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伏屋 公晴 院長の独自取材記事

ふせや内科小児科

(各務原市/高田橋駅)

最終更新日:2023/03/22

伏屋公晴院長 ふせや内科小児科 main

2022年4月4日に開業した「ふせや内科小児科」は、内科、脳神経内科、小児科を標榜するクリニックだ。長年にわたって脳神経疾患の診療経験を積んだ伏屋公晴院長が、開業にあたり描いたクリニック像は、頭痛やパーキンソン病、脳卒中、認知症、手足の震えや痺れなど、脳や神経に関連する病気全般に対応するクリニック。診察では患者との対話やMRIなどの検査結果をもとに原因を丁寧にひもとき、症状に応じて漢方薬も取り入れながら改善をめざすという。小児科を専門とする父と二人三脚で診療に応じ、患者の生活の質の向上に力を尽くす伏屋院長に、医師としてのこれまでの歩み、診療に対する思いなどを聞いた。

(取材日2022年5月19日)

豊富な臨床経験と専門的な検査で適切な診断につなげる

開業の経緯と、クリニックづくりでこだわった点を教えてください。

伏屋公晴院長 ふせや内科小児科1

進学を機に地元の各務原を離れ、京都大学医学部卒業後は近畿や北陸にある京都大学の関連病院の脳神経内科に勤務していました。2018年に地元に戻り、岐阜大学医学部附属病院の脳神経内科に入局、その後小児科の開業医だった父と一緒に新たにクリニックを立ち上げることになりました。父は鵜沼で40年ほど診療を続けてきたので、子どもの診療全般はお手の物。お互いの経験を生かした診療を行っていけたらと思っています。開業にあたって特にこだわったのが空間づくりで、“明るすぎない”空間をめざしました。片頭痛のある人だとまぶしさが症状を強めることがあるので、なるべく刺激を少なくしたいと考えたのです。穏やかな明るさの照明を採用し、窓もあえて小さくしました。対してドアは大きめにしました。歩きにくさを感じている人も安全に移動できるように、動線にはゆとりをもたせています。

MRIなど、専門的な検査機器も導入されていますね。

MRIは、脳神経疾患の診断に欠かせない検査機器です。よくCTと比較されることがあるのですが、CTは骨に囲まれている部分、例えば頭蓋骨に覆われている脳や、背骨の内部の脊髄、神経といったものを観察するのはあまり得意ではないんです。MRIであれば、小脳や脳幹など脳の深部のような部位でも鮮明な画像で観察できます。他にも、発症後から1、2時間程度のごく早期段階の脳梗塞や、脳動脈解離といった診断にもMRIは役立ちます。CTよりも情報量が格段に多く、血管を評価する場合も造影剤を使わなくても評価できます。迅速かつ円滑に検査が行えるのも、MRIのメリットです。

そもそも、院長が脳神経内科を専門とされたきっかけは何だったのでしょうか?

伏屋公晴院長 ふせや内科小児科2

実は、学生の頃は脳神経内科にはまったく興味がなかったんです(笑)。全身の神経解剖、疾患、治療方法など、とにかく覚えなければいけないことが多く、専門とするなら覚悟が必要となります。そんな気の進まない領域に足を踏み入れるきっかけとなったのが、初期研修でした。初期研修を過ごした病院は過疎化と高齢化が進むエリアにあって、患者さんのほとんどが高齢者。ですが病院には脳神経内科のドクターが1人しかいませんでした。脳梗塞や認知症、パーキンソン病による転倒で救急に搬送される高齢者も多くて、先生は365日フル稼働状態だったんです。とても大変だったでしょうが、先生はいつも速やかに診断し治療につなげていました。豊富な経験があってこそできることだと思います。そんな先生の姿に憧れて、同じ道を歩み始めました。勤務医時代に積み重ねてきた経験を当院の診療でも十分に生かし、適切な診断につなげていきたいです。

患者が訴えに耳を傾けることが、診療の基本であり真髄

診療のモットーを教えてください。

伏屋公晴院長 ふせや内科小児科3

まず大事にしているのが、患者さんの訴えをしっかりと受け止めることです。適切な治療につなげるためには、当然ながら病気が何であるかを適切に診断する必要があります。では、診断の精度を高めていく上で何が必要になるかといえば、培った経験と知識を基盤とした思考力です。脳や神経は硬い骨に覆われていますし、傷つけてしまえば機能が失われてしまうため、例えば生検を採取して病理診断したり、臓器を直接観察したりといったことは、基本的には行えません。そのため症状と病歴、これまでのエピソードといった「訴え」と、MRI検査画像が診断における重要な情報源となるのです。

判断材料は限られるからこそ、患者さんの訴えは重要な手がかりとなるのですね。

そのとおりです。他にも、手足や顔面、眼球などの「動かし方」も患者さんが発する訴えであり、大事な情報源です。診察中は患者さんの動作を見て、どの神経に原因があるのか類推します。動線にゆとりがあるのは、患者さんの歩き方や全身の動きなどを観察するためでもあるんですよ。限られた時間の中でも一挙手一投足に目を向けて、訴えに耳を傾けて、診断につなげていきます。治療では、鎮痛剤など西洋薬を用いるのはもちろんのこと、漢方薬など東洋医学の観点も取り入れながら、改善をめざしていきます。

治療に漢方薬を取り入れると、どんなメリットがあるのですか?

伏屋公晴院長 ふせや内科小児科4

漢方薬は、頭痛や肩凝り、めまい、痺れ、震えといった脳神経疾患に多い症状を改善につなげるのが得意なんです。訴えだけでなく、性別や体格、体質も踏まえて診断するので、オーダーメイドに近い処方ができるのも特徴です。対して西洋薬の場合、神経疾患の症状に適している薬が少なく、西洋薬のみを用いた治療では行き詰まってしまう場合も。私も勤務医時代から漢方薬をはじめ東洋医学についてこつこつ勉強してきました。当院の診療でも必要に応じて、おなかを触ったり舌の色を観察したり脈診したりといった東洋医学的な診察方法も取り入れています。

脳神経疾患の啓発にも取り組み生活の質の向上をめざす

開業から約1ヵ月が経過しました。実際の診療を通じて実感したことなどありますか?

伏屋公晴院長 ふせや内科小児科5

意外にも薬物乱用頭痛の方が多いと感じました。市販の頭痛薬を飲み続けていると、薬物の使用過多によって脳が過敏な状態になり、ちょっとしたきっかけで頭痛が起きやすくなります。それを抑えようとまた頭痛薬を飲むことでかえって頭痛が助長されてしまうのです。市販薬を週に2回以上服用していると薬物乱用頭痛になりやすいとされます。頭痛と一口に言っても、片頭痛や肩凝りなどから来る緊張型頭痛などさまざまで、アプローチ方法や薬を飲むタイミングも異なります。そういった情報を、患者さんはもちろん周辺の医療関係者にも発信し、啓発に努めていきたいですね。

どのような場合に、脳神経内科を受診したら良いでしょうか?

症状が長く続く、なかなか改善しない場合には、気軽に相談してもらえたらと思います。例えば物忘れの場合、何度も同じ話をしたり、同じ物を買ってきてしまったりする、それを指摘されても気づけないといった「忘れてしまっていることに気づけない」というのは、病的な物忘れの可能性があり、注意が必要です。とはいえこういったことは本人だけでは気づきにくく、気づけたとしても病気であると断定されることへの不安から、「きっと大丈夫だろう」と片づけてしまうことが少なくありません。ただ、悩みを抱え続けていることで不安が膨らみ、症状が重くなってしまうといったことがあります。こういった場合、診断がついて安心したら、症状が軽くなったと感じる人もいます。たとえ些細と思っていても、悩みは軽くしてあげるに越したことはありません。

今後の目標と、読者へのメッセージをお聞かせください。

伏屋公晴院長 ふせや内科小児科6

脳神経を専門とする医師が開業するケースは少なく、岐阜県内のクリニック数もごくわずかです。一方で症状に悩む人は多く、病院勤務医時代には我慢に我慢を重ねて受診するといった患者さんを多く目にしてきました。加えて、脳神経疾患の多くは治療によって症状が軽快することが期待できるケースも少なくありません。気軽に悩みを相談できる場所をつくりたい、病気と付き合いながら暮らす患者さんの力になりたいという思いで、当院を開業しました。風邪など、一般内科の受診のついでに相談してもらっても大丈夫です。どうぞ気軽に相談してください。脳神経疾患と思っていたら、実は甲状腺疾患など思ってもみなかった病気が原因していたということもあります。「きっと大丈夫」「高齢だから仕方ない」とやり過ごすのではなく、原因に目を向けるきっかけとして当院を活用してもらえたらうれしいです。

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