傷痕が目立ちにくい、自然な目元をめざす
逆さまつげの手術
橋本形成外科・美容皮膚科
(堺市堺区/堺東駅)
最終更新日:2024/06/18
- 保険診療
本来は目の外側に向かって生えるまつげが、内側に向かって生える「逆さまつげ」。まつげが眼球に触れると涙が多く出たり、ゴロゴロとした違和感があったりするほか、痛み、充血、目やにといった不快な症状も引き起こす。さらには角膜が傷つき、視力低下を招くこともあるので注意が必要だ。中には長年悩みながらも、保険診療で治療が受けられることを知らない人も多い。「橋本形成外科・美容皮膚科」の橋本隆宏院長は、大学病院や総合病院で眼瞼下垂など目まわりの手術における研鑽を重ね、逆さまつげの治療も数多く経験してきたスペシャリスト。「同じ逆さまつげでも、生え方や年齢で治療方法は異なります。お一人お一人のタイプに合った治療が大切」と語る。日本形成外科学会形成外科専門医である橋本院長に、逆さまつげの手術について話を聞いた。
(取材日2023年8月27日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q逆さまつげの症状、その原因について教えてください。
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A
そもそもまつげは目の外側に向かって生えるものですが、逆さまつげはまつげが目の内側に向かって生え、眼球に触れた状態になっていることを指します。まつげが常に眼球に当たるので、ゴロゴロとした違和感、痛み、充血、目やに、涙が多く出る、羞明(まぶしさ)といった症状を引き起こします。また、逆さまつげの原因は、先天的なものと後天的なものがあり、睫毛内反といって生まれつきまぶたの脂肪が厚いせいでまつげが自然と内側に向くケースと、眼瞼内反という加齢に伴って目の周りの皮膚や筋肉・靱帯などが衰えることでまぶたの形が変化してまつげも内側に向いてしまうケース、その両方が重なって起こるケースなどがあります。
- Q引き起こされるトラブルや放置しておくリスクはありますか?
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A
まつげが目に当たる違和感から、目をこすってしまったり、頻繁に触ったりすることで、ひどい場合には角膜を傷つけて炎症や視力低下を招くこともあります。たまに逆まつげが生じるくらいであればいいですが、中には、睫毛乱生といってまつげが外側と内側に乱れて生えているタイプの人や睫毛重生というまつげが何重にも折り重なって生えているタイプの人もいます。程度の強い人は長期間にわたってまつげの影響を受け、それだけQOL(生活の質)の低下にもつながってしまいますから、早い段階で根本的な治療を検討し、専門的知識を有する形成外科を受診したほうがいいでしょう。
- Q逆さまつげの治療について教えてください。
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A
数本であれば、まつげを抜いて様子を見ることもありますが、根本的治療には手術が必要となります。手術は糸で縫合して矯正を図る方法と切開を伴う方法があり、患者さんのご年齢や状態に合わせて治療法を選択します。手術は日帰りで、時間は縫合法が約30分、切開法が1時間ほどです。当院では表皮の状態が落ち着いた数ヵ月後の仕上がりをイメージして、傷痕の少ない手術に取り組んでいます。そのために、できるだけ少ない麻酔で痛みを取ることをめざし、かつ出血が少ない手術を追求しています。また手術中は患者さんが不安な気持ちにならないように、お声をかけたり、好きな音楽を流したりして、リラックスできる環境を整えています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・診察
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問診票をもとに、症状について医師が確認する。「いつどのような症状が起こっているか」「いつから症状を感じ始めたか」「今どういった状況にあって不便を感じているか」など。ほかに、既往歴や現在治療中の病気、服用中の薬の有無についても問われる。特に抗血栓薬を使用している場合は、必要に応じて手術前に数日間、服薬を止める必要があることも。また、手術をするタイミングについても検討していく。
- 2検査
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まつげがどの程度上がっているのか、どのような生え方をしているか目視で確認される。まばたきをゆっくり繰り返して、まつげがどういった形で眼球に当たっているのかも診られる。中には日によって逆さまつげがあったりなかったりする人もいるので、どういった時に違和感があるか詳しく伝えよう。また、すでに逆さまつげを抜いてしまっている場合は、生えてから検査する。
- 3手術開始
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逆さまつげのタイプによって術式を決定し、手術を行う。手術は日帰りで、手術時間は30分から1時間くらいの短時間で済むそう。また、できるだけ痛みを感じないよう、細い針を使って注射による局所麻酔を行うという。術後はガーゼやテープを貼っているため、帽子とサングラスを持ってきたほうが良いとのこと。自宅に帰ったら腫れ、内出血、痛み軽減の目的でクーリングを行う。念のため痛みが出た時のための鎮痛薬も処方される。
- 4経過観察
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翌日に再度来院し、診察を受ける。痛みや腫れ、内出血の程度を確認される。問題がなければ、その日から洗顔や洗髪をしてもいいそうだ。デスクワークであれば翌日から可能だが、腫れが引くのには1週間ほどかかる。2、3日は激しい運動は控え、抜糸をする1週間後まではメイクも禁止。また、抜糸まで炎症を抑えるための軟膏をつけて自己処置を行う。
- 5抜糸・定期検査
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1週間後、抜糸のために来院。この時には大半の人が腫れも引いているそう。その後は1ヵ月後に再度来院して、検診を受ける。矯正のために縫合している場合には、目をこすることで戻ってしまうケースや、まれに縫合糸によるアレルギー反応が起こることもある。治療がうまくいっているか、傷の具合などをチェックして問題なければ終了となる。