女性特有の悩みや心のトラブルに
体質を見極めて行う漢方治療
漢方心療内科 藤井医院
(京都市左京区/松ヶ崎駅)
最終更新日:2025/07/15


- 保険診療
天然の動植物や鉱物などの成分を組み合わせて作られる漢方薬。中国に起源を持ち、日本で独自に発展した「漢方医学」で用いられる薬で、「葛根湯」や「当帰芍薬散」などを処方されたり、薬局で目にしたりした経験がある人は多いだろう。京都市左京区にある「漢方心療内科 藤井医院」は、そんな漢方薬を積極的に用いて多くの人の心と体のバランスを整えることに努めるクリニックだ。自身も7人の子どもを産み育ててきた藤井英子院長は、産婦人科の医師としての経験も生かしながら、月経困難症、更年期障害や女性特有の心身の悩みに対して親身に相談に応じている。今回はそんな藤井院長に、女性の人生に寄り添う漢方治療について詳しく話を聞いた。
(取材日2025年7月2日)
目次
心と体を一つのものとしてバランスを整えることをめざし、不調からの改善を図る
- Q心療内科の治療に漢方を用いることのメリットはなんですか?
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A
▲女性特有の心身の悩みに対して親身に相談に応じる藤井院長
漢方には心身一如という言葉があります。これは心と体はお互いに影響し合っている、体の調子が良くなることで心の不調も良くなり、心の調子が良くなることで体の不調も改善するという考え方です。漢方の大きな特徴は心と体を切り離さず、一つのものとしてバランスを整えていくことをめざすこと。西洋医学では検査数値や画像を重視して診療しますが、漢方の診療では医師がすべての五感を駆使して診断しますから、データに現れない不調の診療も得意なんですよ。また、薬に対する依存性や副作用が比較的少ないのも漢方の特徴です。少し時間はかかりますが、自分の体が持つ自然治癒力の向上を図ることで服薬しなくても大丈夫な状態をめざします。
- Q月経困難症や更年期障害などの症状にも用いられるのですね。
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A
▲漢方での治療は、患者一人ひとりに寄り添うことが重要
月経不順や無月経、月経困難症、PMSや更年期障害によるイライラなど、女性のライフステージごとに起こる心身の不調は、内科や婦人科だけでなく心療内科や精神科でも診療可能です。自分ではコントロールできない強い落ち込みや不安、イライラなどを感じてつらい時には、我慢せず気軽に相談してもらえればと思います。男性の方にも更年期症状が現れることもあります。漢方には「同病異治・異病同治」という考え方があります。同じ病名でも人によって違う処方が必要で、違う病気にも同じ薬が役立つことがあるということです。診察では顔色や脈、舌などを診て、どんな症状にお悩みかをお聞きして、今必要な処方を見極めるようにしています。
- Q妊娠中や授乳中に飲んでも影響はないのでしょうか?
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A
▲院長の著書。心を軽くする言葉がつづられている
妊娠中や授乳中でも、状況に応じて使える漢方薬があります。ただしすべての漢方薬が使えるというわけではないので、自己判断ではなく、医師と相談しながら体調や時期を見極めて使用しましょう。例えば当帰芍薬散は、妊娠中の貧血や産後うつにも処方される代表的な漢方薬です。また、つわり・便秘・むくみ・冷え・不眠・産後の疲労感などの症状に有用な漢方薬もあります。確かめながら使えば、心身のケアにとっても役立つお薬になりますよ。私も7人の子どもを育ててきましたが、妊娠・出産・産後はホルモンバランスの変化もあって、心も体も揺らぐもの。つい無理をしてしまう時期ですが、頑張りすぎずに自分を大事にしてくださいね。
- Q女性特有の悩みについて診療する上で、気をつけていることは?
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A
▲気になることがあれば、気軽に相談してほしいと話す同院
女性は月経・妊娠・更年期・閉経と、ホルモンの変化によって心と体の状態が大きく変わるもの。ただ、あまり変化を感じない人もいれば、日常生活ができないくらいつらいと感じる人もいます。本当に人それぞれですから、お一人お一人の訴えをよく聞き、よく診た上で症状や生活状況や性格、体質に合った漢方を処方するように努めています。忙しい現代、ほとんどの人が何らかのストレスを抱えているもの。心療内科を受診することに抵抗があるかもしれませんが、怖いものではありませんよ。私自身も仕事や対人関係のストレスで思い悩み、眠れなくなった経験があります。数日のことなら良いのですが、長く続くようなら一度受診してみてください。
- Q市販の漢方薬も増えていますが、選ぶポイントなどありますか?
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A
▲体質や症状に合った漢方薬の注意点が書かれている
市販の漢方薬は便利ですが、選ぶ際には慎重さが必要かなと思います。漢方薬は副作用がないというイメージを持つ人は多いですが、副作用がまったくないわけではありません。特に長期間の服用には注意が必要な物もあり、自己判断で使い続けるのはリスクを伴うこともあります。また、多くの漢方薬が保険診療の対象となっていますから、医師の診断を受けて処方してもらえば、自己負担も抑えられます。体質や症状に合った漢方薬を、必要な期間だけ適切に使うことで、より安心して治療や体調管理に生かすことができます。日常的な不調を感じた時こそ、自己判断で市販薬に頼りすぎず、気軽に専門の医師や薬剤師に相談してみることをお勧めします。