心不全や脳卒中を予防していくには
生活習慣病の早期ケアがカギ
サルスクリニック武蔵境
(武蔵野市/武蔵境駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
豊かになった食生活やストレス社会によって、増加しているといわれる生活習慣病。具体的に糖尿病や高血圧などと診断はされていなくても、健康診断で注意を促されたことがある人は多いのでは。しかし「通院や治療をするほどではないだろう」と見過ごしてしまうと、生活習慣病が要因となって動脈硬化が起こり、心筋梗塞、狭心症、心不全、不整脈、脳卒中など、命にもかかわる循環器疾患に発展していく可能性もあるため注意が必要だ。循環器専門の医師として大学病院等で経験を積んできた「サルスクリニック武蔵境」の谷正人院長も、「放置せずに一度は受診を。生活を見直すだけで重篤な疾患を回避につながることも」とアドバイスする。今回は谷院長に、生活習慣病を放置するリスクや循環器疾患との関係性などを聞いた。
(取材日2021年7月14日)
目次
症状がなくても早期受診がベスト。専門の医師による検査や生活習慣指導で重篤な疾患の回避をめざす
- Q生活習慣病と循環器疾患には、どんな関係があるのでしょうか?
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A
生活習慣病は生活習慣に関わる疾患の総称です。代表的なものは糖尿病、高血圧症、血液中の中性脂肪やコレステロールなどの代謝に異常が起こる脂質異常症(高脂血症)、血液中の尿酸値が高くなる高尿酸血症などです。そして生活習慣病の結果として起こり得るのが、動脈硬化や閉塞性動脈硬化症です。動脈硬化は血管が狭くなったり硬くなったり、血栓を併発して血行障害が起こり、体の各所に必要な酸素や栄養が行き届かなくなる疾患です。動脈硬化が起こると心筋梗塞、狭心症、心不全、不整脈、脳卒中など命にかかわる循環器疾患の発症リスクが高まりますので注意が必要です。また、喫煙も動脈硬化の大きなリスクファクターになります。
- Q生活習慣病は放置せず、早期受診が大切なのでしょうか。
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A
そうですね。生活習慣病によって動脈硬化が起こると命にかかわる循環器疾患に発展する可能性がありますが、それらの疾患は硬化が進行したから起こるとは限りません。やや硬化している動脈の表面が破れ、そこに血栓が付着して動脈が詰まり、脳卒中や心筋梗塞が起こることもあるので早期の対策が大切です。40歳を過ぎたら自分の体に注意を払い、定期的に健康診断を受け、異常値があったら自覚症状がなくても専門の医師に相談してみましょう。そして、必要に応じて治療を受けたり、生活習慣改善を行っていただきたいですね。これは生活習慣病に限らず、がんなど他の疾患でも言えることです。
- Q先生が早期受診を重視することついて、考えを聞かせてください。
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A
私は長年さまざまな方を診てきましたが、健康診断で異常値が出たにもかからわず、忙しくてなかなか診療所に足を運ばない方もいらっしゃいました。そういう方々が、数年後に心筋梗塞や脳卒中などを発症するケースも見ており、いかに早期の対策が大切かということを痛感してきました。忙しい方でも受診していただけるように当院は利便性にこだわり、武蔵境駅のすぐ近くに開院し、休祝日に加え平日は20時まで診療を行っています。実施できる検査の種類も増やし、大きな病院へ足を運ばなくても、できるだけ当院で検査を完結できる環境を整えました。早期予防のためにも、当院のようなクリニックをぜひ活用していただきたいです。
- Q早期発見のために、どんな検査を行うのでしょうか?
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A
当院では超音波検査、心電図検査、動脈硬化の有無を診断するCAVI/ABI検査、エックス線撮影などが可能です。また、心臓突然死や脳卒中などにつながりやすい睡眠時無呼吸症候群の検査にも力を入れています。糖尿病検査は血糖やHbA1C数値、尿アルブミン値を数分で出し、その場で患者さんに数字を見ていただけるようにしています。検査だけでなく、ヒアリングも重視しています。例えば高血圧と頭痛を併発している場合、高血圧が原因で頭痛が起こっているかと思ったら、実はその逆だったということもあります。どちらが原因でどちらを先に治療すべきか、的確な診断をするためには経験に基づいた丁寧なヒアリングも大切だと思っています。
- Q最近、増えていると感じる疾患はありますか?
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A
コロナ禍においてリモートワークが増え、通勤が減ったために運動時間が減って、体重が増加した方も多いと思います。その状態が続くと生活習慣病予備軍になりますので注意しましょう。また、最近は結婚年齢が上がって、一人暮らしの期間が長くなっている傾向があります。一人暮らしだからといって好きな時間に好きなものを食べていると、糖尿病を発症しやすくなることもあります。しかし自分の意思だけで生活を変えるのは難しいでしょうから、当院は管理栄養士による栄養指導を行っています。自分では「食事もお酒も適量」と思っていても、実は取りすぎということも。それを目で理解してもらえるよう、食品模型を使って説明することもあります。