喉の違和感を覚えたら受診を
耳鼻咽喉科で受ける甲状腺疾患治療
大阪梅田耳鼻咽喉科 ゆあさクリニック
(大阪市北区/西梅田駅)
最終更新日:2022/06/20


- 保険診療
喉仏の下にある「甲状腺」は、全身の代謝に働くホルモンを分泌する役割を担う大切な臓器。しかし甲状腺が異常を来すと、甲状腺ホルモンの量が多かったり、少なかったりとバランスが崩れ、心身にさまざまな悪影響を及ぼす。過剰分泌では多汗・動悸・息切れ・手の震え、分泌不足では疲労感・肌の乾燥・脱毛・手足の冷えといった症状が出てくるが、甲状腺疾患の自覚がない患者も少なくないため「大阪梅田耳鼻咽喉科 ゆあさクリニック」の湯浅純院長は、花粉症などアレルギー性鼻炎といった別の主訴で訪れた患者もしっかり観察し、甲状腺疾患の疑いがあれば検査を勧めている。耳鼻咽喉科を専門としながらも甲状腺疾患診療の豊富な経験を持つ湯浅院長に、甲状腺疾患について、同院で受けられる検査や治療、日常生活で気をつけることなどを聞いた。
(取材日2022年3月25日)
目次
喉の違和感や体の不調に気づいたらまずは受診を。早期発見・治療で甲状腺疾患のコントロールを
- Q甲状腺とは何ですか? また、どの科を受診すべきですか?
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A
▲甲状腺疾患を疑う見た目・症状があれば、すぐに相談を
はじめに甲状腺とは、代謝調整などに働く甲状腺ホルモンを分泌する蝶々型の臓器で、喉仏の下にあるものです。甲状腺疾患には、橋本病に代表される甲状腺機能低下症、バセドウ病などで知られる甲状腺機能亢進症のほか、副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症、甲状腺腫瘍、甲状腺がんなどがあります。健康診断などで「甲状腺が腫れている」「首が大きくなっている」と指摘されて検査に来られる方が多いですね。一般的に甲状腺疾患は内分泌内科などへの受診が考えられますが、私は耳鼻咽喉科・頭頚部外科で甲状腺疾患の診断から手術まで豊富な経験を積んできました。甲状腺疾患を疑う見た目・症状に気がついた際にはすぐにご相談ください。
- Q甲状腺疾患を疑わせる症状にはどんなものがありますか?
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A
▲甲状腺疾患の診断から手術まで豊富な経験がある湯浅院長
甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンが不足し、疲れやすい・眠い・肌の乾燥・抜け毛・食欲低下・体重の増加・手足の冷え・体のむくみなどの症状があります。また甲状腺機能低下症がうつ状態につながることもあり、うつ傾向の患者さんを調べてみたら甲状腺の病気だったということがあるので注意が必要です。一方、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて新陳代謝が高まり過ぎる状態が甲状腺機能亢進症で、動悸・息切れ・多汗・微熱・手指の震え・眼球突出といった症状が見られます。このほか月経異常やめまい、筋肉痛、下痢、嘔吐などさまざまな症状が考えられ、甲状腺腫瘍であれば甲状腺にしこりができたり、甲状腺全体が腫れたりすることもあります。
- Qこちらのクリニックではどのような検査・治療が受けられますか?
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A
▲エコー検査で甲状腺の病気を診断していく
血液検査で甲状腺ホルモンの濃度などを調べるほか、甲状腺の多くの病気の診断が可能とされる超音波(エコー)検査で首の腫れなどを見ていきます。加えて甲状腺腫瘍から採取した細胞を検査する細胞診も行っており、初診から検査・診断まで当院で完結した対応ができます。検査の結果により特別な治療はせず経過観察の方もいらっしゃいますが、甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンを補うためのお薬、逆に甲状腺機能亢進症であれば甲状腺ホルモン分泌を抑えるためのお薬を処方します。また当院では手術を行っていないため、手術が必要なケースに関しては、連携病院をご紹介し、術後のフォローは当院でさせていただくことも可能です。
- Q甲状腺の病気を放置すると、どうなってしまいますか?
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A
▲症状を抑えるためにも、早期発見・早期治療が大切
例えば甲状腺機能亢進症を放っておくと、何らかのストレスをきっかけに過剰な甲状腺ホルモンが作用して複数の臓器が機能不全となる「甲状腺クリーゼ」を引き起こしかねません。これは命を落とす可能性もあるたいへん危険な病気です。逆に甲状腺機能が低下している場合は、代謝不良による脂質異常症から心筋梗塞や脳梗塞へとつながっていくこともあります。またバセドウ病による眼球突出は見た目にも変化が表れてしまいますから、症状を抑えるためにも早期発見・治療が大切です。甲状腺疾患患者の多くは女性ですが、男性もゼロというわけではありません。気になることがあれば気軽にご来院ください。
- Q日常生活で注意すべき点を教えてください。
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A
▲定期的な通院で治療を続けていく必要がある
甲状腺に悪影響を及ぼすヨウ素が含まれた昆布をたくさん食べることや、ヨウ素含有のうがい薬の使用は避けましょう。甲状腺の病気は、発症したら長く付き合っていかなくてはならない病気です。甲状腺機能亢進症の方であれば動悸が起きやすく心臓に過度な負担がかかりやすいため運動には注意が必要になるなど、生活に制限が出てきます。そこで、できるだけ今までどおりの生活を維持するためにホルモンの調節を行いますが、甲状腺疾患をきちんとコントロールするためには月1回の通院と血液検査・エコー検査を行い、体の状態に合わせた治療を続けていくことが大切です。定期通院の負担減の観点からもクリニックでの治療をお勧めします。