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大谷 夏実 院長の独自取材記事

にじハートクリニック

(神戸市長田区/長田駅)

最終更新日:2021/12/13

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2021年11月にオープンした「にじハートクリニック」。「このクリニック名には『あなたに寄り添い、心に虹を』そんな想いを込めました」と話すのは院長の大谷夏実先生。神戸市営地下鉄山手線の長田駅や神戸高速線東西線の高速長田駅からおよそ徒歩4分のところにある同クリニックは、気分の波がある、不安でたまらない、お酒やギャンブルがやめられない、コミュニケーションが苦手といった、生きづらさを抱えている人のためのクリニックだ。依存症などの治療経験が豊富な大谷院長のモットーは、「その人らしさに寄り添うこと」。「患者さんと対等な立場でじっくりと会話し、最後は笑って終われるのが理想の治療」だと話す。穏やかな笑顔の大谷院長に、クリニックで実現していきたいことについて話を聞いた。

(取材日2021年12月2日)

患者が自分らしく生きるための支えになる

2021年11月に開業されたそうですね。

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はい。勤務医経験を経て、そろそろ独立しようかと開業場所を探していたところ、長田の味わい深い町並みに惹かれてこの地での診療を決意しました。近隣には神社や川があって、のんびりと散歩を楽しみたくなるような雰囲気なのが気に入っています。当院はいろいろな悩みを抱えている人、話を聞いてほしい人のためのクリニックなので、クリニック名は心に寄り添う、明るいイメージで「にじハート」と名づけました。かわいらしい名前だからか、今は若い女性の患者さんや10代の学生さんなどが多く来てくださっています。診療はうつ病、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症、パニック障害、全般性不安障害、認知症、アルコール依存症、大人の発達障害など幅広い症状に対応していますので、これからご高齢の方も含め、もっと幅広い世代の方にお越しいただけるようになるとうれしいですね。

開業前はどのような診療をされていたのですか?

三田市や佐賀、大阪などの病院で、入院患者さんを含めさまざまな症状の方を診療してきました。医療観察法病棟での勤務経験もあります。その後、アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症の方々を長く診療し、専門的な知識を身につけることができました。そうするうちに、自分らしい診療の形や、実現したいことが明確になってきまして。じっくりと時間をかけて一人ひとりの患者さんと向き合うために、このクリニックを開業した次第です。

先生がこちらで実現したい診療とは?

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一番は、その人らしさに寄り添うことです。患者さんと対等な立場で話し合い、言いたいことを何でも話してもらう。そして、最後は笑って終われるのが私の理想とする診療です。また、精神疾患に対してはまだ世の中の偏見が根強くあるので、それをなくすことも目標としています。精神科を受診するハードルを下げることができれば、病気を早期に発見して重症化を防ぐこともできます。そのために、院内は居心地のいい雰囲気づくりを心がけました。気軽に来てもらって、「この先生は話しやすいな」と思ってもらえるとうれしいです。診療の際には、患者さんの意思を何より尊重したいと考えています。例えば、見かけでは軽い症状の人でも、ご本人にとってはとてもしんどい場合もありますよね。その人の心の中がどれくらいしんどいかによって、診療にかけるべき時間は変わってくると考えています。外来はもちろん、往診も積極的に行っていくつもりです。

患者の話に学び、得たものをまた伝える

先生はなぜ精神科の医師に?

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もともと私は工学部に進学したのですが、将来の姿が思い描けず、悩んだり落ち込んだりした時期があったんですよ。その時、自分が何をしたいのかを突き詰めていった結果、興味が湧いたのは「心」に関することでした。自分のように悩んでいる人の支えになりたいと思いまして。それで精神科の医師になるために医学部に入り直したんです。研修医時代に勤務先として選んだのは、時間をかけて診療させてもらえるところ、教育に力を入れているところでした。そこで幅広い経験を積むことができたのは、自分にとって大きな糧となりました。

10年以上診療を続けてこられて、どんなことを感じますか?

相手を知るには、まず自分を知ることが一番大事だと痛感しました。まず自分を知って、相手から学び、自分が得たものをまた相手に伝える。この繰り返しによって、患者さんと一緒に成長してきたという実感があります。特に、依存症の方の体験談を伺うことは、私自身にとっても深い人生勉強になりました。波瀾万丈な人生を歩んでこられて、それでも依存症を治す努力をされているわけですから。もちろん、治療がうまくいく患者さんばかりではありませんが、いろいろな方のお話を聞いているとハッとさせられることが何度もあり、数多くの気づきをいただきました。昔は私はもっと冷めた淡白な人間だったと思うのですが(笑)、患者さんと関わることで自分自身も変わってきたように感じています。

先生はとても温かい雰囲気をお持ちですが、患者さんと接するときに心がけていることはありますか?

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特別なことは何もしていませんが、初めてお会いする人には立ってあいさつし、自己紹介をする、話が終わったら立って見送るという当たり前のことは礼儀として行っています。また、これまでの経験から、患者さんが納得できるように丁寧に説明することが大事だとあらためて思うようになりました。例えば薬を出すときには、「今回はこの症状を治すためにこういう薬を出しますよ」と、資料をお見せしながら説明しています。意外と思われるかもしれませんが、精神疾患のある患者さんの中には、今まで自分の病名すら知らずに通院していたという方も少なくないんですよ。ご自身の状態を正確に知っていただくことが第一歩だと思っています。スタッフも、何をおいても患者さんにきちんと対応してくれる人が集まってくれました。コミュニケーションを取る時間を少しでも多くするために、自動精算機なども取り入れて業務を効率化しています。

依存症の治療や往診に注力

今後力を入れたい治療は何ですか?

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勤務医時代の経験を生かして依存症の方の治療を推進していきたいですね。これまで自助グループの集まりに参加したりして、知識ではなく当事者の体験を知ることでこの病気を少しずつ理解してきました。依存症は残念ながら完治が難しい病気ですが、糖尿病のようにうまく病気と付き合いながら、どうしたら依存をやめ続けられるかを模索することが大事です。依存症の治療法として一般的なのは、自助グループ、抗酒薬、外来通院の3本柱です。しかし、どうして依存症になったのか、ストレスにどうしたら対処できるか、今何に困っているのかが把握できれば、この3つに頼らなくてもうまくやめられることもあるんですよ。依存症専門の医療機関では、多職種が連携してプログラムを実践していく治療法があるので、当院でもこれができるように多目的室をつくりました。

往診も計画されているそうですが?

例えば統合失調症になると、通院ができなくなって家に引きこもる人も少なくありません。そうすると警察沙汰でも起こさない限り、引きこもったままの状態が続いてしまうんです。どうすれば解決できるかを考えて、勤務医の頃から往診を試みるようになりました。実際に自宅へ伺ってみると、外来で診るときと全然様子が違う方もいらっしゃるんですよ。お部屋の状態も確認できるので、その人をもっとよく知ることにもつながります。外と家の中とでは症状がこんなにも違うのかと、驚いたこともたびたびありました。今後はご本人やご家族からの依頼があれば積極的に進めていきたいですね。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

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クリニックの規模をもっと大きくして、精神保健福祉士、心理士、看護師らいろいろな職種の方に集まってもらって患者さんへのサポートを充実させていきたいと考えています。できれば医師をもう1人増やして、時間に余裕を持って診療できるようにしたいですね。できるだけお待たせすることなく、じっくり患者さんと向き合うことが、質の良い治療を提供することにつながると考えています。地域に根ざした診療を行っていきたいと考えていますので、病気のことでも、仕事を休職する話など病気以外のことでも構いませんから、気軽に何でも話しに来てください。

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