糖尿病・内分泌疾患の専門家が語る
見落とされがちなホルモン異常
五反田みやざき内科クリニック
(品川区/五反田駅)
最終更新日:2022/11/15


- 保険診療
人の健康はホルモンのバランスの上に成り立っている。その分泌量が低下したり過剰になったりするとあらゆる不調につながるのだが、ホルモンの異常は原因として見落とされがちだ。「五反田みやざき内科クリニック」では内分泌内科・糖尿病内科・循環器内科に対応。原因不明の動悸や息切れで悩んだり、健康診断でコレステロールや肝機能の数値を指摘されたりといった患者の不調に対して、多角的な診療を行っている。宮崎裕子院長は甲状腺疾患をはじめとした内分泌疾患や、糖尿病の分野で研鑽を積んできたドクター。「病気を診る前にその人を診る」を胸に、患者一人ひとりのライフスタイルに合わせた治療プランを組み立てている。今回は宮崎院長に、内分泌内科や甲状腺疾患について、また糖尿病とホルモンの関連性についても話を聞いた。
(取材日2022年10月11日)
目次
症状がわかりにくく見落とされがちな内分泌疾患。ホルモンの異常が甲状腺の疾患や糖尿病の引き金にも
- Q先生のご専門である内分泌内科とはどのような診療科目ですか?
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A
▲穏やかな口調で丁寧に説明してくれる院長
人間の体内では甲状腺ホルモン・副腎皮質ホルモン・性ホルモンといった、さまざまなホルモンがつくられ分泌されています。唾液など外に出ていく「外分泌」との対比で、血液と一緒に体内を巡ることから「内分泌」と呼ばれています。これらのホルモンがバランスを取り合うことで健康は保たれています。ですが分泌量の過不足など異常が生じると、不調や病気となって現れます。それらを診るのが内分泌内科です。病気かどうかの見極めが難しいケースも多く、適切な診断が非常に重要となります。
- Q甲状腺疾患にはどのようなものがありますか?
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A
▲長期的な目線で一人ひとりに合った治療法を提案する
甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症の代表例は「橋本病」です。慢性的な機能低下により新陳代謝が悪化し、無気力で疲れやすいなど活動的でなくなります。また寒がりになるほかむくみや肥満など、さまざまな不調につながります。一方、過剰分泌による甲状腺機能亢進症には「バセドウ病」があり、動悸や手の震え、いらいらや暑がりになるなどの症状があります。もし放置すれば不整脈や心不全になることも。ストレスによる急激な悪化で命を落とす場合もあるので早期発見・治療が大切です。甲状腺疾患は女性に多いといわれますが、男性も50~100人に1人の割合で起こるとも。遺伝的な体質、感染症、妊娠や出産で悪化することもあります。
- Q治療はどのように進められるのでしょうか?
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A
▲清潔感のある院内には、各種検査機器が充実している
体調について詳しくお話を伺った後、血液検査や甲状腺エコー検査を行い診断します。ホルモンが不足している場合はホルモン補充療法を行いますが、低下症の方のホルモン量が正常に戻ることはまれで、薬との長い付き合いが必要です。視力の悪い方が眼鏡をかけるのと同じですね。副作用は少なく、薬を飲み始めると体調の良さを感じられることも望めます。ただホルモンの正常値は年齢によって変わるので、症状を診ながら適宜調整していきます。亢進症の場合も薬を用いますが、こちらは次第に減量するケースが多いです。薬を用いず手術を選択される方もいらっしゃいますので、症状や治療内容によっては大規模病院と連携して治療を進めます。
- Q糖尿病などの生活習慣病にホルモンとの関連性はありますか?
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A
▲気になる症状があれば、気軽に相談してほしいという
糖尿病の原因の一つにインスリンの作用不足があります。インスリンもホルモンの一種ですから、内分泌に関係のある疾患といえますね。インスリン以外のホルモンの異常から糖代謝が悪化することもあるんですよ。また糖尿病の原因はホルモンだけではありません。内分泌が正常でも、それを受け取る側の筋肉の問題、また外的要素も考えられます。当院では内分泌内科と糖尿病内科のどちらにも対応しています。日本糖尿病学会糖尿病専門医としてその原因を多角的に診断し、原因がホルモンにある場合でもそうでない場合でも、症状に合わせて治療を進めています。
- Qどのような症状、タイミングで受診すればいいのでしょうか?
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A
▲患者がリラックスできるよう、院内にはさまざまな工夫が
甲状腺機能亢進症で多い症状は動悸や息切れです。急な体重減少が見られることもありますね。「手足の力が入らなくなった」「暑さに弱くなった」と訴える患者さんもいらっしゃいます。甲状腺機能低下症の場合は健康診断でコレステロールや肝機能の数値を指摘されて、そこから発見されることが多いです。低下症は流産のリスクを上げるといわれ、悪化するとうつ状態や認知症にもつながりかねません。内分泌疾患は特定の症状がなく気づきにくいもの。こちらに挙げたような症状があったり、健康診断で数値を指摘されたりしたら、その裏にホルモンの異常が隠れていないか一度検査を受けることをお勧めします。