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切る前に、まず生活習慣の改善を
内科的アプローチによる痔の治療

なるせ内科・胃腸のクリニック

(町田市/成瀬駅)

最終更新日:2023/09/13

なるせ内科・胃腸のクリニック 切る前に、まず生活習慣の改善を 内科的アプローチによる痔の治療 なるせ内科・胃腸のクリニック 切る前に、まず生活習慣の改善を 内科的アプローチによる痔の治療
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なかなか人には話しづらい、痔の悩み。「診察を受ける踏ん切りがつかない」、「手術が怖い」といった理由で、つらい痛みを我慢しながら日々を過ごしている人は、きっと少なくないだろう。しかし今、痔の治療は必ずしも手術に直結するとは限らないそうだ。「痔はいわゆる生活習慣病。日々の習慣を見直し、薬などをうまく用いることで手術の必要がなくなる場合もあるんですよ」と話すのは、「なるせ内科・胃腸のクリニック」の岩田誠一郎院長。生活習慣の改善と内科的な治療は、手術の回避だけでなく、痔の疾患に多いとされる再発の防止も期待できるのだという。そこで、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持つ岩田院長にクリニックが推奨する内科的な痔の治療について詳しく聞いた。

(取材日2012年6月4日/情報更新日2023年9月12日)

「切らずに治す」をめざして。痔の再発を繰り返さないための、内科的アプローチ

Q主な肛門の病気と、その原因について教えてください。
A
なるせ内科・胃腸のクリニック お尻に負担をかける排便習慣の積み重ねが痔を引き起こす

▲お尻に負担をかける排便習慣の積み重ねが痔を引き起こす

痔核(イボ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろう。この3つが肛門の3大疾患といわれています。いずれも症状は異なりますが、病気を引き起こす根っこはどれも同じで、肛門に負担がかかる排便習慣が原因といわれています。例えば、便秘で便が硬くなったり、下痢で便が勢いよく出たりすると肛門が傷つき、痔ができてしまうことがあるのです。排便の習慣には食事の内容や取り方、睡眠不足など、生活習慣が大きく関わってくるため、痔は生活習慣病の一つといっても良いかもしれません。

Q痔は、どのように治療していくのですか?
A
なるせ内科・胃腸のクリニック 内科的治療で対応できるケースもある

▲内科的治療で対応できるケースもある

痔ろうは基本的に外科手術でしか根治をめざせませんが、痔核・裂肛には塗り薬を処方し、生活習慣改善の指導を行います。痔は手術のイメージが強いのですが、切らずに回復が図れるケースも多いんです。ちなみに当院では、こうした内科的治療をまず数ヵ月間続け、それでも改善が見込めなった方のみ症状に応じて注射や手術へ切り替えます。生活習慣の改善で、まず行うのは食生活の見直し。規則正しい食事に加え、繊維質や水分をたっぷり取るよう指導します。食べ物が不規則に体に入ってくれば、当然体から出るのも不規則になりやすいから。また下痢や便秘になりやすい人には必要に応じて薬も処方し、排便をスムーズにするためのサポートも大切です。

Q診療の流れについても教えてください。
A
なるせ内科・胃腸のクリニック 患者の生活習慣もしっかりヒアリングして痔ができる原因を探る

▲患者の生活習慣もしっかりヒアリングして痔ができる原因を探る

まず問診票を書いていただき、普段の生活習慣から過去の病歴などについてしっかりとお話を聞きます。たとえご本人が気づいていなくても、話を聞くと悪い排便習慣の原因が見えてくるものなんです。その後、診療台に横になっていただき、診察をスタート。肛門鏡と呼ばれる道具を使い、肛門の中の状態を確認します。お尻を押し広げる形で道具が入るので、多少の違和感はありますが、潤滑油代わりにゼリーを塗ったり、患者さんと呼吸を合わせたりしながら、できるだけ苦痛がないように配慮していますのでご安心を。診療時間はおよそ5分。大腸の内視鏡検査のように下剤を事前に飲んでいただくこともありませんし、検査着に着替える必要もありません。

Q治療期間はどれくらいになりますか?
A
なるせ内科・胃腸のクリニック 肛門専門の医院と違い標榜科目が多いので、気後れせず通える

▲肛門専門の医院と違い標榜科目が多いので、気後れせず通える

生活習慣を変えるには、毎日の積み重ねが大事です。長い時間をかけて悪くなったのですから、そのぶん時間もかかると考えたほうが良いでしょう。例えば、当院では生活習慣の改善や薬の処方を数ヵ月間続け、それでも良くならない場合、痔核に対しては「ALTA療法」へ切り替えます。これは、中国の消痔霊(しょうじれい)という生薬から作られた漢方薬を用いる方法で、痔の組織を硬く小さくするために行うものです。そして最後の手段として外科手術がありますが、一見して手術が必要と判断できる場合でも、生活習慣の見直しは必須であると考えます。なぜなら、たとえ手術をしても悪い排便習慣が残ったままでは結局再発の可能性があるからです。

Q痔の症状がある人は、大腸がんの検査も受けたほうが良いとか。
A
なるせ内科・胃腸のクリニック 岩田院長は消化器内視鏡専門医の資格も持つ内視鏡検査の専門家

▲岩田院長は消化器内視鏡専門医の資格も持つ内視鏡検査の専門家

はい。なぜなら、痔の発症を誘引する便秘は、大腸がんの危険因子ともいわれており、便秘の人は大腸がんを発症する確率が高いとされているからです。ちなみに当院でも、大腸内視鏡検査に力を入れています。ほとんど眠っている状態で検査を行えるよう鎮静剤を使用し、「知らないうちに終わっていた」と感じていただけるよう工夫しています。また、内視鏡検査において、診断の精度の高さはとても重要です。私は開業前、外科の医師として消化器系がんの検査・手術を数多く手がけ、たくさんの症例を見てきた経験があります。消化器内視鏡専門医の資格も生かし、わかりにくい症例を見逃さないよう、正しい診断に努めています。

ドクターからのメッセージ

岩田 誠一郎院長

私たち人間は哺乳類なので、もともと4本足で生活するように体ができています。しかし2本足で立ち、心臓の位置がお尻より高くなったことで、お尻の血液が心臓に戻りにくくなってしまったのです。すると、肛門付近の血の巡りが悪くなり、血管が腫れ、傷がつきやすくなる。これが、痔の原因といわれています。つまり痔ができるのは人間だけとされているのです。潜在的には、成人の8割以上が痔を患っていると考えられます。とはいえ、お尻の病気は相談しにくいもの。痛くても我慢して、結果的に悪化させてしまうケースは少なくありません。痔は他の病気と同様、早期発見・治療が肝心です。お尻の痛みや出血があれば、早めの受診をお勧めします。

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