二森 浩行 院長の独自取材記事
にもり内科クリニック
(川崎市麻生区/柿生駅)
最終更新日:2026/05/15
柿生駅から徒歩3分の線路沿いに「にもり内科クリニック」はある。二森浩行院長が「生まれ育った柿生の町や麻生区の医療に貢献したい」という思いで開業した同院。かかりつけ医として小さな子どもから高齢者までの内科一般の診療に加え、胃の内視鏡検査や発熱の外来、訪問診療にも対応することで、医療の面から地域の人々の一生をサポートすることをめざしている。「地元ならではの体験や悩みを共有できるのも強みですね」と話す二森院長に、診療の取り組みや地域への思いなどについて聞いた。
(取材日2026年2月19日)
予防から治療、訪問診療、看取りまでを同じ医師が対応
最初にクリニックを紹介していただけますか?

生まれ育った麻生区柿生の皆さんのお役に立ちたいと思い2021年に開業したクリニックで、かかりつけ医として子どもから高齢者まで幅広く診ています。病気の予防や健康診断、検査などによる早期発見、病気になったときの内科的な治療を経て、壮年期の健康管理、老年期になって通院ができなくなったときの訪問診療、最期のお看取りまでを当院で支える。それらのすべてを同じ医師やクリニックで診ていくことが、患者さんの安心感につながるのではないかと考えています。私は、これまで新百合ヶ丘総合病院で消化器内科や救急医療、緩和ケアなどに従事し、在宅医療専門のクリニックでも勤務してきました。また、女性の天神和美先生も診療を担当している他、2025年1月には分院の「くろかわ内科クリニック」を黒川駅近くに開業し、連携して診療しています。これまで以上に医療の質を追求し、麻生区に貢献したいと思っています。
外来診療について教えてください。
外来では、私と天神先生、または非常勤医師による二診体制で、内科一般を幅広く診療しています。天神先生は私と同じように地域医療に熱心です。専門は消化器外科ですので、女性の患者さんで肛門や直腸の診察などの場合も受診しやすいと思いますし、婦人科領域にも対応できます。私とは異なる観点で診察できる点もメリットでしょう。胃の内視鏡検査も私と2人が行えるので、検査が以前より前倒しで組めるようになりました。また、分院である「くろかわ内科クリニック」の大内崇弘先生は脳神経内科が専門で、当院で週1回、外来診療を行っています。頭痛やめまいなどの症状や認知症のご家族からの相談などは、「この日はその分野に詳しい先生が来るから」と受診を勧められるので、診療の幅が広がりました。子どもの患者さんも多いです。目の前が通学路なので、登下校中の子どもたちが「ニモ先生!」と声をかけてくれるのもうれしいですね。
胃の内視鏡検査では、どのような工夫をしていますか?

痛い、つらいのイメージで内視鏡検査を敬遠されると、病気の発見が遅れることがあるため、より多くの方に検査を受けてもらえるよう、できるだけ苦痛の少ない検査を心がけています。検査中の苦痛の軽減が図れる経鼻内視鏡を使用していますが、それ以上に和やかなトークとリラックスできる雰囲気づくりで緊張を緩和すること。検査内容や手順の丁寧な説明はもちろん、この先生なら大丈夫と思ってもらえるよう、いろいろな話をして不安の解消に努めています。それでも抵抗のある方には鎮静剤も使用できます。初めて検査を受けた方に「こんなに楽だとは思わなかった」と言っていただけたらうれしいですね。
最期の瞬間まで患者に寄り添った医療をめざす
訪問診療にも熱心に取り組んでいると伺いました。

患者さんの自宅に加え、高齢者施設への訪問診療も行っています。新百合ヶ丘総合病院で救急医療や緩和ケアに携わった経験は、さまざまな病気や症状への対応が必要な訪問診療でとても役立っています。また、私も父が病気をした時に感じたのですが、患者さん本人は現状を受け入れていても、家族は何かしてあげたいという気持ちが大きいものです。ですから、患者さん本人はもちろん、家族など周囲にいる方と同じ視点になるよう心がけています。ただ、そのようにしていると気持ちが入ってしまい、もし患者さんが亡くなったら家族やスタッフと一緒に泣いてしまうのではと思うこともあります。日頃から寄り添い、理解してくれた医師に最期を看取ってほしいという思いに応えるため、一人ひとりの患者さんと深く関わり、最期の瞬間まで寄り添うことが、訪問診療を含めた医療のゴールだと考えています。
発熱の外来にも対応しているのですね。
新型コロナウイルス感染症の流行時、地域の保健所から発熱の外来の開設を打診され、期待に応えようと開設したのが始まりです。新型コロナウイルス感染症は5類に移行したものの、以前より発熱の外来を行っているクリニックが減ったことで、時期によっては多くの患者さんが来られています。患者さんの待機場所や隔離の問題などがあるため、予約の枠がいっぱいになって診てもらえなかったという方もいらっしゃると思いますが、当院では待っていただけるのなら、必ず診ることにしています。発熱している患者さんは隔離した陰圧室で対応します。車で来られた患者さんはクリニック前の駐車場で待機してもらい、車内で抗原検査や診察まで行うなど、発熱していない患者さんとは動線を分けています。院内には、性能にこだわって選んだ換気システムを設置するなど、患者さんの不安が少しでも減らせるよう体制を整えています。
地域医療連携にも力を入れているそうですね。

勤務していた新百合ヶ丘総合病院との関係は深く、患者さんの状況に応じ適切な診療科へスムーズなご紹介ができます。また、当院に加えて地域の他の開業医療機関との連携を強化し、総合病院のような診療体制をつくることもめざしています。実は、柿生駅の周辺には6〜7軒の内科クリニックがあります。幸いなことに呼吸器内科、循環器内科、神経内科、膠原病内科、消化器内科など、専門がすべて異なります。ですから、必要に応じてそれぞれの先生を紹介したり、紹介してもらえたりするような街づくりをしたいというのが、私の一つの目標になっています。地域医師会活動としては、2023年から麻生区の介護認定審査委員を拝命しており、2025年から同区の災害医療コーディネーターも兼務しております。
地域医療への貢献をめざし、院外活動にも注力する
他に力を入れていることはありますか?

最近、力を入れて取り組んでいるのが、講演会をはじめとする外部への情報発信です。川崎市の薬剤師会やケアマネジャー、地域の高齢者など、それぞれに向けた内容の講演会を開催しています。加えて、テレビドラマの医療監修も行っています。さらには医療監修だけでなく、医師役として出演も果たしています。なぜそのような活動に力を入れるのかというと、自身の発信力を強化したいからです。実際に、医師会や周囲の先生たちからの認知度もここ2〜3年で上がってきていると感じますし、講演会の依頼が来たり、こちらから提案してもスムーズに話が進むことも増えてきました。
その先の目標は、どのようなところにあるのですか?
地域医療の根幹は、自分のクリニックだけが良ければいいというところで終わってはいけないと考えています。先ほど話した近隣の開業クリニックとの連携の話もそうですが、地域医療を支え、さらに進化させていくためのリーダーシップを取りたいと思っています。そのためには、外部からの認知度の向上が必要ですし、麻生区の外の人たちにも「あの先生がいる麻生区はこんな街なんだ」と興味を持ってもらうことが大切です。実際に、2023年に厚生労働省が公表した「令和2年市区町村別生命表」によると、2020年の調査時点において、麻生区は男女ともに平均寿命が全国で最長でした。私をきっかけに多くの人にそうした事実を知ってもらい、麻生区や柿生に興味を持ってもらえれば、それが一番うれしいかなと思っています。
最後に今後の展望と地域の方へのメッセージをお願いします。

当院はスタッフが意欲的な点も強みの一つで、朝礼で勉強会を行い、週1回はスタッフが発表する場を設けるなど研鑽に励んでいます。そして、私は地元で開業し一生を地域医療に捧げる覚悟で医師をめざしました。今、生まれ育った地域で医師として働け、スタッフもここで働くことを誇りに感じてくれていることをうれしく思っています。また、テレビドラマの医療監修を務めた時は患者さんにもとても喜んでいただけて、地元の温かさを一層感じました。今後も家族への感謝と地域への恩返しの気持ちを忘れず、微力ながら医療を通じて貢献してまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃の内視鏡検査/1万5000円、鎮静剤を使用した場合:2万円

