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井上 智弘 院長の独自取材記事

いのうえ小児科

(西宮市/夙川駅)

最終更新日:2022/05/09

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2021年9月、夙川の住宅地に緑豊かなショッピングセンターがオープン。その中に新規開業した「いのうえ小児科」は、一般的な小児科疾患や感染症、予防接種から発育に関する相談まで、幅広い診療を手がける地域かかりつけの小児科クリニックだ。「待合室の窓から施設の中庭を眺めていると、この近辺に大勢の子どもたちが住んでいることがよくわかりますよ」と目を細めるのは、院長を務める井上智弘先生。大学病院や関連病院で小児の循環器内科を専門とし、NICU(新生児集中治療室)での新生児の治療などを通じて数多くの子どもたちやその家族を見守ってきた豊富な経験を持つ。そんな井上院長に、心機一転して開いたクリニックのコンセプトや診療でのポイント、患者である子どもたちに対する思いなどをじっくり聞いてみた。

(取材日2021年11月8日)

子どもの健康面での不安を解消し、安心できる生活を

まずは開業直後の感想をお聞かせください。

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このショッピングセンターは幹線道路から一歩入った住宅地の中にあり、近隣の人々にはうってつけの憩いの場所ですね。私の自宅も程近い場所にあり、いいタイミングで地元で開業できたのはラッキーなことです。また付近に小児科が少なく、そういう意味でも、ここに小児科を開業できて良かったと思います。診療内容は、風邪で熱を出した、おなかを壊したといった一般的な症状から、小児皮膚科や小児循環器、アレルギーや感染症、乳幼児健診や予防接種まで幅広く、ちょっと元気がない、様子がおかしいといった相談にも対応します。現在は近所の子どもたちがほとんどですが、朝8時から診療していますし、施設の駐車場が利用できますから、少し遠くにお住まいでも気軽にご利用いただければと思います。

どのようなクリニックをめざしましたか?

子育てをしていると、お子さんの健康面でいろいろと不安が出てくると思います。その不安を少しでも解消し、ここへ来れば安心できるような存在になることが目標です。スタッフは看護師が5人、事務員が4人で、多くは子育て経験があり、仕事もしっかりとこなしてくれるので、いいスタートが切れたと感謝しています。診療機器に関しても超音波診断装置(エコー)やエックス線撮影装置、心電図装置など、新型のモデルをそろえています。また、院内はシンプルで明るいデザインにこだわり、カウンターや壁の角にアールをつけて圧迫感のない動線にしました。入り口の脇には隔離室を2室設け、さらに診察室前にも個室を2部屋設けていますので、熱があったり点滴などを行う場合はお母さんと一緒にそちらで待ってもらいます。院内の設計をしたのがちょうど新型コロナウイルス感染症拡大の真っ最中でしたから、感染症対策は医院設計上の大前提となっています。

診療で気をつけていることがあれば教えてください。

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診療では子どもと適度な距離感を保つことがポイントですね。「どれどれ」と顔を近づけたり、聴診器を当てたりする場合でも、子どもが泣きだしてしまわないギリギリの距離で診察するようにしています。また、ご両親への説明ではなるべく専門用語は避け、わかりやすい説明で安心していただけるよう心がけています。安心というのは単に「大丈夫ですよ」と励まされることではなく、留意すべき点を含めて現状を十分に理解することで初めて得られるものではないでしょうか。ですから親御さんがどの部分に不安を抱いているのかをしっかりとくみ取り、それを解消できるような説明をしてあげることが大切ですね。

子どもの幸福な人生には、親子の絆と愛情が何より大切

院長が医師や小児科をめざした理由は?

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私の父は内科の医師で、地域の患者さんを相手になんでも診る、いわばかかりつけ的な開業医でした。医院は自宅を兼ねていましたから、私も父の仕事を毎日見て育っており、医学部に入って医師になることに関しては少しの迷いもなかったですね。小児科を選んだのは単純に、子どもが相手だと飽きないと思ったからです。子どもというのは診ているうちにどんどん成長していきますから、常に新しい展開があって面白いですよ。ただ、私は大学病院にいながら研究よりも臨床に力を入れすぎるきらいがあり、当時の教授から「あの論文はどうなった?」と、しょっちゅう催促されて頭をかいていたものです。私が診療好きなのは、その頃から今もずっと変わっていません。

開業前の病院勤務では、どのような診療が中心でしたか?

私は近畿大学医学部を卒業し、その関連病院などに勤務しながら小児の先天性心疾患に長く関わってきました。また、近畿大学にNICU(新生児集中治療室)が新設されると、そこでの治療や退院後のフォローを行っていました。保育器をのぞいていても赤ちゃんが何かを訴えることはありませんから、呼吸や手足の動作などをつぶさに観察して病気を見つけてあげねばなりません。その中に出生体重500gの女の子がいて、心臓に病気があって何回も手術を受けるなど、本人もご両親もさぞ苦難の日々だったことでしょう。最近、その子が中学生になり、部活で元気にバドミントンをやっていると知りました。本当に手のひらに乗るような体重で生まれ、心臓手術を何度も繰り返した子が、普通に学校生活を送っている。そう聞いて、私は本当に胸が熱くなりました。ほかにも多くの子どもたちの将来への橋渡しをしたと思うと、あらためて小児科医の仕事の意義を感じます。

新生児から病気と闘わねばならないのは大変なことですね。

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重症なものは新生児期に手術を受けねばならないケースもありますが、病気を乗り越えて、その子がお父さん、お母さんにわが子として受け入れられその子と一緒に家族が出来上がっていく。そういう過程を私たち医師は垣間見ることがあります。例えばダウン症のお子さんの場合、先天性の心疾患を持つ子が半数近くいますが、私の経験の中ではそうした病気がある子のほうが合併症の少ない子よりも比較的に早期にご両親に受け入れられていた印象があります。重大な病気に直面したり、あるいはお子さんのドラマチックな成長にふれたりすると、それをきっかけに親としての強い自覚や愛情が芽生えることがあるんですね。そうやって、その子がどうにか健康に成長していくさま、ご家族との関係ができて愛情を注がれていくさまを見ていると、この仕事をしていて良かったとつくづく思いますね。

注文や要望に応じた診療を末永く提供していきたい

ご多忙の中、プライベートではいかがお過ごしですか?

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現在、妻と3人の子どもたちとの5人で暮らしています。上の2人は息子で小学生、末娘は幼稚園児で、いつもけんかばかりしていますが、それはそれでかわいい時期でもあります。クリニックの開業もあって、しばらくは子どもたちに構ってあげられませんでしたが、せめて夕食は家族と一緒に取りたいと思い、診療が終わったら院内を一通り掃除して、なるべく早く家に帰るようにしています。子どもたちと遊べるのも今のうちでしょう。中学生、高校生になると、逆に構ってもらえませんから(笑)。でも、3人いると将来の楽しみもあって、幸せなことですね。

開業から間もないですが、今後に向けた展望などがあれば教えてください。

今後、忙しくなってきたらドクターを増やし、二診体制にするかもしれません。あと、先進のエコー機器を準備したので、小児の循環器に特化した診療枠を設けてより専門的な医療サービスができればとも考えています。開業医の役割は病院とは違います。勤務医時代はいろんなクリニックさんから病院に紹介されてくる子を受け入れていましたがこれからは病院に送るべき子を見逃さないようにする、つまり受け手と送り手の関係が逆になるわけです。ここに来る全員が重症というわけではありませんが、それをきちんと見極めていくことが私たち開業医の大きな責務となりますから、重大な病気を見落とさないことに関しては特に気を使っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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とにかく心配なことがあれば、相談だけでも気軽にお越しください。不安を解消し、安心を得るための一つのツールとして、当院を利用していただければと思います。医療者とはいえ、皆さんの注文に応じたものを提供するのが私たちの仕事です。決して上から目線ではなく、専門家としての知識を生かした上で、できる限りのご要望にお応えしていくつもりでいます。皆さんと長くお付き合いする上で、そうしたスタンスをこれからも大切にしていきたいですね。せっかくこのような素晴らしい環境で開業できましたから、地元の皆さんと末永くお付き合いしていきたいと思います。

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