小山 あゆみ 副院長の独自取材記事
かわつ田中クリニック
(松江市/松江駅)
最終更新日:2025/12/11
「かわつ田中クリニック」は、松江市西川津町に2021年に開業。開業当初は内科の診療に注力していたが、2023年に眼科と歯科を新設した。眼科を率いるのは、小山あゆみ副院長。開業するなら、地元の地域医療に貢献したいと考えて、同クリニックに入職。内科、眼科、歯科が緊密に連携して、糖尿病合併症を含めたトータルな治療にあたるなど、3つの診療領域をカバーできる強みを遺憾なく発揮している。また、眼科では当日のウェブ診療予約も受けつけており、「朝起きたら目が腫れていた」といった突発的な症状にもフレキシブルに対応している。「少しでも気になることがあれば気軽に相談してほしい」と優しく語る小山副院長に、これまでのキャリアや診療で大切にしている思いなどについて語ってもらった。
(取材日2025年10月27日)
大学病院を中心に、眼科診療における豊富な経験を蓄積
医師になられたきっかけから、お話しいただけますか。

将来の職業を考える年頃になって、ざっくりですが、人の役に立つ仕事がしたいと思うようになりました。ちょうどその頃、医療ドラマがはやっていて、憧れもありましたね。具体的に医師になろうと決めたのは、親族の一人が病気になったことがきっかけです。その後、鳥取大学医学部に進学し、卒業後の臨床研修を経て、最終的に眼科に進むことを決断しました。眼科の魅力は検査から診断、治療まで、自分一人で完結できる部分が大きいところ。手術にも携わることができるので、細かい手仕事が得意な私に合っていると思いました。また患者さんの年齢層も幅広く、赤ちゃんからご高齢の方までいろいろな方に関われるところも魅力に感じました。
大学病院では角膜感染症を専門に研究されたと聞きました。
はい。鳥取大学医学部附属病院の視覚病態学に入局し、数年後に大学院へ進学して、角膜感染症におけるAI(人工知能)の活用に関する研究で学位を取得しました。角膜感染症は、細菌やウイルス、真菌(カビ)などの病原体が角膜に感染し、炎症を起こす病気です。AIを活用して角膜感染症の病原体を画像から診断するための研究に取り組んだのですが、そのとき、角膜感染症の画像をものすごくたくさん見ました。そこで身につけた感染症を見分ける力は、今でも診療に生かせていると思います。その他、鳥取県や島根県内の病院でもさまざまな目の疾患を診療し、経験を重ねてきました。
感染症の他に、特に力を注いだ専門的な分野はありますか。

勤務医時代に、ぶどう膜炎専門の外来を担当しており、診療も数多く体験しました。ぶどう膜炎は、目の奥にある網膜のもう一つ外側にある膜が炎症を起こす病気です。全身疾患が原因になることも多く、クリニックでできる治療は限られる場合もあります。大学病院、クリニック相方の立場を経験したからこそ、クリニックでできる治療と大きな病院へ紹介すべきタイミングを見極め診療できることは、強みだと思っています。
内科、歯科と連携した診療にも対応
こちらのクリニックに入職したのはどういった経緯からですか。

当院の田中賢一郎院長は、私の兄にあたります。最初、兄が松江市西川津町に開業するという話を聞いて、「私の診察室もつくってほしい」とお願いしたのが始まりです。西川津町は生まれ育った実家も近く、働くなら今までお世話になった地域に貢献したいと考えました。実際、ここで診療を始めたら、保育園時代にお世話になった方や、同級生が来てくれて、とてもうれしく思っています。それに、兄は糖尿病や内分泌内科を専門にしているので、糖尿病の合併症の治療で連携できると考えたのも大きな理由です。
糖尿病の合併症治療について、もう少し詳しく教えていただけますか。
糖尿病のある人は目に障害が起こりやすく、糖尿病網膜症になることが多くあります。糖尿病網膜症は、目の奥にある網膜という映像を感じ取る膜に起こる疾患ですが、初期はほとんど症状がないので、眼科で定期的な検査を受けていただくことが大切です。すでに糖尿病網膜症を患っている方には、病気の進行を抑えることを目的にしたレーザー治療などを行います。さらに、糖尿病は歯科との関わりも強く、血糖値が上がると歯周病が悪化しやすく、その逆もあります。当クリニックは、内科、眼科、歯科が連携して、糖尿病やその合併症の診療に対応できるので、そこが強みだと思います。糖尿病の患者さんは内科を受診するタイミングに合わせて、眼科や歯科の受診を希望される方が多いですね。
3つの診療科がそろっているので、患者さんにもメリットが大きいですね。

そう思います。当クリニックのコンセプトは、眼科・歯科・内科が連携し、体全体の健康づくりをサポートすること。「見えること、食べること、元気に過ごすこと」をトータルに応援していくことに力を注いでいます。糖尿病の患者さんはもちろん、それ以外の方でも、内科の疾患に加えて、目や歯で困ったことがあれば、一日に複数の診療科を受診していただけます。同じクリニック内なので、内科での採血の待ち時間に眼科を受診していただくなど、効率良く受診することもできます。違うクリニックに別々に通うよりも、患者さんのご負担も少ないと思います。
どんな心配事でも気軽に相談をしてほしい
眼科では、どんな患者さんが多く来院されますか。

この地域は新しい住宅が多いので、3歳児健診後の精密検査も含めて、小さなお子さんや若い患者さんが多く来られますね。結膜炎やものもらい、ドライアイといった日常的な悩みから、眼鏡やコンタクトレンズ処方まで、眼科全般の診療に対応しています。近視の方で近視進行抑制治療を希望される場合は、適切な医療機関を紹介しています。その一方で、ご高齢の方も多く、白内障や緑内障、加齢黄斑変性症などの診療にも力を入れています。近視の強い方やコンタクトレンズの装用を続けている方は目の病気が起こりやすくなったり、家族に緑内障の人がいる場合は緑内障のリスクが高くなります。そういう方は定期的に眼科検査を受けることをお勧めしています。そうでない方も40歳以上になったら一度、眼底検査を受けるといいと思います。
診療で大切にしているのはどんなことですか。
その患者さんにとって何が大事なのか、ということを尊重しています。例えば、「手術までは受けたくない」という方がいれば、こちらの意見を押しつけたりせず、他の選択肢の中でその患者さんに最善な治療について話し合うようにしています。「テレビドラマが好きだけど目が疲れやすい」という方には、目のマッサージ方法や目の休ませ方をお教えすることもあります。小さなお子さんの場合も、無理に診療するのではなく、お子さんに合わせたペースを大切にしています。私自身、子どもを育てているので、お母さんの気持ちもわかりますし、小さなお子さんを相手にする時は「痛いことはしないよ」といった約束をしっかり守ることや「今日はこの検査だけは頑張ろう」とやる気を出させることも大事にしています。
最後に、地域の方へのメッセージと今後の展望をお願いします。

地域の皆さんには、どんなことでも気軽に相談しに来てほしいですね。患者さんの中には「こんなことで受診に来てごめんなさいね」と言われる方もいらっしゃいますが、どんな些細なことでも大丈夫なので、少しでも不安があれば相談に来てほしいと思います。幸い、当クリニックはバイパスに近いので遠方からもアクセスしやすく、駐車場が広く車を止めやすいところもご好評いただいています。眼科を開設して3年目ですが、最初から通ってくださっている方も多く、あまり話せなかったお子さんがよく喋るようになるなど、お子さんの成長を実感できることもうれしく感じています。これからも患者さん一人ひとりとできるだけ長く、一生付き合えるようなクリニックになっていけたらうれしいですね。患者さんの人生に関わると言ったらちょっと大げさかもしれませんが、それぞれの生活背景まで聞きながら、しっかり寄り添って診療していきたいと思います。

