ピルの副作用に悩む女性へ
近年は黄体ホルモン単剤という選択肢も
レディーバードクリニック
(大阪市北区/なにわ橋駅)
最終更新日:2025/08/13


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避妊薬として広く知られるピルだが、生理痛など月経にまつわる不調の緩和目的で用いられるものもあり、日常生活の質を高めるための選択肢として注目されている。しかしその一方で、「頭痛や吐き気などの副作用が怖い」「なんとなく抵抗がある」といった不安から、適切な情報にたどり着けない人も少なくない。「レディーバードクリニック」の丸尾伸之院長は、「最近では、副作用の少ない薬も登場し、新たな選択肢となってきています」と語る。ピルに関する豊富な知識を持ちつつ、「ピルに頼らないケア」についても提案を行っている丸尾院長に、ピルの知識や新しい選択肢について教えてもらった。
(取材日2025年7月31日)
目次
避妊や月経困難症治療に、「黄体ホルモン単剤」という新しい選択肢
- Q避妊用ピルについて教えてください。
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A
▲副作用が比較的少ないとされる低用量ピル
避妊用ピルは、女性ホルモンと黄体ホルモンの合剤で、主にホルモンの3つの働きを利用して避妊をめざします。1つ目は排卵を抑える働きで、卵子が排出されなければ受精そのものが起こりにくくなります。2つ目は子宮内膜を薄く保つ働きで、万が一受精しても子宮内膜が薄いと着床しにくくなります。通常、子宮内膜は妊娠に備えて厚くなりますが、この変化を抑えるためにピルを服用するのです。3つ目は子宮頸管の粘液を変化させる働きで、精子が子宮内に進みにくい状態をめざします。これらを組み合わせて、避妊につなげていきます。ピルにもいくつか種類がありますが、最近は、副作用が比較的少ないとされる低用量ピルが広まりつつあります。
- Q低用量ピルは、避妊以外の目的で用いられることもあるとか。
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A
▲月経困難症に対し、保険適用で処方されることも
はい。低用量ピルは避妊を目的に使われるものだけでなく、月経困難症に対し保険適用で処方されるものもあります。いわゆる生理痛がつらい方や、経血量が多く日常生活に支障を来すような場合が該当します。排卵の抑制や子宮内膜を薄く保つことをめざすことで、経血量の減少や生理痛の軽減が期待できるのです。
- Qピル服用にあたっての副作用や注意点はありますか?
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A
▲体質によりピルの処方ができない場合も
副作用として、比較的多く見られるのが吐き気や頭痛です。多くの場合、徐々に落ち着いていきますが、体質によっては改善しない方もいます。もう一つ重要なのが血栓症のリスクです。血液を固まりやすくする女性ホルモンが増えると血栓ができやすくなるのです。血栓症のリスクが高まる40歳以上の人や、さらには⽚頭痛のある方も、低用量ピルは原則処方できません。そのほか「太りやすくなった」「ニキビが増えた」と感じる方もいます。また、女性ホルモンの影響を受けやすい乳がんや子宮体がんの方にも、ピルの使用は禁忌とされています。
- Q日本で新しい避妊用ピルが発売開始されたと聞きました。
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A
▲副作用が心配な人にとって新たな選択肢となる黄体ホルモン単剤
黄体ホルモン単剤ピル、通称「ミニピル」「POP(プロゲステロンオンリーピル)」で、2025年6月に発売開始されたものがあります。従来のピルは女性ホルモンと黄体ホルモンの合剤で、副作用や禁忌が多く、服用したくてもできない方が多くいらっしゃいました。黄体ホルモン単剤ピルは女性ホルモンを含まないため、副作用が心配な方や従来のピルが体質に合わなかった方の新たな選択肢となっています。体重やニキビが気になる方や、特に40歳以上で血栓リスクが懸念される方でも使いやすい薬として期待されています。近年では、黄体ホルモン単剤の月経困難症治療薬も増えていて、月経困難症に悩む方にとっても新たな選択肢となっています。
- Q黄体ホルモン単剤ピルについて、もう少し詳しく教えてください。
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A
▲少しでも不安なことがあれば医師へ相談を
黄体ホルモン単剤ピルは自由診療で処方される避妊用ピルで、乳がんや子宮体がんがないことを確認できれば処方が可能です。特にご希望がなければ、内診やエコー検査も不要なため、オンライン診療でも対応できます。通常の低用量ピルは月経5日目からの服用が基本ですが、この黄体ホルモン単剤ピルは月経初日から飲み始めます。注意点として、従来のピルよりも不正出血がやや起こりやすく、また、価格もやや高い傾向があります。それでも、従来のピルと比較するとさまざまなメリットがあります。ピルは長期間服用する薬だからこそ、副作用の少ないものを選ぶことが大切です。
自由診療費用の目安
自由診療とは黄体ホルモン単剤(1シート)/3500円