片山 春奈 院長の独自取材記事
はる内科クリニック
(横浜市金沢区/金沢八景駅)
最終更新日:2024/11/28
京急本線・金沢八景駅から徒歩10分、京急バスの六浦中学停留所目の前にある「はる内科クリニック」。日本血液学会血液専門医の資格を持つ血液内科の専門家でありながら、日本内科学会総合内科専門医としても内科全般をカバーし、外来診療や訪問診療の経験を重ねてきた片山春奈院長。2022年4月に同院を開業後は、何かあれば一番に相談してもらえる身近なホームドクターをめざし、多種多様な症状を訴える患者の診療に対応。一人ひとりの患者と丁寧にコミュニケーションを取り、患者の希望・生活環境などを理解した上で診療を行う。「人と話すことが好き」と明るい笑顔で語る片山院長に、これまでの医師としての経歴や、現在の診療方針、今後の展望などを聞いた。
(取材日2024月10月23日)
めざしているのは、なんでも診る「ホームドクター」
どのような患者さんが来院されていますか?
さまざまな症状の方が来てくださっていますね。女性でしたら、更年期障害や貧血、女性特有の疾患の治療で来院される方が多いです。そのほかにも、生活習慣病や花粉症などのアレルギー疾患、皮膚疾患などの方も来られています。発熱症状を専門に診る外来もあるので、風邪症状を訴えられる方も多いですね。来院される患者さんの年齢層は、中学生のお子さんから100歳を超える高齢の方まで、とても幅広いです。この建物の上階は大学の寮なので学生さんも来院されています。定期診療で来てくださっている患者さんのご紹介や、クチコミなどで来院される方も多いです。
先生が診療で大切にしていることは何ですか?
患者さんの症状や状態だけではなく、患者さんの家庭環境や、生活スタイル、趣味など細かく知るように努力することを大切にしています。患者さんのことを知るために、コミュニケーションを取ることを大事にしています。突然いろいろ質問してしまうと構えてしまう方も多いので、通院してくださる方には、少しずつ生活背景や家族構成などの情報を確認しています。患者さんへの理解を深めることで、一人ひとりの生活スタイルや環境に寄り添ったアドバイスをするように心がけています。初めて来院された方に関しては、来院の目的や希望されていることを、丁寧にヒアリングするようにしています。
患者さんによって治療に対する要望は異なるのでしょうか?
そうですね。例えば「血圧は心配だけど、薬を飲みたくない」という患者さんもおられます。高血圧症や高コレステロール血症などは自覚症状がないケースが多く、服薬を希望されない方も少なくありません。高血圧症の方の場合は自宅で血圧を測っていただきます。病院だと緊張して一時的に血圧が上がってしまっている人もいるんです。高コレステロール血症の方には、手足の血管の固さを診たり、エコーで頸動脈に血栓ができていないかどうかを診たりしています。客観的に状態を詳しく診た上で、薬を飲んだほうが良い患者さんには服薬のアドバイスを行っています。他院で治療をされてきた方が、「薬を変えてほしい」という理由で受診された場合は、「どうして薬を変えたいのか」をまずお聞きします。その上で必要があれば再度検査をして、薬を変えることのリスクとベネフィットを示し、私の治療方針をお伝えするようにしています。
患者の生活環境を理解した上で適切なアドバイスを
先生が医師をめざした理由を教えてください。
幼い頃から、赤ちゃんを見るのが好きだったんです。幼少期によくお世話になっていた小児科の先生が優しい方ばかりで憧れていたこともあり、人に頼りにされる仕事に就きたいと思っていて、漠然と医師になる未来をイメージしていました。また私は昔から人と話すことが好きだったので、人とコミュニケーションを取ることが大切だと感じていた医師をめざすことに決め、地元の三重にある三重大学医学部に進学しました。医師としての専門は血液内科で、三重大学医学部附属病院の血液腫瘍内科や、松坂中央総合病院の血液内科、HIV・血友病の専門病院である荻窪病院の血液凝固科で経験を積みました。開業する前は、訪問診療や、一般内科での幅広い診療を経験しました。
血液内科を専門にしようと思われた理由は何だったのでしょう。
私が三重大学の医学部に在籍していた頃は、白血病や骨髄腫などの新しい治療薬が数多く誕生していた時でした。治療薬がなければ命を落としてしまうような重篤な患者さんを、寛解(かんかい)まで治療できる可能性が期待できることに強い魅力を感じました。あと、学生時代に顕微鏡で初めて血液を見た時に、血球がキラキラしていてきれいだったことも、興味を持ったきっかけの一つです(笑)。
血液内科を専門に診療されていた時の経験で、今の診療に生かされていることはありますか?
患者さんとの信頼関係の築き方、コミュニケーションの取り方です。血液内科で入院している悪性リンパ腫、骨髄腫、白血病などの患者さんは、長期入院されたり、入退院を繰り返す方が多いです。そのため患者さんと自然とプライベートな話や家族のことを話す機会が増えました。そんな中、患者さんにとって身近な存在になれた時に、初めて気になっていることや本当は聞きたいことを打ち明けてくれることに気づいたのです。インターネットで調べた情報の確認などもありましたが、すべてが正しいわけではないのでその度に丁寧に説明し、より強い信頼関係を築けるよう努力していました。患者さんとの信頼関係を築くノウハウは、訪問診療を経験することでより磨かれました。患者さんのご自宅や施設に訪問する訪問診療は、患者さんの生活環境や親族・普段接している方とお会いできるので、より深く寄り添った診療を経験することができました。
患者にとって一番身近な存在になるために
開業した理由についてお聞かせください。
結婚を機に、地元の三重から東京都内に上京して都内の病院で働いていたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、夫が都内から逗子市への転居を決めたんです。勤めていた病院を退職して新しい病院を探す必要があったのですが、当時私の娘は1歳でした。急な発熱などで突然お休みをいただくことも多い中、新しい病院で働き始めることにためらいがあり、自分のペースを守りながら働きたいと考え開業を決意しました。専門は血液内科なのですが、実は東京に上京した時から訪問診療や、一般内科での診療経験を重ねてきましたので幅広い診療科を標榜することは自然な流れでした。
クリニックの方針についても伺います。
「なんでも診られるホームドクター」をめざしています。何かあっても大きな病院の先生は予約が必要だったり、待ち時間が長かったりで、すぐには診てもらうことは難しいので、まずは何かあったら相談してもらえる存在になりたいです。またいろいろなクリニックで治療をするのも大変ですから、広範囲の疾患を診断・治療できるクリニックでありたいと考えています。「まずは先生に診てもらうために来ました」と言っていただけるような存在になれたらうれしいですね。今は各診療科でより専門的な診療ができるようになりたくて、婦人科や呼吸器内科についても勉強をしています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
医師として、常に患者さん目線で診療することを第一に考えています。何か気になることがあれば、ぜひ来院してみてください。どの診療科に行けばよいか迷われるケースもあると思いますが、私の専門外の症状や疾患でしたら、適切な病院をご紹介することもできます。もちろん当クリニックで対処できる場合は、心を込めて診療いたします。