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山根 秀章 院長の独自取材記事

西東京わたらせクリニック

(西東京市/田無駅)

最終更新日:2022/10/21

山根秀章院長 西東京わたらせクリニック main

西武新宿線の田無駅すぐ近くにある「西東京わたらせクリニック」は、地域の訪問診療へのニーズを引き受けようと2022年6月1日に開業。山根秀章院長がスタッフと協力し、できる限り在宅で暮らしていきたいと願う患者の希望に応えるため、外来と遜色ないよう診療内容と検査機器を携え、訪問診療を行う。勤務医時代にも訪問診療に取り組んできた山根院長は、「患者さんが住む環境に足を運ぶことで普段の生活の様子が手に取るようにわかるし、その住環境をうまく調整することでいい変化が生まれることが多いということもわかって、それがすごく楽しい」と、訪問診療のやりがいについて語る。患者や家族との向き合い方、医療連携へのスタンスなど、クリニックの診療について山根院長に話を聞いた。

(取材日2022年5月26日)

信頼関係を築き、チーム医療で患者と家族を支える

6月1日に新規開院ということで、まずはクリニックの成り立ちと先生について教えてください。

山根秀章院長 西東京わたらせクリニック1

私は以前、三鷹市の在宅クリニックに7年在籍していて、そのうちの3年間は西東京エリアの患者さんを診ていました。ご縁があって独立し、田無駅前を拠点として西東京市を中心としたエリアで訪問診療を行うことになりました。西東京市には在宅医療の受け皿が少ないので、患者さんは困っていると感じていました。そのため、まずは西東京市内の患者さんを優先的に受け入れて、患者さんとそのご家族を支えていきたいと考えています。

院長が在宅医療に関心を持ったきっかけを教えてください。

医師である父の影響が大きかったと思います。父は若い頃、故郷の山口県でいくつかの島を回って医療活動に従事していたことがあるんです。私は当時まだ小さい子どもでしたが、時々父の仕事についていくことがあり、父が島の人たちとすごく近しい様子でお話をしつつ診察していたのを見た記憶があります。その時の情景がずっと自分の中に残っていて、いつしか医師という職業に憧れるようになりました。そして私も医師になり、この“在宅医療”にたどり着いた、という感じですね。

在宅医療の良い点を挙げるとしたらどんなところですか?

山根秀章院長 西東京わたらせクリニック2

患者さん一人ひとりに合わせた個別治療ができることですね。同じ病気を持っていても、患者さんによって病状も違えば、本人の治療への取り組み方もちょっとずつ違うものです。患者さんの部屋に入ると、外来診療では見えてこないことがたくさんあって、例えば、薬を出しても飲まずに放置されていることがわかったりします。そんな時は、患者さんの意見を聞き、想いをくみ取り、医師としてどうしても飲んでいただきたい薬だけを飲んでもらえるようにお話しすることもあります。医師としてのベストな治療ではなくても、患者さんの生活や性格に合わせて個々の治療を組み立てていきながら、その時適切な医療を提供していくところが在宅医療ならではの特徴ですね。あと一つ、外来に比べて関わっている人が多く、看護師さんやケアマネジャーさん、ヘルパーさんなどみんなで支えているところも、在宅医療にやりがいを感じる理由だと思います。

一人ひとりに合わせた個別治療を工夫できる在宅医療

患者や家族と向き合う際、心がけていることはありますか?

山根秀章院長 西東京わたらせクリニック3

在宅医療をするか入院するか、あるいは施設に入るかといったさまざまな選択の場面で、できるだけ患者さんの希望に添うかたちに持っていくことです。医師として私には私の倫理観がありますが、それを押しつけるのではなく、患者さん本人やご家族がどうしたいのかを最大限に尊重し、その実現に向けてサポートしていきます。在宅を希望している患者さんでも、もし歩けなくなったら施設に入ると決めているのであれば、そのとおりにするのが適正な判断なんです。その結果、私たちがもう診ることができなくなるのだとしても、患者さんがそれを希望しているなら、その時までちゃんとサポートするのが私たちの役割だと思います。中にはご自身で決められない方もいますので、そんな時はお話を伺いながら私なりの考えでご提案させていただくこともあります。

地域での医療連携について院長の考えをお聞かせください。

新規開業ではありますが、西東京市で働いていた経験があるので、近くの病院との連携についてはよくわかっています。医療連携といっても、もし当院が一方的に入院の受け入れを頼むだけだったら、病院側は困ってしまうでしょう。なぜなら、在宅から病院に移った患者さんが退院後にどうするのか、施設に入るのかもっとほかの選択肢があるのか、先の見通しが立たないからです。その点、当院の場合は「退院後は、在宅のほうで当院が最後まで責任を持って診るつもりです」と伝えるので、病院としても引き受けやすいのではないかと思います。

24時間365日体制の在宅医療には大変なイメージがありますが、実際の現場はいかがですか?

山根秀章院長 西東京わたらせクリニック4

私は患者さん本人やご家族からの電話連絡を24時間365日体制で受けつけています。初めの頃は、携帯電話が手が届く所にないとお風呂にも落ち着いて入れなくて、片時も気が休まらず、大変だなと思っていました。しかし、経験を積んでいくと、普段の訪問時に自分が患者さんの状態をよく把握し必要な説明をちゃんとできていれば、それほど頻繁に電話がかかってくることはなくなるとわかってきたんです。「患者さんは不安だから連絡するんだ」と気がついたときに、訪問した際のコミュニケーションの中で、どれだけ不安になる要素を解消しておくかがポイントだなと思いました。もしも、患者さんやそのご家族の方が僕への電話をためらって翌日まで不安を解消しないままいたら、それこそ病状の変化への対応が遅れて、急な処置が必要になる可能性もあります。なので患者さんには「先生忙しそうだから」と遠慮することなく気軽に連絡してもらいたいと思ってます。

在宅を諦めている人に自分たちの全力で応えたい

クリニックの今後の目標は?

山根秀章院長 西東京わたらせクリニック5

まだまだ在宅医療を提供できる医療機関は少ないのが実情です。なので私は在宅医療を必要とする患者さんを支えるために、一緒に働いてくれる先生を増やしていきたいと思っています。在宅医療の経験が浅い人にいきなりすべてお任せするのは難しいので、最初は私に同行してもらい、現場を知ってもらいたいです。自分の専門外の症状が出たときに不安に思う先生もいるかもしれませんが、院内で勉強会も実施する予定ですし、サポート体制も整えています。私が在宅医療を通じ、強く感じている医師としてのやりがいをぜひ多くの先生に経験してもらいたいので、そのためにも私が学んできた在宅医療をすべてお伝えする気持ちでいます。当院で育った優秀な先生がどんどん散らばっていって連携できるようになればうれしいです。また、この地域には熱い想いを持った看護師さんもたくさんいらっしゃるので、医療機関が増えることで活躍の場が増えていけばいいなと思います。

在宅医療で活躍できる医師の資質についてどのようにお考えですか?

楽観的であるよりも心配性の人のほうがいいような気がします。診療のたび、これで良かったのかなと自分を省みて次につなげられる先生なら、細かい見落としも少なく、患者さんをうまく見守っていけるでしょう。その半面、心配性の人は根を詰めて疲れてしまう恐れがあります。しかし、私たちはチームで患者さんに医療を提供します。一人ではありません。医師としての立場で患者さんの考えやご家族の考えにしっかり耳を傾け、看護師さん、ケアマネジャーさん、ヘルパーさんとも協力できる人であれば誰でも資質はあると考えます。なので、ぜひ安心して在宅医療の世界に飛び込んできてほしいですね。

在宅医療を希望する、あるいは検討している患者や家族に向けてメッセージをお願いします。

山根秀章院長 西東京わたらせクリニック6

私たち在宅医療に携わる者を信じて、相談してみてほしいと思います。今は在宅診療でもできることがたくさんあって、検査一つをとっても、血液検査や尿検査、エコー、心電図などが既にそろっていますし、今後はポータブルのエックス線撮影装置も使えるようにするつもりです。以前はこうした検査が在宅ではできないことを理由として搬送もありましたが、在宅である程度まで解決できる可能性は出てきています。私たちは在宅医療は最期の砦だと諦めている人にこそ全力で応えたいので、是非ご検討ください。

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