丸山 傑士 院長の独自取材記事
まるやま歯科医院
(門真市/大和田駅)
最終更新日:2022/07/28
京阪本線・大和田駅から線路沿いを西へ徒歩2分。2021年、門真市内に開業した「まるやま歯科医院」は、歯科治療を苦手とする患者の痛みや不安を取り除き、健康な口内環境と全身の健康をめざす歯科クリニックだ。院長を務める丸山傑士(まるやま・まさし)先生は大学病院の麻酔科に所属した経歴を持ち、自らの手で静脈内鎮静法を行うなど、豊富な技量と経験を生かした歯科診療が大きな特徴。我慢できない痛みを抱えた患者、歯科治療恐怖症で尻込みをしている患者などの対応も得意としている。そんな丸山院長に、歯科治療での心がけや診療コンセプト、それらが培われた理由などをじっくり語ってもらった。
(取材日2022年3月7日)
患者の痛みや不安に寄り添った親身な歯科治療を提供
まずは開業までの経緯を教えてください。
私は大阪大学歯学部の出身です。大阪大学歯学部附属病院に入職後、歯科の研鑽に加えて、興味を持った麻酔について専門的に学び、歯科診療を週5回、歯科麻酔の診療を週2回というハードな日々を送っていました。麻酔科の教授から学外での病院勤務も勧められましたが、そこまでいくと完全に麻酔が専門になってしまうと考え、悩んだ末に大学を辞め、歯科勤務を経て2021年6月に自分の歯科医院を開業しました。診療は一般歯科や小児歯科はもちろん、根管治療や口腔外科からインプラント治療、入れ歯治療まで幅広く対応しています。スタッフは歯科衛生士3人、受付・助手2人という体制で、歯科用CTや拡大鏡など、診療に欠かせない設備は最初からそろえました。歯科用チェアは5台ありますが、それでも足りないのでもう少し増やそうかと検討しているところです。
どのような診療を心がけていますか?
私自身が中学生時代に歯を悪くして、痛みで夜も眠れないという経験をしたことがあります。それを地元の先生に治療してもらったことが、私が歯科医師になったきっかけです。痛みのある人の気持ちはよくわかりますから、診療時間の終了間際でも断らず、極力痛みを取り除いて帰してあげたいと思いますね。患者さんの「痛み」を取り除くことは、私にとって大きな喜びです。高額な自由診療のオーダーをいただくよりずっとうれしいですね。保険診療でもいい治療を行い、それで患者さんに喜んでもらえれば何よりと考えています。
こちらでは静脈内鎮静法を積極的に行っていますね。
痛みの話の延長ですが、歯科治療は痛いものと思い込み、その恐怖から歯の痛みをずっと我慢している方がおられます。中には無理な治療で痛い思いをして、それがもとで歯科治療恐怖症になってしまった方もおられるでしょう。こうした患者さんに特にお勧めしているのが、静脈内鎮静法という精神鎮静法です。うとうと眠ったような状態で治療中の痛みや不安を感じさせないようにします。当院の場合、私自身が歯科麻酔の専門知識を持っているので、外部から専門家を呼ぶ必要はなく、歯科治療恐怖症や嘔吐反射と診断される患者さんには保険適応も可能です。痛みや恐怖で症状を放置されているような方も安心して治療に踏み出していただければと思います。
歯科医師の仕事は、歯を抜くことではなく残すこと
先生は地元のご出身だそうですね。
私は生まれ育ちもこの大和田駅周辺で、子どもの頃はこの付近でよく遊んだものです。地元の知人や同級生、そのご家族にも大勢来てもらい、親しみのある町で仕事ができて地域貢献ができるのはたいへん素晴らしいことだと感謝しています。患者さんの層は必ずしも高齢者が多いというわけではなく、子どもを含めてかなり幅広いですね。ただ、「歯科医院は歯が痛くなってから行くところ」という考えの方がまだまだ大勢を占めており、診療をしていると総入れ歯の人が多いことに驚かされます。予防がいかに大切かを皆さんに知っていただき、継続してメンテナンスに来てもらうことが今後の課題といえるでしょう。
治療で大切にしていることは?
一つは「抜かない」ということ。教科書的には抜かないと駄目といわれるような歯でも、私はできる限り残すことを考えます。抜いてしまうのは簡単ですが、歯科医師がすべき仕事は歯を抜くことではなく歯を残すこと。無理かもしれないけれどやってみる。その姿勢が大切です。もちろん、うまくいく場合もあれば、いかない場合もありますが、そこは正直にどんなことでもお伝えするようにしています。もう一つは、「わからないものはわからなくていい」ということ。今すぐにはわからなくても、これかもしれない、あれかもしれないと、一つずつつぶしていけば途中で解決することもあります。そこは自分を飾らずに、患者さんとはいつも誠実に向き合っていたいと思いますね。
先生が得意とする歯科治療はありますか?
特に秀でている技術があるとは言えませんが、かぶせ物などは割と得意にしています。よくかぶせ物が外れたという話を聞きますが、それは歯の削り方が影響していることが多いんですね。高級な茶筒の胴と蓋がぴったり合っているように、歯とかぶせ物の隙間は極小に仕上げねばなりません。もちろん、そこは歯科技工の精度も関係しています。当院では私が勤務医時代に出会った素晴らしい歯科技工士さんにお願いしていますが、こうした信頼関係があるのはとても心強いことです。ただ、当院では必ずしも高い補綴治療をお勧めするのではなく、予算がなくても選びやすいような選択肢を用意しています。やはり医療ですから、お金の話はあまりしたくありません。自由診療にばかりに力を入れていると、診療できる患者さんの数は限られてしまいます。痛い、今日なんとかしてほしいという患者さんを1人でも多く診たいというのが私の願いです。
回り道をしたからこそ人の気持ちがわかる
先生は最初から歯科医師をめざしていたのですか?
もともと私は医師になりたくて、それで医学部をめざしたのですが、受験に失敗して東京の某大学の理工学部に入ったんです。ところが肌に合わずに中途で退学。関西に戻ってまた医学部に挑戦したものの、なかなか受からないまま2年間ほどフリーターをしていました。工場の日雇いバイトもやりましたよ。ラインを流れてくるガラス瓶を目でチェックする仕事なのですが、これが退屈なんです。半分寝ていると叩かれたりどやされたり、夜勤で12時間働いてたったの7500円。さすがに就職を考えましたが、今のままだと学歴は高卒。とりあえず手に職をつけようと、中学時代に通っていた歯科医院の先生を思い出して大阪大学の歯学部を受験したところ、たまたま合格することができました。最初から歯科医師をめざしていれば良かったと思いましたよ。最初の大学入学から10年ほどたっていましたから。
いろいろなご苦労を経て歯学部に入ったわけですね。
大阪大学に入った後も、学費はカラオケ店でアルバイトして工面していました。授業が終わると図書館で夜まで勉強し、深夜から働いて徹夜明けで授業に出る毎日です。その時にはもう30歳を超え、歯科医師になるのに人より10年も余計にかかってしまいました。しかし今から思えば決して年月を棒に振ったわけではなく、その回り道にも意味があったのではないかと思います。その自分が挫折を味わったのは、人生の試練を天が与えたのかもしれません。
最後に、今後への展望や読者に向けたメッセージをお願いします。
ちょうど今、歯科医師を募集しようと考えているところです。診療が手いっぱいで助けてほしいというのもありますが、私も師事した先生に育てられているわけで、その恩義を次に伝えていくという意味合いもあります。診療でめざすのはこれまでどおり、まずは患者さんの痛みを取り除くこと。その次はしっかり噛めるようにすることです。恐怖心のある人にはなるべく痛みのない方法を提案するなど、さまざまな理由で困っている方の気持ちを察し、きちんと受け入れて治療をしてあげることが大切と考えています。方法によっては、歯科治療は決してつらいものではありません。それが皆さんに伝わるような、心のこもった歯科治療を今後も提供していきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/35万円(インプラント手術、CT検査、かぶせ物費用含む)