放置しがちな膝の痛み
早めの対処で変形性膝関節症を避ける
相模が丘整形外科リハビリテーションクリニック
(座間市/小田急相模原駅)
最終更新日:2025/04/15


- 保険診療
膝の痛みは自然に治ると考え、つい放置しまいがちである。しかし、変形性膝関節症だった場合、早めに治療を開始しないと痛みが激しくなり、やがては手術が必要になってしまうケースもある。「症状が悪化してからだと、元の状態に戻るのに時間がかかってしまうため、自己判断で様子見するのではなく、整形外科を受診してください」と語るのは「相模が丘整形外科リハビリテーションクリニック」の山森寛之院長だ。山森院長は、幼少期から数多くのスポーツに取り組んできており、患者の立場を考えた治療やリハビリテーションを提案し続けている。変形性膝関節症で何より大切なのは、MRI検査などで根本原因を突き止め、なるべく早く痛みを取り除くことだと話す山森先生に、変形性膝関節症の治療や予防、早期発見の重要さなどを聞いた。
(取材日2025年4月2日)
目次
悪化すると手術が必要になる場合もある変形性膝関節症。大切なのは日常生活での予防と、早期治療
- Q変形性膝関節症とはどのような疾患ですか?
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A
▲歩行困難になる可能性があるため、早めの受診を心がけたい
加齢や筋肉量の低下で、膝の軟骨がすり減る病気です。軟骨の減少を放置すると大腿骨と脛骨が直接ぶつかり、膝が激しく痛むようになります。4対1の割合で女性に多く見られます。肥満や遺伝が原因のこともありますが、骨折、膝靱帯や半月板の損傷、化膿性関節炎の後遺症として発症する場合もあります。立ち上がったり、歩き始めたりする動作の開始時に痛みが生じることから始まり、中期になると階段の昇降や正座が難しくなり、末期には安静時にも痛みが取れず、膝の変形が目立ち、歩くのが困難になります。また、関節を覆う関節包に炎症が起こると潤滑油の役割を担う関節液が過剰に分泌されます。これが、いわゆる「膝に水がたまった」状態です。
- Q膝の痛みは放置せず早めに受診したほうが良いのでしょうか?
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A
▲MRI検査などさまざまな検査を実施し、診断していく
自己判断で様子見するのではなく、なるべく早めに整形外科を受診してください。症状が悪化してからだと、元の状態に戻るのに時間がかかってしまうためです。なお、エックス線検査では初期の膝関節症は診断できません。超音波検査なら水がたまっているか否かはわかるものの、関節の奥の状態までは見えません。そのため、軟骨損傷の有無をしっかり診断するにはMRI検査が欠かせないのです。当院では、提携クリニックを紹介し、検査を行っていただいています。そのまま検査結果を持参していただき、最速で当日に治療を始めることが可能です。
- Q変形性膝関節症の治療について教えてください。
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A
▲鎮静剤や注射、場合によっては手術を検討することも
症状が軽い場合は鎮痛剤や抗炎症薬を投与します。以前用いられていたステロイド剤は一時的な改善が期待できるものの、関節の劣化が進んでしまうため、現在は非ステロイド性抗炎症薬や、膝関節内へのヒアルロン酸注射を用いることが多くなっています。また、運動器リハビリテーションや、膝を温める物理療法も行われます。膝への負担を減らす目的で足底板や膝装具を作製する場合もあります。それでも改善しない場合は、関節鏡視下手術、骨切り手術、人工膝関節置換術などをご提案します。手術の場合は、外部の医療機関を紹介させていただきます。なお、手術を避けるには、早期に治療を開始することがとても重要になります。
- Q変形性膝関節症を予防する方法はありますか?
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A
▲生活習慣を見直すことも治療を進める上で重要
予防として、太ももの前の筋肉を鍛える、正座や和式トイレを避けるという方法があります。膝を冷やさず、温めて血行を良くするのも有用です。また、体重が重いと膝に負担がかかりやすくなり、体重が1kg増えると、膝への負担は4〜5kg増えるともいわれています。そのため、体重管理をするのも予防法の一つです。ダイエットにも運動も良いのですが、よりお勧めなのは消費カロリーよりも摂取カロリーを抑えることです。1日におにぎり2個分のカロリー、約250kcalを減らせば、1ヵ月で1kgの減量につながります。コツコツ続けて体重を着実に落とすことで膝への負担が軽減され、痛みの緩和が期待できます。