丸尾 伸之 院長の独自取材記事
レディーバードクリニック
(大阪市北区/なにわ橋駅)
最終更新日:2023/08/31
京阪中之島線・なにわ橋駅から徒歩2分の場所にある、「レディーバードクリニック」。ここは、2022年に開院した、センスの良い内装が印象的な産婦人科のクリニックだ。院長の丸尾伸之先生は、淀川キリスト教病院で周産期母子医療センターのセンター長や産婦人科部長を務めた、産婦人科のベテラン医師。更年期の症状やPMS(月経前症候群)は、「心と体のバランスが崩れていることが一つの原因」と考え、リラックスした状態を保つことや、普段の食事に必要なことなどをアドバイスしている。また、なるべく薬を使わない妊婦健診や不妊治療にも注力。そんな丸尾院長に、治療の方針やクリニックの展望などについて話を聞いた。
(取材日2023年7月28日)
自己治癒力の向上を図ったオーガニック医療に注力
医師を志した理由と、これまでのご経歴について教えてください。
実は私の父と祖父が産婦人科の医師でして、私はかつて加古川にあった祖父の産院で産まれたんです。2人の影響を受けて産婦人科という仕事を受け継ぎたいと考え、今の仕事に就きました。開業する前は、淀川キリスト教病院に勤務し、産婦人科の部長や周産期母子医療センターのセンター長を務めました。大きく忙しい病院では、チームの力が本当に重要です。いろいろなことが同時多発的に起こる緊急時に、誰がどうバックアップして、チームとしてどう対応していくか。そんなチーム医療のやりがいと面白さがありましたね。
開業しようと思われたきっかけについてもお聞かせください。
総合病院での勤務医時代に、患者さんへの接遇について考えたことが一つのきっかけになりました。大きい病院というのは、良くも悪くも規則が厳密でして、ルールに縛られてしまう側面があると思うんです。例えば、新型コロナウイルスが流行してからは、病院に入る際にマスクの着用や、ご家族に発熱者がいるかのチェックが必要になりましたよね。そればかりでなく、面会や出産の立ち合いも制限され、病院を訪れる方に対する規則が厳しくなってしまいました。つまり、病院という場所が、皆さんの緊張感をあおる場所になってしまったんです。緊張状態が続けば、患者さんやそのご家族の心身にも少なからず悪影響を及ぼすでしょうし、私自身も不安を煽ることはしたくありません。そんな思いから、私自身の責任のもとで規則を決め、患者さんにとって居心地の良いホスピタリティーにあふれた空間をつくりたいと考え、2022年2月に当院を開業しました。
こちらのクリニックの診療方針を教えてください。
先ほど申し上げたとおり、緊張は心身の健康にも影響を与えることがありますので、患者さんとの対話を大切にし、リラックスして過ごせる雰囲気づくりを心がけています。治療においては薬を使った対症療法だけではなく、患者さんご自身の自己治癒力を高めるアプローチを大切にし、根本的な治療をめざしています。もちろん必要な場合は薬も処方しますが、むやみやたらに薬を使い症状を抑え込むのではなく、体を温めたり自然な香りを感じてもらったりして患者さん自身の自己治癒力の向上をめざしています。農薬や化学肥料、化学物質を使わずに作られたオーガニックのものを用いることで、一人でも多くの女性が、自然な形で全身の健康状態を維持していけるようサポートしていきたいですね。
薬だけに頼らず、心身のバランスが整うようアプローチ
薬だけに頼らない、自己治癒力を引き出す治療について詳しく聞かせてください。
女性は、ホルモンバランスの乱れや生理にまつわるトラブルの影響で、気分が落ち込んでしまうなど、どうしても感情の波が大きくなってしまいがちです。そのため、この感情の波を少しでも小さくしていくことが重要になってきます。そこで当院では、自律神経の乱れの改善を図ったり、体を温めて血のめぐりを良い方向へ促したりすることで、心身のバランスを整えるアプローチを行っています。
心身の不調を訴える人には、具体的にはどのようにアプローチされていますか?
例えば、PMSは「月経前症候群」と呼ばれるように、生理の前に精神的・身体的な不調が現れるものです。こうした症状は、体のバランスの乱れやストレスが影響していることが多く、普段からいかに心と体を整えるかが重要となってきます。特に女性は、体の冷えによってさまざまな不調に陥りがちです。そのため、「体が温まるものを食べる」「冷たいものを取りすぎない」など日常生活のアドバイスをしています。また、自律神経を整えることも大切です。興奮時に働く交感神経が優位になると血管が収縮し、血液を全身に送ろうとするのですが、その状態が続くと末梢血管が閉まり、手先足先が冷えやすくなるといわれています。そうした時は湯船につかるなどして副交感神経を優位に働かせることが大事なんです。普段何げなく見ているスマホも、交感神経を優位にさせやすいので注意が必要でしょう。このように薬を使わず、患者さんの心身を整えることを重視しています。
こちらのクリニックでは、どのような患者さんが多くいらっしゃいますか。
20代から60代まで、幅広い年齢層の方がいらっしゃいます。妊婦健診に通われたり更年期の症状や生理不順、PMSなどのご相談も多いですね。当院では出産の対応はしていないのですが、妊娠している方も多くいらっしゃいますよ。妊娠中の方は、ご自身はもちろん胎児への影響を気にされる方も多いので、必要な場合を除き、なるべく薬を使わないケアを心がけています。例えば、普段の食事で添加物を取ると体に悪影響を及ぼすことがあるので、食生活についてのアドバイスも重要になってくるでしょう。一方で、不妊に悩まれている方には、主に子宮を温めるアプローチによるタイミング指導を行っています。体の調子を整えて、自然妊娠がめざせる状態にしていけたら。また、そうしたサポートができるよう、院内にエステサロンも併設しています。
不安がなくなり、安心につながるようなクリニックへ
患者さんと接する際に意識していること、心がけていることを教えてください。
まず患者さんの不安を取り除いて差し上げることです。今はインターネットでたくさんの情報を得ることができる時代ですから、ご自身で見つけられた情報に左右され、本来しなくても良い不安を抱えてしまっている患者さんが多いように思います。例えば、治療や薬の副作用について、確率が10分の1といわれるものと、1万分の1といわれるものが横並びで記載されており、誤解をされている方もよくいらっしゃいますよ。患者さんの状態を診て、医師としての考えをしっかりと伝え、不要な心配をされている方には、大丈夫ですよと安心を与えて差し上げたいですね。
クリニックの今後の展望について、お聞かせください。
現在、当院ではお産ができないので、将来的にはお産ができる施設を立ち上げたいと考えています。私が考える「お産のあるべき姿」というものがあります。例えば、私は母親が望む場合には、父親やお子さんも出産に立ち会えるような姿が理想と考えています。しかし、父親の立ち合いは認められるようになってきたものの、お子さんに関してはまだまだ立ち合いが制限されている所がほとんどです。ご本人やご家族の希望があれば、生命の誕生に立ち会える、そんな施設をつくりたいですね。
最後に読者へのメッセージをいただけますか。
当院では、患者さんの自然な姿を重視し、その方が本来持っていらっしゃる力によって良い状態を維持していけるような治療をめざしています。一人でも多くの女性の健康をサポートしていければと思っていますので、不調にお悩みの方は、ぜひお気軽に足を運んでいただけたらうれしいですね。