法に従って必ず点眼すること。同院では、術後に少しでも見え方に異常を感じた場合は、なんでもないことを確認するためにもすぐに来院することを強く勧めている。
- 5定期検診
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手術の翌日に必ず受診し、視力の測定と傷口の経過観察を受ける。約1週間で視力と傷口の状態が安定してくることが見込めるので、その際に視力を再度測定。その後は1ヵ月後、3ヵ月後、半年後と定期的に検診を受けて、あとは半年ごとに経過を観察してもらう。常に見え方に異常がないか意識し、何か少しでも気になることがあったら診察を受けることが大切。同院では同時に家族や周囲の人の検診も推奨している。
自由診療費用の目安
自由診療とは多焦点眼内レンズ(選定療養)/28万円