谷 正人 院長の独自取材記事
サルスクリニック武蔵境
(武蔵野市/武蔵境駅)
最終更新日:2021/10/12

武蔵境駅すぐ近くに2021年に開院した「サルスクリニック武蔵境」。院内に入ると、光がたっぷり差し込む明るい空間とスタッフの笑顔が迎えてくれる。院長を務めるのは大学病院などで長年経験を積んだ、動脈硬化や心臓病をはじめとした循環器内科・生活習慣病診療の専門家である谷正人先生。「重要なのは予防と生活改善。健康診断の結果に異常値があれば、放置せず早期に対策することが重篤な疾患の回避につながります」と言葉に力を込める。来院のハードルを下げるために平日は20時まで診療し、先端の治療に加え、早期発見のための健康診断や各種検査にも注力している同院。谷院長に、クリニックの特徴や診療のポリシーについて語ってもらった。
(取材日2021年7月14日)
未来の健康のための予防医療の提供と生活指導に注力
まずはこのクリニックの特徴を教えてください。

当院は疾患が重症化する前に予防的な医療を提供することで、皆さんの「未来の健康」をつくっていくことをコンセプトとしています。患者さん自身に自覚症状がなくても、健康診断などで異常値が出たら放置せず来院していただき、必要に応じて治療や生活習慣の見直しを行っていただきたいと思っています。しかし、忙しい方は症状がないのに受診しようという気持ちにならないこともありますよね。そこで当院がこだわったのが、利便性です。武蔵境駅すぐ近くに開院し、平日は20時まで診療を行うことで、会社帰りに気軽に立ち寄っていただけるようなクリニックにしました。実施できる検査の種類もできるだけ増やし、大きな病院へ足を運ばなくても、できるだけ当院で検査を完結できるような環境を整えました。
先生が早期の予防や治療にこだわる理由は何でしょうか?
私はこれまで、働き盛り世代の患者さんたちを数多く診療してきました。患者さんの中には、健康診断で異常値が出たり、高血圧や高コレステロールなどのリスクファクターを持っていたりするにも関わらず、忙しくてなかなか診療所に足を運べなかったという方もおられ、そういう方々が、数年後に心筋梗塞や脳卒中など命に関わる疾患を発症するケースも見てきたのです。そういったケースをなくすためには、いかに早期の対策が大切かということを痛感し、予防的な医療を実践しています。
先生のご専門について教えてください。

私の専門は動脈硬化や心臓病などの循環器疾患と、糖尿病・脂質異常症・高血圧などの生活習慣病です。特に得意としているのが心臓病で、狭心症や心筋梗塞、不整脈などの患者さんを多く診てきました。最近、患者さんの数が増えていると感じるのは不整脈です。不整脈は心臓の脈の打ち方が乱れている状態で、中高年になると発症しやすく、ストレスや加齢が原因のこともありますが、非常に重篤な脳卒中につながる可能性もあるので注意が必要です。また、これらの疾患と関連が深い睡眠時無呼吸症候群の診療にも注力してきました。当院ではこういった私の専門領域に加え、風邪・頭痛・更年期障害などの一般内科にも対応し、漢方薬の処方も行っています。また、多くの疾患のリスクになる喫煙を止めるため禁煙治療にも力を入れています。
治療に加えて、専門的な生活指導でバックアップ
治療だけではなく、食事などの生活習慣指導も大切にしていると聞きました。

例えば社会人になって数年で10~15kgほど体重が増え、メタボリック予備軍になってしまう方はとても多いのですが、それは遅くまで仕事をして夕食の時間が遅れてしまうことや、結婚を機に食事の量が増えることが主な理由です。そういう方々はその後も体重がなかなか減らない、つまり一度太ったら戻らないことが多いのです。先ほど自覚症状が出る前の予防が大切だとお話ししましたが、さらにそれよりも前の段階、「生活のリズムが変わってきた段階」で注意することが理想的です。そこで重要になるのが、生活習慣指導ですね。当院では医師や看護師によるアドバイスに加えて、管理栄養士による栄養指導も行っています。
具体的に、どのような栄養指導を行っているのでしょう?
糖尿病やメタボリック予備軍の方にはカロリーやコレステロールのコントロール方法を、腎臓が悪くなってきた方にはタンパク質を取りすぎないための注意点などを、常駐している管理栄養士が指導します。患者さんの実感が湧くように、食品模型を使って指導することもあるんですよ。例えば「お茶碗1杯分のご飯のカロリーや塩分はこのぐらいです」と教えられても、「お茶碗1杯ってどのくらいの量だろう?」と悩んでしまうこともありますよね。そんなときには模型を使って、実際の量を見ていただくようにしています。現代人は運動する機会が少なくなっていますし、特に最近はリモートワークで通勤がなくなった分、運動量が減っている方が多いと思います。ですからその分、食生活の見直しがより大切になってくると思います。
こちらのクリニックでは、実施できる検査の種類も豊富だそうですね。

できるだけ大きな病院に足を運ぶことなく当院で完結できるように、検査の種類を豊富にそろえています。エックス線検査、超音波検査、心電図検査、動脈硬化の有無を診断できるCAVI・ABI検査などが可能です。また、心臓突然死や脳卒中などにつながりやすい睡眠時無呼吸の検査にも力を入れています。検査においても、治療へのモチベーションが高くなるような工夫をしているんですよ。例えば糖尿病検査は血糖やHbA1c数値を5~10分で迅速に出し、患者さんに数字を見ていただけるようにしています。より精密な検査が必要な場合は、武蔵野赤十字病院や慶應義塾大学病院などと速やかな連携が可能です。また、一般健診、生活習慣病健診、各種腫瘍マーカー検査などの健康診断も実施しています。
24時間体制の訪問診療や健康診断で地域の健康に貢献
法人で連携して訪問診療にも対応されているとお聞きしました。

当院を運営する「医療法人社団ときわ」は、赤羽・大宮・墨田・練馬の4ヵ所を拠点に、24時間365日体制で訪問診療を行っています。今は武蔵境エリアを練馬チームがカバーしてくれていますが、今後ニーズが増えたら当院専属チームを設けようかと思っています。患者さんを紹介するなど法人内で連携しており、こちらに通っている患者さんに限らず、地域の中核病院からの紹介や、重い障害があって通院が難しいお子さんにも対応しています。訪問診療に行った医師が自分の専門外の疾患を見つけたら、専門の医師とパソコンでリアルタイムに情報共有できる体制を整え、幅広い疾患の患者さんに対応できていることが強みです。
診療の際に心がけていることは何ですか?
患者さんの訴えを、よく聞くということです。当院の問診は医師のヒアリングに加え、AIの質問に答えてもらうという問診も取り入れているんです。医師の問診の精度をさらに上げるために活用しています。あとは、一人ひとりの患者さんをじっくり診ることですね。おかげさまで当院には、私が大学病院などで診療していた頃の患者さんがたくさん来てくださいます。20年来の付き合いという患者さんもいて、そういう方からは循環器以外の相談を受けることもあるんですよ(笑)。大学病院では、専門外の患者さんは診療せずに適切な科へご案内することもありましたが、当院では患者さんのいろいろな悩みに耳を傾けることができています。
先生が医師になったきっかけを聞かせてください。

祖父が内科医だったことが影響しています。母の実家に帰るたびに、祖父が熱心に診療するところを見ていました。循環器を選んだ理由は「聴診器一つでいろいろなことを診断できるのがかっこいいな」と思ったからです(笑)。私が医師になったばかりの頃は、できるだけ機械に頼らず、聴診器で疾患を探りあてるのが主流でしたから。心臓弁膜症などを聴診器で得た情報から診断する先輩や教授を尊敬して見ていました。
最後に、読者にメッセージをお願いします。
当院では、主婦や個人事業主の方など、企業の健康診断を受ける機会のない方もサポートしていきたいと考えています。今後は当院で市の健康診断も実施できるようになりますのでぜひご活用ください。また、健診で異常値が出た方、日常生活で気になることがある方は、放置せず一度来院してみてくださいね。私はこれまで長年にわたって「いかに病気を予防して重症化を避けるか」を主眼に医療を提供し、現在も予防医療の大切さを伝えたいと日々努めています。症状がなくても、気軽に健康のことを相談していただけるとうれしいです。