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高橋 正憲 院長の独自取材記事

下町診療所

(横浜市磯子区/根岸駅)

最終更新日:2025/02/12

高橋正憲院長 下町診療所 main

自身が生まれ育った地に、いろいろな悩みに応える相談所のような「下町診療所」を開院した高橋正憲院長。救急医療やへき地医療に従事したのも、「いずれは医療で地元に貢献したいとの思いがあったから」と話す。「当院では内科、外科を幅広く診療し、ライフワークである痛みの治療にも力を入れますが、一番の願いは患者さんに笑顔で帰っていただくことなんです」。例えば生活習慣病も「頑張らない治療」で継続をめざすなど、患者一人ひとりに合わせた対応を心がけるという。そんな高橋院長に詳しく聞いた。

(取材日2024年12月2日)

広く心と体の痛みに対応する「いたみないか」が目標

ご自身の出身地に診療所を開設されたと伺いました。

高橋正憲院長 下町診療所1

私の実家はこの根岸地区にあり、開院してからも昔からの知り合いと遭遇することがあるんですよ。高校時代は機械好きだったので工学部に入り、体育会系のヨット部の活動に熱中していましたから、今の私を見て驚く人も多いと思いますね(笑)。医師になったのは自身の闘病経験から。就職活動も終え、ホノルルマラソンを完走するなど大学生活を楽しんでいた4年生の冬、ヘルペス脳炎で生死の境をさまようことになったんです。幸い一命は取りとめましたが下半身に麻痺が残り、治療が続くため内定も取り消しに。そのときに医師にめざそうと決め、治療やリハビリテーションと並行して1年半の猛勉強の末、医学部に学士編入しました。卒業後、いずれは医療で地元に貢献したいとの思いは強く、20年近く診療経験を積み、2022年に当院を開設しました。

どのような経験を積まれたのでしょうか?

とにかくハードな現場で経験を積みたいと考え、卒業後の初期研修は救急車がひっきりなしに来る茅ヶ崎徳洲会病院を選択。その後は循環器専門の葉山ハートセンター、3次救急を担う湘南鎌倉総合病院を経て、奄美大島の名瀬徳洲会病院で10年間勤務したんです。「断らない医療」で知られる徳洲会では非常に密度の濃い経験ができ、名瀬では麻酔科の部長も務めました。また奄美大島の現状は、すでに超高齢社会となった日本のさらに10〜20年後の縮図といわれています。寝たきりの独居老人が珍しくないなど、大きな問題をはらんだ社会を健全に運営していくには、いろいろな人が手を取り合い、知恵を出し合って取り組む必要があります。当院がある磯子区は高齢化率が高く、今後も高齢者が増え続ける見込みですから、学んだノウハウを生かして向き合いたいと思います。

こちらの診療の特徴をお聞かせください。

高橋正憲院長 下町診療所2

困っている方をたらい回しにしない「断らない医療」を実践し、内科と麻酔科の立場から、心も体も痛みのない生活を送るお手伝いをする「いたみないか」をめざしています。頭痛や腹痛、発熱などの身近な内科症状から、ちょっとした外傷、やけどや慢性的な痛み、さらには「眠れない」「気分が落ち込む」といった心因性が疑われる症状まで、とにかく何でも気軽に相談できる場でありたいですね。また、救急医療の現場で予防の重要性を強く実感したことから、健康診断や二次健診、予防接種などにも力を入れ、生活習慣病の予防と早期発見・早期対処も重視しています。また、平日の昼間は忙しくて病院へ行けない方でも受診していただけるよう火曜日と金曜日は夜10時まで診療し、通院が難しい方は訪問診療にも対応しています。

生活習慣病は「頑張らない」治療で継続をめざす

生活習慣病で受診される方も多いのですか?

高橋正憲院長 下町診療所3

当院には高齢の患者さんも多く、糖尿病など生活習慣病の割合も必然的に高くなります。そうした患者さんを診るときに心がけているのは「頑張らない治療」。糖尿病や高度の肥満の患者さんは「頑張って食事制限します」と決意されますが、治療は長期にわたり無理をしたり頑張ったりすると長続きしません。例えば、お茶碗に2杯食べているなら1杯に減らしたり、同じ1杯でも今より小さいお茶碗に替えてみたりと、患者さん自身が「これならできそう」と思える具体的な目標を立てることが大切です。夜ご飯をしっかり食べたい人は、朝と昼は炭水化物は取らないようにすればいいでしょう。また、甘いものをどうしても食べたければ、食事のすぐ後に食べることも考えられます。なぜなら、糖尿病の改善には血糖値が下がる時間帯を作ることが必要ですが、間食すると血糖値が下がる暇がなくなるためです。

そうして患者さんが続けやすくされるのですね。

私が工学部出身のためか、個人の頑張りだけに頼らない、自動的に続けられるシステムづくりを大事にしています。さらにもう一つ大事な点は、私が決めるのではなく患者さん自身に決めていただくことです。最初のやり方でうまくいかなければ改善を重ね、別のやり方を考えるなど患者さんと一緒に工夫していきます。運動もわざわざ時間をつくってやるより、すき間時間で筋力トレーニングをしたり毎日の歩数を多めに歩いたりと、無理せず続けられる方法をアドバイスします。患者さんは「薬を飲み始めると一生続くのでは」と心配されますが、食事管理で薬を減らせたり飲まなくてよくなったりするケースも多いので、まずは当院にご相談ください。

先生以外にも診療される医師がいらっしゃるのですか?

高橋正憲院長 下町診療所4

精神科・心療内科と整形外科の医師2人が、非常勤で診療しています。精神科の医師には、患者さんに安心してもらえるように、初診はしっかり30分の診療時間を確保してもらっています。整形外科の医師には、整形外科の疾患に限らず、私と一緒に一般内科を担当してもらっています。どちらの医師にも、私が診た患者さんについて、専門的な観点でのチェックが必要な場合に相談するなど、医療の質の向上や知識のアップデートが図れるのもポイント。特に整形外科は、その診療科の中でも専門が細分化されており、脊椎・脊髄、人工関節、手の外科など病院ごとに得意分野が違うこともよくあります。患者さんの症状に合った紹介先を検討する際、各病院の強みやそこで働く医師の専門性に精通した整形外科の医師に相談できるのはありがたいです。

目的は治療ではなく、幸せになってもらうこと

先生が前向きに診療される原動力は何でしょうか?

高橋正憲院長 下町診療所5

自分の闘病経験に加え、これまでに出会った医師への憧れも力になっています。ヘルペス脳炎の治療では脳神経内科の山口先生にたいへんお世話になりました。成人がこのタイプの脳炎にかかるケースはまれで、まだ治療法が確立していない時代。山口先生は私に英語の論文を読ませ、ある治療を勧めてくださいました。私が今ここにいられるのはそのおかげだと思います。入院生活では山口先生の真摯な診療、当直の際には必ず全員の患者に声をかけて回られる姿にも感銘を受けました。また、名瀬徳洲会病院で院長を務められた松浦先生は、まさに「断らない医療」を実践している素晴らしい医師でした。当初は奄美でのへき地赴任は1年間で終了する予定でしたが、茅ヶ崎に戻ってから東日本大震災に遭遇。いざという時の総合的な診療の重要性を痛感。へき地の診療でその力を養いたいと思い、松浦先生を頼って奄美大島で再度経験を積んだのです。

診療する際の心がけをお聞かせください。

患者さんが笑顔でお戻りになる、それが一番の願いです。医療の知識はその手助けをするネタのようなもので、日々新しいネタ、つまり医療知識を仕入れ、当院のスタッフも頑張らず、楽しみながら新たな知識を勉強しています。また、患者さんが悩みを話しやすい雰囲気づくりも大切。例えば次の患者さんを診療室にお呼びする際、私自身が扉を開けて半身を乗り出し、ご本人の顔を見ながら声をかけます。これは親しみやすくすると同時に、患者さんが立ち上がる瞬間から入室までの様子を診療の参考にするためでもあるんです。そして診療の最後に必ず「病気と関係なくていいので、ほかに何かありませんか」と尋ねます。すると「皮膚がちょっと気になっていて」などの悩みが出てきて、患者さんをもっと笑顔にするヒントが見つかることも多いんですよ。

最後に地域の皆さんにメッセージをお願いします。

高橋正憲院長 下町診療所6

当院の目標は「病気を治すこと」ではなく、地域の皆さんが「幸せになること」です。例えば、毎日ビールを飲むことに幸せを感じている方なら、病気のために飲酒を諦める必要はないと考えます。患者さんが限度を知り適度に楽しめるよう、一人ひとりの体の状態を把握し、さまざまな限度を見極めてアドバイスすることが医師の役割だと考えています。お困りのことがあればなんとかしたいと思います。何でもお気軽にご相談ください。一緒に幸せをめざしましょう。

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