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二森 浩行 院長の独自取材記事

にもり内科クリニック

(川崎市麻生区/柿生駅)

最終更新日:2024/05/24

二森浩行院長 にもり内科クリニック main

医師をめざした時から生まれ育った柿生の町に医療を通じて貢献するという熱い思いを抱き、2021年に「にもり内科クリニック」を開業した二森浩行院長。内科、発熱症状に特化した外来、訪問診療、上部消化管内視鏡検査を中心に、ワクチン接種や健康診断、禁煙治療など幅広い診療を行い、ファミリークリニックとして子どもから高齢者まで多くの患者が訪れている。開業して4年目に入り、かかりつけの患者からの紹介のみならず、地域の医療機関や保健所などからの紹介患者も増えているという。地元の人ならではの体験や悩みを共有できるのも自身の強みだと話す二森院長に、優しい日差しの入るカフェのような院内で、医療や地域への思い、理想とする地域医療連携について聞いた。

(取材日2024年3月7日/更新日2024年5月20日)

感染症対策を徹底し、誰もが安心して受診できる環境を

感染症対策を徹底した上で、発熱症状の診療に取り組まれているそうですね。

二森浩行院長 にもり内科クリニック1

当院は、開業したのがちょうど新型コロナウイルスが感染拡大していた時期だったこともあり、設計の段階で隔離室の設置や、感染者と非感染者とで動線を分けるなど、十分に発熱患者さんに対応できる造りになっています。非発熱患者さんが安心して来院できるように、車でお越しの発熱症状の患者さんは車内で抗原検査から陰性時の診察までを完結、徒歩や自転車でお越しの方は陰圧室で隔離対応し、予約外の方は敷地内の屋外で抗原検査および陰性時の診察を行っています。また、高性能フィルター搭載の換気システム、新しい予約システムを導入し、オンライン決済、ウェブ問診、保険証の画像確認など非接触化を推進することで、効率化と感染症対策を徹底しています。

発熱症状を専門に診る外来に積極的に取り組む背景にはどういったお気持ちがあるのでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の流行時、発熱患者さんが1日に何十人も集まり、院内が患者さんであふれているような状態だったとき、地域の保健所の所長さんから「地域の人に、困ったときは“にもり内科クリニック”を勧めても良いか」とご連絡をいただいたことがありました。その時、このクリニックは麻生区で頼りにされているんだということがわかり、ぜひお受けしますとお返事しました。今、新型コロナウイルス感染症は5類に移行し、発症者数も落ち着いていますが、発熱患者さんを受け入れられるクリニックの数が減ってしまったことで、受診難民が出ているような現状です。そこで、麻生区の「最後の砦」的な存在として、地域の発熱患者さんを受け入れられる体制を整え、お断りすることなく受け入れています。

胃の内視鏡検査にも注力されていますが、検査が苦手な人に対して何か工夫はされていますか?

二森浩行院長 にもり内科クリニック2

内視鏡検査は受けたことのない人にとっては苦痛のイメージしかないと思うのですが、二の足を踏むことで病気の発見が遅れてしまうこともあるため、より多くの人に検査を受けていただけるように心がけています。当院では少しでも楽に検査を受けていただけるように経鼻内視鏡を使用していますが、それ以上に大切なのが和やかなトークとリラックスできる雰囲気づくりで前段階の緊張を緩和することです。この先生なら大丈夫と思ってもらえるように、いろんな話をして不安を解消し、丁寧に説明をすることを重視しています。それでも抵抗のある人には鎮静剤を使用して検査を行います。初めて検査を受けた方にも「こんなに楽だとは思わなかった」と言っていただけるよう、苦痛のない検査に努めています。

最期の瞬間まで寄り添う心震える医療をめざす

訪問診療も重点的に取り組まれていますね。

二森浩行院長 にもり内科クリニック3

開業する前に勤務していた新百合ヶ丘総合病院では、内視鏡検査や救急疾患の治療とともに、緩和ケア病棟で終末期の苦痛がある人をどうケアするかを学びました。何が起こるかわからない訪問診療ではその経験が非常に役に立っています。例えば、急な体調の悪化で手術や治療が必要なときには適切な医療機関を選び紹介することができます。また、老老介護で介護力が不足しているときは、緩和ケア病棟での療養のメリットをお伝えし、在宅療養では主治医を中心に訪問看護や訪問介護が手厚くできるというように、複数の情報と選択肢を提示できます。僕は医学部に入ると決めた時から、外来から訪問診療、最期の看取りまで、すべて担うスタイルの医療を行うと決めていました。そのために必要なことを逆算し進めたことで凝縮した医療を学べたと思いますし、その経験を生かした訪問診療を実践しています。

先生が訪問診療で大切にされていることは何でしょうか。

僕自身も父親が病気の時に経験しているのでよくわかるのですが、ご本人は意外と病気を受け入れていても、ご家族は何かしてあげたいという気持ちが大きいものです。ですから、どちらかというとご家族に重きを置き、ご家族や患者さんの周囲にいる人と同じ目線になることを大切にしています。自分の父親だったらこうしたいというように自分のことに置き換えて話をしているとつい気持ちが入ってしまい、特に患者さんが亡くなったときは家族やスタッフと一緒に泣いてしまうこともあります。そういう心が震える医療というのは家族と一緒に深く入り込まないと届かない域だと思います。病気を治すことよりも、寄り添ってもらいたい、理解してくれた先生に最期を看取ってほしいという思いに応えるため、一人ひとりの患者さんと深く関わり、最期の瞬間まで寄り添うことが訪問診療を含めた医療のゴールだと考えています。

開業して3年、外来の様子はいかがでしょうか?

二森浩行院長 にもり内科クリニック4

この1年で患者数が増え、子どもの患者さんも多くなってきました。近隣にある小児科が混み合っているときは当院にご紹介いただくなど速やかに連携を取っています。また、小児科に通院していた子が成長して内科を受診する年齢になったときには安心して引き継いでいただけるように、地域のクリニック間での交流を大切に、医療情報を交換しています。また、当院では待ち時間に退屈しないように絵本やクリニックのロゴマークの塗り絵を用意していて、塗り絵は今後展覧会の開催を予定しています。「ファミリークリニック」として、お子さんもいつでも受診できるよう準備していますので、気軽に来院してください。

地元への感謝を忘れず、地域の医療機関とともに邁進

地域のクリニックとの医療連携に熱心に取り組まれていますが、病院とはどのように連携を取っていますか?

二森浩行院長 にもり内科クリニック5

僕は新百合ヶ丘総合病院の出身ですが、在籍中は開業後の連携体制も視野に入れて勤務し、院長にも目的を話して応援してもらっていました。今も判断に迷う病気や専門外のものに関しては、新百合ヶ丘総合病院の先生を指定して患者さんを紹介できますし、訪問診療の患者さんが入院の必要があるときは直接緩和ケア病棟と入院調整をするようにしています。また病院側で逆紹介が必要な場合もすぐに当院を思い浮かべてくれているようです。相互に患者さんを受け入れることで、地域全体で総合病院のような役割を果たし、顔の見える地域医療連携を完成させていきたいです。

患者対応の向上のために取り組んでいることはありますか?

開業当初から毎日必ず朝礼の時にスタッフ向けの勉強会を行い、週に1度はスタッフの発表の場を設けています。それによってスタッフの知識が増え、発熱の療養期間や、新型コロナウイルスは今どの株が流行しているかといった医療情報を看護師だけではなく事務スタッフにも周知しています。事務長が受けた接遇対策の講習内容を僕も含めて皆で共有することもありますね。学びの場を活用し、日々情報を更新していくことで、患者さんに安心感を与えられればと思います。

最後に今後の展望と地域の方へのメッセージをお願いします。

二森浩行院長 にもり内科クリニック6

4月より午前の外来枠に非常勤の先生が加わり、診療体制もボリュームアップしました。また、これまで以上に麻生区の医療の質を高めていくため、現在、分院開設の計画を進めています。開業して3年目になりますが、生まれ育った地域で医師として働き、家族や親戚、友人、そして地域の皆さんに応援していただける、スタッフもここで働くことを誇りに思ってくれている、そんなクリニックであることをうれしく思います。医師をめざした時から、地元の柿生で開業し一生を地域医療に捧げる覚悟で歩み続けてきました。医療に邁進する日々は本当に多忙ですが、家族への感謝と地域への恩返しの気持ちを忘れずに、この町が温かい町になるよう、微力ながら医療を通じて貢献してまいります。

自由診療費用の目安

自由診療とは

胃の内視鏡検査/1万5000円、胃の内視鏡検査(鎮静剤を使用した場合)/2万円、ウイルス抗原検査/5500円、新型コロナウイルスPCR検査/1万2000円、健康診断スタンダード(雇入時健診等)/1万900円、血中抗ピロリ抗体価検査/3000円、血液型検査/2000円、肺炎球菌ワクチン/8000円、帯状疱疹ワクチン/1回2万2000円(2回接種)、RSウイルスワクチン/2万7500円

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