竹内 摂 院長、竹内 薫子 副院長の独自取材記事
竹内デンタルオフィス
(岸和田市/春木駅)
最終更新日:2025/09/01

「竹内デンタルオフィス」は、病気や障害、トラウマなどが理由で歯科治療が困難な患者の治療に情熱を持って取り組んでいる。治療にあたるのは、保存修復学を中心に研鑽を積んだ竹内摂(おさむ)院長と、歯科麻酔を専門とする竹内薫子(かおるこ)副院長の2人。歯科治療のバリアフリー化を掲げ、患者の不安や心配に寄り添いながら、温かみのある診療を提供に努めている。「誰もが持つお口の健康を願う自由と安心して治療を受ける権利を守れるように、私たちにできることを追求していきたいと思います」と意気込む摂院長。設備の整った院内で、明るい笑顔の2人に話を聞いた。
(取材日2025年8月6日)
歯科受診に壁を感じる人も通える歯科医院をめざして
開業の経緯を聞かせてください。

【摂院長】私は大阪歯科大学を卒業後、「保存修復学」という歯を保存する分野で、臨床・研究を長年重ねてきました。人生100年といわれる時代に、おいしく食べ、楽しく暮らしていくためにも歯は重要です。適切に歯を保存するにはメンテナンスや処置が大切ですから、大きなやりがいを感じていました。しかしある時、病気や障害、トラウマ、治療によって吐き気を感じやすいなど、「本当は歯を守りたいのに、何らかの理由で歯科治療が難しい方たち」の存在に気がついたんです。気軽に受診できないため症状が悪化しやすく、なおさら足も遠のきやすいというループをなんとか断ち切りたいと考え、開業することに決めました。
薫子先生は歯科麻酔を専門とされているそうですね。
【薫子副院長】私は奈良県立医科大学や大阪歯科大学、近畿大学病院などで歯科麻酔を専門として、病気や障害がある方の歯科治療で全身管理を担当してきました。私の出身地に近いこのエリアは、歯科治療にハードルを抱えた方々にとって気軽に受診できる歯科医院を見つけるのが困難な場所だと思います。ですから、「摂院長と私が思い描く治療を、地域の皆さんにも受け入れてもらえるのではないか」と感じ、一緒に頑張ろうと決めました。院内はすべてバリアフリー設計ですし、「受診したいけれど、受診することが難しい」と困っている方にも、気軽に相談していただけたらうれしいです。
病気や障害のある方や受診が難しいとされる方の歯科治療について教えてください。

【薫子副院長】高血圧や糖尿病、脳血管疾患やその後遺症、出血を伴う処置に注意が必要な心疾患など有病の方は、血液検査の結果なども含め、患者さんのかかりつけの医師と情報共有しながら治療を進めていきます。障害がある方の場合は、座ったり開口し続けたりすることが困難なこともありますし、加えて長時間のストレスによって発作やトラブルが起こる可能性もあります。そんなケースでは全身管理をしながらの治療が非常に有意義です。他にも、歯科治療が怖くて治療を始められない、えずきやすいなどが理由で受診が困難な方には、点滴の麻酔を使う静脈内鎮静法を用いた歯科治療で、精神的な負担を極力少なくし、安心して治療を受けていただけるよう環境を整えています。
より適切な歯科治療を一人でも多くの人に届けたい
一般歯科から、インプラント治療を含む歯科口腔外科領域まで、幅広い治療に対応されていますね。

【摂院長】当院では、これまで積極的に治療を受けてきた人にも、受診が難しく治療を諦めていた人にも、同じように満足できる治療を届けることを目標としています。ですから、当院では「できません」を少なくし、歯科診療に抵抗がある方ない方どちらにも、同じ治療を選択してもらえることが大切だと考えて準備しています。中でも、私は歯を保存することを目的とする基礎研究を長く行ってきたため、歯を抜くことなく、いつまでも自分の歯で噛めるようにするための治療が得意です。インプラント治療も多数経験しているので、希望があればご相談ください。
【薫子副院長】異なる専門分野を生かした診療ができること、また男女の歯科医師が在籍することが当院の強みだと思います。
スポーツに特化した診療も行っているそうですね。
【摂院長】スポーツ歯科では、スポーツによる外傷治療のほか、歯や口腔周囲のケガを予防するためにマウスガードも作製しています。ラグビーやサッカーなど接触の多い競技はもちろん、野球でも普及が進んでいます。市販品もありますが、歯や口の形は人それぞれで、既製品では合わず集中力の妨げになったり、ケガの予防には十分でなかったりという場合もあります。オーダーメイドのマウスガードならフィット感が高く、ケガ防止にもつながります。アスリートはもちろん、一般のスポーツ愛好家にも、安全で快適なプレーのためにお勧めです。
オンラインでの歯科相談にも対応されていると伺いました。

【摂院長】歯科治療は外科的な処置も多いので、オンラインだけで完結することはまずありません。しかし、例えば「事前に院内の雰囲気を見たい」「説明をじっくり聞きたい」「まずはカウンセリングだけ」「治療に関する希望を聞いてほしい」など、オンラインでも要望に応えられることがあります。来院前に話をするだけで安心したり、治療にスムーズに移行できたりすることもできるかもしれません。スマートフォンやパソコンをお持ちの方はぜひご活用いただければと思います。
【薫子副院長】クリニックの中に入ることが苦手であれば、まずは院内の雰囲気や歯科医師の様子を見ていただけたら通い始めのハードルが下がるのではないでしょうか。麻酔を使用した治療が適用となった場合は、事前のカウンセリングとしてオンライン相談も利用できます。来院回数を減らすことにもつながりますので、まずはご相談ください。
「すべての人が治療を諦めない世界」の実現を
診療において大切にしていることを教えてください。

【摂院長】患者さんに安心して治療を受けていただくことです。そこでまず、安心して治療に取り組める環境づくりに取り組んでいます。個室兼手術室は車いすのまま入り、チェアに移乗することなく座ったまま治療を受けていただけますよ。院内は衛生管理を徹底し、口腔外バキュームやマイクロスコープ、麻酔に対応できる機器をそろえるほか、強い光が気になる人でも安心できるよう天井に手術用無影灯を設置しました。さらに口腔内スキャナーを導入しましたので、苦痛を軽減しながら型採りができます。また、口腔内カメラよりも立体的にお口の中の様子が確認できますので、説明にも活用しています。治療への理解を深められたら、より安心できますからね。
薫子先生はいかがですか?
【薫子副院長】不安を抱えておられる方が多いので、なるべく緊張しないようにお声がけし、不安や疑問があれば患者さんがすぐに声に出しやすい環境づくりに努めています。大学病院勤務時代とは異なり、少しの痛みや小さな悩み事、些細な相談などにもきめ細かに対応できるようになったので、患者さんとの距離が近くなったと実感していますね。
こまかな部分にまで気配りをされているのですね。

【摂院長】人間にとって食べることや話すことは、楽しみや喜びにつながる、命に関わることです。それを諦めるのは、とてもつらいことのはずです。また、歯はお顔の印象を決める大切な要素でもあり、あれば良い、使えれば良いといったものではないと思います。誰もが美しく健康な口元を願う自由があり、私は歯科医師として、治療を選択する自由を感じてもらいたいと思っています。「治療できないから」と治療を諦めなくていい、誰もが当たり前のことを当たり前にできるような世界にしていきたいのです。
地域の方にメッセージをお願いします。
【摂院長】歯に関する悩みは人それぞれですが、「痛みを取る」「歯を残す」「きれいに保つ」などの願いは誰もが持つものです。年齢や病気、体質、トラウマに関わらず、そんな願いを当たり前のこととしてかなえるためのサポートをしたいです。誰にだってお口の健康を願う権利や治療を受ける権利はあるはずです。できない理由があれば諦めず方法を探し、ともに理想の口元をめざします。おいしく食べ、楽しく話し、笑える生活を取り戻してほしいと願っています。私たちは常に、皆さんの味方ですよ。
【薫子副院長】障害のある方や通院困難な方への歯科治療が徐々に認知され、紹介で来院してくださる方も増え始めました。麻酔を併用して楽に治療を受けられる患者さんが増えたら良いなと思う一方で、トレーニングを重ねて麻酔の量を減らせるような治療も提案していきたいです。そして、いつか歯科医院への苦手意識がなくなったらうれしいなと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/27万5000円~、スポーツマウスガード/2万2000円~