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高橋 正憲 院長の独自取材記事

下町診療所

(横浜市磯子区/根岸駅)

最終更新日:2022/05/12

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JR根岸線の根岸駅からのんびり歩いて10分ほど、静かな住宅街の一画に「下町診療所」はある。横浜市磯子区下町で生まれ育ち、首都圏の急性期病院や奄美大島の基幹病院で、救急医療やへき地医療を経験してきた高橋正憲先生が、2022年4月に新設したクリニックだ。「内科、外科とライフワークである痛みの治療で、なんでも相談できる『よろず相談所』をめざします」と高橋院長。長く同地に居を構えてきた高橋家の第21代目当主として、地元への思いも厚い。医師としてはもちろん、一人の人間としても、これまでの経験してきたことのすべてを詰め込んだというクリニックのこだわりとめざす医療、今後の展望などについて話を聞いた。

(取材日2022年4月28日)

闘病を経て医師になり、救急医療やへき地医療を経験

まずは簡単なご経歴と開院に至られた経緯をお聞かせ願えますか。

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横浜根岸に生まれ育った私は体育会系ヨット部に所属し熱中するなど趣味こそ多いものの勉強に熱心な学生だったとはいえず、医師をめざすことなど考えてもいませんでした。就職活動も終了し、ホノルルマラソンを完走するなど多いに楽しんでいた大学4年生の冬、突如ヘルペス脳炎で生死の境を彷徨うことに。幸い命は取り留めましたが、下半身に麻痺が残り、就職内定も大学卒業式の前日に取り消されてしまいました。絶望の中、治療やリハビリテーションの末なんとか歩行可能までに。退院後学士編入をし、1年半の猛勉強を経て医学部に転入したのです。医師になってからはとにかくハードな現場で経験を積みたいと、救急車が外来前に渋滞するほどの病院に勤務。10年ほどの離島勤務も経験し、いずれは地元に帰って地域貢献したいという思いをかなえるため、当院を開設しました。

患者として難病と闘われた経験が、医師としての原動力なのですね。

入院中に経験した医師との出会いや患者としての体験には、確かに大きな影響を受けています。横浜市立市民病院脳神経内科の山口先生は、当時工学部の学生だった私に英語の論文を読ませてある治療を勧めてくださいました。私が罹患したような脳炎は子どもの症例は多かったものの成人のケースはまれで、当時はまだ治療法が確立していなかったのです。「どうせ助からないなら」となかば投げやりな気持ちもありつつ受けた治療でしたが、現在では日本の脳炎治療においてスタンダードな治療法になっています。当直の際には必ず全員の患者に声をかけて回られる山口先生の姿にも感銘を受けました。また、同室に若い心疾患の患者さんがいたのですが、不平不満ばかり言っている彼を1日1回は笑わせるというのが当時の私の目標。1ヵ月ほどたった頃に彼から「お前が来てから発作が起きてないよ」と言われ、笑うことの効果の大きさも肌で感じました。

離島でのへき地医療も経験されたのですね。

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奄美大島の名瀬徳洲会病院には初期研修を含め3回勤めました。現在は院長である松浦先生は、まさに「断らない医療」を実践している素晴らしい医師。初期研修後、彼のもとで働きたいと、精神科の医師である妻の出産をきっかけに1年間の勤務を希望しました。一度はこちらに戻ったものの、生まれた子が幼稚園に上がる頃東日本大震災が起こりました。こんな時こそできる医療をとの思いから再度妻子を伴って渡島し、10年間勤務しました。おかげで息子は多感な時期を島の素晴らしい環境で過ごすことができました。奄美大島の現状は日本の高齢化社会の10〜20年後の縮図と言われています。寝たきりの独居老人が珍しくないなど、大きな問題をはらんだ社会を健全に運営していくためには、いろいろな人が手を取り合い、知恵を出し合って取り組む必要があります。首都圏にもいずれ訪れる超高齢化社会にも、学んだノウハウを生かして向き合いたいと思っています。

広く心と体の痛みに対応する「いたみないか」をめざす

どのようなクリニックをめざされますか。

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内科と麻酔科どちらの立場からも、心も体も痛みのない生活を送るお手伝いをする「いたみないか」をめざします。困った方をたらい回しにしたりすることなく、断らない医療を実践します。頭痛や腹痛、発熱などの身近な内科症状から、ちょっとした外傷、やけどや慢性的な痛み、さらには「眠れない」「気分が落ち込む」といった心因性が疑われる症状まで、とにかく何でも気軽に相談できる場でありたいと考えています。また、救急医療の現場で強く実感した予防の重要性を実践するため、健康診断や二次健診、予防接種などにも力を入れていきたいと考えています。特に忙しくて病院へ行けない働き盛り世代に受診していただきやすいよう、火曜と金曜は夜10時まで診療するほか、オンライン診療も行っています。通院が難しい方には訪問診療でも対応します。

院内のこだわりがあれば教えてください。

患者さんが快適に過ごせることはもちろん重視しましたが、同様に大切にしたのはスタッフのスムーズな動線を確保することです。少ない人数でもストレスなく回せること、つまり急な病欠などがあっても問題なく診療を提供できることを考えました。天井には天然木を使い、リラックスできる空間に。座りやすいことはもちろん、立ち上がりやすさも考えて椅子を選んだのは、障がい者としての私自身の経験からです。コロナ禍の先を見据え、感染症患者と一般患者の動線を完全に分離し、スタッフも極力接触を避けながら対応できる感染症専用の診察室も設けました。

対面診療に加え、オンライン診療も展開されているそうですね。

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当院では対面診療とオンライン診療を並行して行っています。すべて診療時間内に私自身が対応する形です。本音では私は面と向かって対話し、言葉はもちろん言外からも患者さんの様子を伺う対面診療がベターだと考えていますが、そうは言っても忙しくて病院に来られないという方は多数いらっしゃいます。便利なシステムは上手に活用して、院内での無駄な滞在時間を短縮していければと思います。同様の理由でクレジットカードをご登録いただければ、診療後会計を待たずそのままお帰りいただける会計システムも導入しています。

高齢化が進む地域で、みんなが幸せになるサポートを

診療の際に心がけていらっしゃることはありますか。

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患者さんの訴えを逃さず聞き取ること、断らずできる限りの対応を行うことを心がけています。どんなご相談でもしっかり受け止め、当院で対応が難しい場合は、きちんとご紹介先を選んでお送りします。そのためにも、患者さんが思いを包み隠さず訴えることができるよう、敷居の低さを誇れるクリニックでありたいと思っています。また、私は診療の際に必ず部屋のドアを開けて待合室の患者さんを呼ぶようにしているのですが、これは名前を呼ばれて立ち上がる瞬間から患者さんの様子を観察するため。その日の表情や動作など、診察室での問診以外にも得られる情報は多くあるのです。

今後の展望について教えてください。

まだスタートしたばかりのクリニックではありますが、高齢化する地域を支える一助になれればと思っています。高齢者が長く暮らした地域で安心してシニアライフを送れるよう、医療だけでなくサービスつき高齢者住宅やグループホームなど、介護の面からもサポートしていければと思います。認知症の患者さんにも専門の知識を有する医師とともに対応していきます。若い世代からお年寄りまで、垣根なく診療していきたいですね。さらに、後進の育成にも力を注いでいきたいです。

読者に向けてひと言メッセージをお願いします。

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「病気を治すこと」ではなく「幸せになること」をめざすのが私の医療です。例えば、毎日ビールを飲むことに幸せを感じている方なら、病気のために飲酒を諦める必要はないと考えています。限度を知り、適度に楽しむのであれば、飲酒も患者さんの幸せに欠かせないものだと思うのです。お体の状態を把握し、さまざまな限度を見極めることこそ医師の役割だと考えています。お困りのことがあれば何とかします。何でもお気軽にご相談ください。一緒に幸せをめざしましょう。

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