不妊治療ってどう始めるの?
治療・検査や保険制度の基礎知識
城下町Lクリニック
(松江市/松江駅)
最終更新日:2025/03/28


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厚生労働省の調査によると、2021年時点で「不妊を心配したことがある夫婦」は約4割、「実際に不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦」は約2割となっている。2022年4月の不妊治療の保険適用拡大で費用面でのハードルも下がったが、初めの一歩を踏み出す際は不安を抱える人も多いことだろう。そんなモヤモヤを「悩んだら気軽に相談してください」と優しく受け入れるのは、婦人科を担当する障子章大(しょうじ・あきひろ)先生だ。障子先生が勤務している「城下町Lクリニック」では、医師2人と女性スタッフとが連携し、乳腺や肛門のことから、婦人科領域まで、女性のデリケートな悩みに寄り添っている。今回は、長年総合病院で不妊治療に取り組んできた障子先生に、治療を検討している人が知っておきたい基礎知識について話を聞いた。
(取材日2025年2月28日)
目次
悩んだ時が始め時。不妊治療のタイミングや流れ、支援制度を知り、気になることがあれば気軽に相談を
- Q不妊治療はどのタイミングで受けるのがいいのでしょう?
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A
▲乳腺や痔、婦人科領域の症状などセンシティブな悩みに応える
いつでも構いません。定義としては「1年間性交を継続的に行っているにもかかわらず妊娠が成立しない場合」を不妊症といいますが、1年を待たずとも不安に感じることがあれば気軽にクリニックにご相談ください。不妊治療というと敷居が高く感じられますが、排卵や受精の仕組みを理解するだけでも妊娠率向上に役立ちます。妊娠を急いでいる方は3~4ヵ月、急いでいない方も半年から1年で妊娠しない場合、受診をお勧めします。特に35歳を過ぎて妊娠を希望される方は早めの受診を考えてもいいでしょう。また、子宮内膜症やクラミジア感染症などの病歴がある方は妊娠しづらい場合もあるので、早めにご相談いただきたいです。
- Q不妊治療の種類について教えてください。
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A
▲2025年1月から産婦人科を専門とする障子章大先生が加わった
タイミング法、人工授精、体外受精の3つに大別されます。タイミング法は内診でのエコー検査で卵胞の大きさを確認し、推測された排卵のタイミングに合わせて性交渉を行っていただくものです。自然妊娠と変わりありませんので、不妊治療に抵抗のある方も始めやすいでしょう。人工授精も排卵のタイミングの推測までは同じで、パートナーから採精した精液を子宮内に注入する点が異なります。ご自宅で専用カップに採精していただくので、パートナーの方の受診は不要です。体外受精は、体外で卵子と精子を受精させて子宮に戻す治療です。当院では対応していませんが、私自身、病院勤務時代に数多く手がけてきたので、治療についてご説明も可能ですよ。
- Qこちらではどのように検査や治療を進められていますか?
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A
▲診察室のほかに、カウンセリングルームも完備している
不妊治療は、基本的に検査と治療を同時に進めていきます。検査では、採血によるホルモン検査、エコーでの排卵の検査のほか、今後は卵管造影検査まで行えるように準備をしています。治療に関しては、排卵が予測される数日前に受診の予約を入れ、タイミング法から始めていきます。排卵障害のある方にはお薬で排卵を誘発するなど、一人ひとりに合わせた治療プランを考えます。当院では6周期を目安に次の治療へのステップアップを検討しますが、年齢や生活スタイルなど患者さんの状況や要望に合わせて治療計画を立案します。また、ブライダルチェックも実施していて、性感染症や、卵巣にどのくらい卵子が残っているかなどの検査も可能です。
- Q近年、不妊治療への支援や環境整備が進んでいると聞きました。
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A
▲医師以外は、受付や看護師、臨床検査技師まで女性スタッフが対応
2022年4月から基本的な不妊治療が保険適用になり、タイミング法と人工授精は回数関係なく保険が適用されるようになりました。体外受精に関しては保険適用の回数に制限があって少し複雑ですので、よく当院でもご説明をさせていただいていますね。また、働いている方の場合は、受診のためのお休みや時短勤務が取れるなど、企業側の不妊治療に対する配慮も進んできている印象ですね。一方で見落としがちなのが「自治体からの補助」です。例えば松江市ではタイミング法、人工授精などの一般不妊治療が、1年目と2年目とそれぞれ助成対象となっています。保険診療と併用できるので、ぜひお住まいの自治体のホームページなどでご確認ください。
- Qこちらではプライバシーへの配慮にも取り込まれていますね。
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A
▲キッズスペース完備で、子ども連れでも受診しやすい
当院は婦人科全般から一般内科、乳腺や肛門まで幅広い領域を扱っているので、「周囲の目が気になって受診しづらい」という方も、何で受診しているか悟られにくいのはメリットではないでしょうか。さまざまな悩みをお持ちの患者さんの心理面にも気を配り、プライバシーへの配慮はもちろん、キッズスペースと待合室を分けるなど、皆さんがリラックスしてお過ごしいただけるような空間づくりも大切にしています。婦人科としては医師に言いにくかったり、女性同士でないと相談しにくかったりする悩みもあると思うので、個室で女性看護師とお話しする時間を設けるなど、工夫していきたいです。まずはご相談から気軽にお越しいただけたらうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはブライダルチェック/採血検査 1800円〜 ※検査項目によって費用は異なります。