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依存症のメカニズムを正しく認識し
予防と治療・回復をめざす

にじハートクリニック

(神戸市長田区/長田駅)

最終更新日:2022/01/14

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  • 保険診療

特定の物質や行いへの依存がやめられず、自分で自分がコントロールできなくなる依存症。健康や日常生活に大きな支障が出るばかりでなく、家族をはじめとする周囲の人間にもさまざまな悪影響を与えてしまう。現代は従来のアルコール依存症のほか、薬物やギャンブルなど、その対象は多様化の一途をたどっているといわれる依存症に真摯に向き合い取り組んでいるのが、「にじハートクリニック」の大谷夏実院長。アルコール依存症を中心とした依存のメカニズムや回復に向けた治療、患者や家族が知っておくべき留意点などを大谷院長に詳しく聞いた。

(取材日2022年1月5日)

依存症克服の第一歩は、誰もがなり得る病気と知ることから

Q依存症とはどのような病気でしょうか?
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▲依存症とはどのような病気なのか正しく知ることが大切

依存症とは特定の物質や行動をやめたくてもやめられない状態になることで、一般的に知られているアルコール依存症のほか、薬物やニコチン、ギャンブルなど、依存の対象は人によってさまざまです。いずれも脳の報酬系と呼ばれる神経回路が変性して起こるといわれ、タイプによっては診断基準も設けられていますが、現代の医学ではまだ完全に解明されていません。大切なポイントは、依存症はあくまで脳の病気であって、その人の意志の弱さや性格の問題ではないということです。決して特別な人だけがなる病気ではありませんから、まずは自分が病気であることを正しく認識し、依存症とうまく付き合っていくことが大切です。

Q依存症になりやすい人のタイプや傾向はありますか?
A
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▲誰でもなり得る病気であると語る院長

依存症の種類によっても異なりますが、例えばアルコール依存症の場合、真面目な人ほどストレスを抱えがちで、人に迷惑をかけまいとして誰にも相談をせず、その発散をアルコールに求めてしまう傾向があります。そうした飲み方を繰り返していると、常に報酬を求める回路が脳内にできてしまい、自分の意思ではコントロールできなくなって飲酒がやめられなくなるわけです。また、最近の若い層では幼少期の養育環境などが影響し、人と関わることが難しかったり、自己肯定感が低かったりすることから依存症になるケースが目立ちます。同じ体験下でも依存症になる人とならない人がいますが、言い換えれば、依存症は誰もがなり得る病気といえるでしょう。

Q予防のために普段からできることはあるのでしょうか?
A
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▲誰かに相談するちょっとした勇気を持つことが予防につながる

いったん依存症になると治療は困難を極めますから、予防はとても重要なテーマです。まだコントロールできるうちに、そうならない方策を自分自身で講じていくことが大切です。ただ我慢するだけでやめられれば苦労しませんから、理由の種を完全に排除するのではなく、代わりとなる何かに置き換えていくのがこつでしょう。依存症のメカニズムから考えれば、何かをした後の「自分へのごほうび」のようなものはなるべくつくらないことです。また、問題を一人で抱え込まず、誰かに気軽に相談することも大切です。依存症になれば多くの場合、人間関係は大きく損なわれます。そうなる前に、ちょっとした勇気を持つことが一番の対策かもしれません。

Q依存症治療で大切なことは何ですか?
A
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▲じっくりとコミュニケーションを重ねることを大切にしている

依存症を完全に治癒するのは基本的に難しく、糖尿病と同じように、症状が出ない回復状態を根気よくめざすことが一つの目標となります。アルコール依存症の場合、外来通院や抗酒剤、自助グループへの参加などがありますが、画一的に試すだけではなく、患者さんごとに柔軟にアプローチしていくことが重要です。また、たとえ病気であったとしても、病気だから許していいことと許してはいけないことがあります。制御できずにお酒を飲んでしまうのは病気のせいでも、酔って家族に暴力を振るうことはいかなる観点からも正当化できません。そうしたことを患者さんと話し合い、じっくりとコミュニケーションを重ねていくことが重要なプロセスとなります。

Q依存症について先生の考えを教えてください。
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▲人を信頼するきっかけになってほしいと優しい笑顔で話す

依存症を克服する上で一番必要なのは、人を信頼することです。そのきっかけを、一番近くにいる主治医からスタートしてもらい、自分の将来についても悲観的にならずに希望を持っていただきたいと思います。私自身が患者さんから教わることも多々あります。人というのは決してニュートラルな存在ではなく、自分のことは案外、自分ではわかっていないものです。依存症の患者さんと向き合っていると、それに気づかされますね。現代は価値が多様化し、依存症という概念がさまざまなジャンルに広がりつつあります。先輩の先生方が培った方法論をしっかりと踏襲しながら、こうした新しい社会に追従していくことも今後のテーマではないかと考えています。

ドクターからのメッセージ

大谷 夏実院長

依存症で苦しんでいるのは、患者さん本人だけでなくご家族も同様ではないかと思います。近くにいればいるほど病気とは思えないでしょうし、実際に迷惑を被っている一番の被害者なのに、まだ「こうしてみてください」「ああしてみてください」と負担を求められるのは不本意かもしれません。しかし、依存症はれっきとした病気です。認知症もそうですが、本人の行動が病気のせいと認識できれば少し見えてくる世界もあるでしょう。もし深刻に悩んでおられるようであれば、ご家族だけでも結構ですから一度相談にお越しください。依存症という病気についてしっかりとお伝えしますので、将来に向かって少しでも光明を見いだしていただければと思います。

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