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倉員 敏明 院長の独自取材記事

くらかず眼科

(さいたま市見沼区/大宮駅)

最終更新日:2023/08/31

倉員敏明院長 くらかず眼科 main

大宮駅からバスで約15分。緑豊かな住宅地にある「くらかず眼科」。広い待合室には大きな窓を設置し、術後のリカバリールームや家族が手術を見学する部屋を設けるなど、院内には患者と家族が安心して過ごせるような配慮が多くみられる。長年地域医療に携わり、硝子体手術を専門とする院長、倉員敏明先生の信念は「困っている患者さんと地域に寄り添う」。新たな検査や治療の技術も取り入れつつ、一人ひとりの患者にとって最善と考えられる医療をめざす。クリニックでは白内障、緑内障、網膜疾患の診療に力を入れており、硝子体手術では難しい症例や重症例の手術も多く受け入れ、緊急手術にも対応。「患者さんには笑顔で帰宅してほしい」と語る倉員院長に、地域に根差した医療へのこだわりと、診療において力を注いでいることについて聞いた。

(取材日2023年7月26日)

困っている地域の力になりたいと開業を決意

以前、この地で開業していたクリニックを引き継いだとお聞きしました。その経緯を教えてください。

倉員敏明院長 くらかず眼科1

私は眼科医になってから、20年以上地域医療に携わってきました。いわゆる医療過疎地域にある総合病院で、眼科診療の拠点となる眼科センターを立ち上げ、網膜硝子体や白内障の手術を中心に、地域の患者さんたちの治療を続けてきました。その経験と技術が評価され、この地で開業した眼科に呼んでいただきましたが、その眼科がコロナ禍に閉院。私はもともと、大変な状況で仲間と力を合わせて医療を守るという環境に長く身を置いていたせいか、逆境でこそ闘志を燃やすタイプです。この地で患者さんの目の健康を守ることが自分の役割と考え、前の眼科の建物をそのまま引き継ぎ「くらかず眼科」として再出発することを決めました。

地域の人たちにとって、クリニックをどんな場所にしたいとお考えですか?

患者さんやご家族が快適に過ごせるよう、待合室は広く設けています。手術室の隣にはご家族が手術の様子を見られる部屋があり、術前術後に患者さんやご家族がリラックスして過ごせるようにリカバリールームも設置しています。建物は大きく近代的なイメージですが、私はここを、人のぬくもりを感じられる温かい場所にしたいと思ってきました。その思いは少しずつ地域に浸透しているようで、今では季節ごとに野菜を届けてくださったり、お昼におにぎりを差し入れてくださったりする患者さんも。また玄関前のスペースを、近所の皆さんがラジオ体操をする場所として使っていただいているのですが、毎朝体操が終わると、お礼にと皆さんが掃除をしてくださいます。クリニックが地域の憩いの場になりつつあるようで、とてもうれしいです。

もともと、先生はなぜ眼科の医師になろうと思われたのですか?

倉員敏明院長 くらかず眼科2

実は、私は脚本家になりたいと思っていました。でも、ある人から「それでは食べていけないよ。手に職をつけたほうがいい」と言われ、医師でありながら作家でもあった人の存在を知ったことをきっかけに、医師の道へ。最初は外科にいたのですが、自分はどうも患者さんに感情移入しすぎてしまうところがあると気づきました。がんで亡くなる患者さんなどを多く見るうち、「このままでは自分の体がもたない」と思うようになったのです。でも、手術は好きだったので、命を救うというより、生きる上で大切な機能を改善するために力を尽くし、患者さんに喜んでもらえるような手術に携わりたいと考え、眼科を選びました。今ではこの仕事を天職だと思っています。

こだわりは「わかりやすさ」と「質の高い医療」

患者さんにわかりやすく説明するために、どのような工夫をされているのですか?

倉員敏明院長 くらかず眼科3

治療のためには、患者さんに病気や治療などについて正しく理解していただくことが大事です。そのため、診察時は大きなモニターに画像などを映しながら説明を行います。また、手術の細かい説明などは、選任のスタッフが個別に説明する時間を設けています。医師の説明だけでは患者さんも理解しきれないことがあるかもしれません。スタッフが重ねて説明することで理解が進みますし、医師には「ちょっと聞きにくいな」と思うことも、看護師になら聞きやすいということも。また、患者さんに説明するためには、スタッフがそのことを十分に理解する必要があるため、スタッフの教育にもつながっています。

先生にとっての「質の高い医療」とはどのようなものですか?

医療の世界は日進月歩。例えば、目の奥の血管や網膜の状態を診る眼底検査は、「散瞳」といって目薬で瞳孔を開いてから行うため、検査後は見えにくくなる難点がありました。しかし、今では散瞳をしなくても、より高精度の診断が可能な検査法があるため、当院では患者さんへの負担の少ない検査として取り入れています。また、白内障の手術で使う眼内レンズは種類が多く、どの眼内レンズを選択するかで期待できる見え方が異なります。「高価=最良のレンズ」とは限りません。生活背景により患者さんが望む見え方はさまざまなので、医師が自分や自分の家族に置き換えて患者さんの生活を想像することも大切です。私は眼内レンズの開発や研究に長年携わり、レンズの特性は十分理解できていると自負しています。新しい技術も取り入れつつ、医師の知識と患者さんから学んだ知識と経験を生かして最善と思われる治療法を提案する。それが「質の高い医療」と考えています。

難度の高い手術や重症な症例に対する手術も多く行っているようですね。

倉員敏明院長 くらかず眼科4

白内障や緑内障の手術、網膜の病気に対する硝子体手術などを多く行っていることが当院の特色で、特に硝子体手術は重症例に対する手術も多く実施しています。簡単な硝子体手術ができる施設は増えていますが、大学病院で行うような難度の高い手術を日帰りで行っている眼科は少ないと思います。また、緊急手術にも対応しています。網膜の病気では、時間がたつほど悪化し、治療後の見え方に影響するケースもあるためです。いつでも手術ができるよう体制を整えてサポートしてくれる優秀なスタッフに感謝しています。ですから、当院では緊急手術後は私も一緒に、みんなで掃除をして帰ります。そして、緊急手術をした医師は、スタッフみんなに感謝の気持ちとしてジュースを1本ずつごちそうするのが、前の眼科時代からの習わしです。

仕事を通してこの地で多くの人との絆を結びたい

患者さんとのコミュニケーションにおいて心がけていることは何ですか?

倉員敏明院長 くらかず眼科5

緊急手術の場合、患者さんと初めて会ってから1、2時間後に手術ということもあります。そういう患者さんほど、術後のフォローをしっかりして人間関係を築けるよう医師もスタッフも対応しています。術後はそばに座り、手術の経過や感想、今後の予測できる症状や治療などについてゆっくりお話しします。そこから、患者さんと私たちの関係が始まると思っています。もう1つ、重視していることが、患者さんと「人と人」として対等な関係を築くこと。治療のときは、どうしても「医師と患者」という上下関係のようなものを感じる患者さんも多いでしょう。でも、だからこそ診察が終わって患者さんが診察室を出る前には、「暑いから気をつけてね」「良いお年をね」など、必ず言葉をかけるようにしています。そんなふうにして、患者さんが診察室を出るときには笑顔になっておうちに帰っていただきたいと思っています。

入院治療が必要な場合はどうしているのですか?

当院の手術は日帰りで行っていますが、入院による手術や治療が必要な場合は連携している病院に紹介します。例えば、重症緑内障では術後に慎重なケアが必要な手術もあり、それを通院で行うには無理があるため、そういう場合も信頼できる先生にお願いします。昔から若い先生方にも「他の先生が手術したほうがいいと思ったら、僕の前を素通りしてくれてまったくかまわないよ。逆にそういう先生を探して、そういう人たちと仲間になろう」と伝えています。他の施設や先生方との連携体制を作り、「この病気ならこの先生に行くといいよ」と提案できる眼科になりたいですし、周囲からも「くらかず眼科に任せておけば間違いないよ」と言われるような存在になりたいですね。

最後に、先生の趣味や好きなことを教えてください。

倉員敏明院長 くらかず眼科6

趣味は、結局のところ「仕事」です。やっぱり仕事が好きで、手術が好き。ですから診療時間以外も、手術に使う道具の開発や販売戦略に携わったり、講演や若い先生の教育に出かけたり。そういうことが好きで、楽しいです。仕事を通して多くの人と出会えることも楽しいですし、もちろん患者さんとの出会いも同じ。大変な思いを共有した患者さんほど、絆が深まると感じています。

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