原 浩二 院長の独自取材記事
はらクリニック
(川崎市中原区/武蔵中原駅)
最終更新日:2024/09/12

武蔵中原駅から徒歩5分、肝臓と消化器について専門性の高い検査・治療を提供する「はらクリニック」。原浩二院長は、特に肝疾患に精通し、日本肝臓学会肝臓専門医の資格を持つドクターだ。身近なクリニックで専門的な診療を届けるため、胃や大腸の内視鏡検査設備や超音波検査機器を備え、幅広い消化器疾患、肝胆膵領域の診療にも取り組んでいる。また検査結果などの資料は、しっかりと読み込んでから診療に望む原院長。診療時間の何倍もかけて事前準備をすることで、質の高い医療に努めている。大学病院での勤務や米国留学で得た知識や技術を地域に還元したいと意欲を燃やす原院長に、診療に対する思いなど幅広く聞いた。
(取材日2024年5月31日)
肝臓、消化器内科、内視鏡の専門性を生かした診療
先生は消化器内科、特に肝疾患の専門家と伺いました。

私はもともと研究志向が強く、多様な病気があって研究対象が幅広いところに惹かれて肝臓を専門としました。大学病院や関東労災病院などで肝臓や消化器内科の診療に携わった他、アメリカ国立衛生研究所へ留学の経験もあります。前職は横浜市立大学附属市民総合医療センターで、今も同センターで週に1回、肝臓がんのカテーテル治療を行っています。肝疾患の患者さんは多いのですが、肝臓の専門家は意外と少なく、専門的な医療を身近なクリニックで提供したいという思いから開業を考えるようになりました。この場所を選んだのは、武蔵小杉にある関東労災病院に勤務した経験からこのエリアになじみがあり、働き盛りの若い世代が多く、私の診療が役立つのではないかと思ったからです。
院内はすっきりとしていて、とてもきれいですね。
皆さんが安心して来院できるよう、設計を工夫しました。例えば、感染症対策は長期的に見ても重要ですから、発熱の患者さんと一般の患者さんの動線を分け、隔離室を2室設置しました。完全な陰圧室ではありませんが、ウイルスなどを含む可能性のある空気が待合室や他の部屋に流れ出ることがないように設計してあります。また発熱の患者さんの来院の際は予約をしてもらい、物理的にも時間的にも距離が取れるようにしています。その他、自動精算機の導入や予約システムを採用することで待ち時間の軽減にも努めています。「自分が患者さんだったら、どうしてほしいか」ということを突き詰めて考え、受診しやすく通院しやすいクリニックをめざしています。
診療面には、どのような特徴があるのでしょうか?

発熱や咳、腹痛、下痢など内科一般の診療の他、私の専門である消化器内科や肝疾患の診療に注力しています。消化器内科に関しては、逆流性食道炎や胃潰瘍、慢性胃炎、ピロリ菌感染、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎などに対して、内視鏡検査をはじめ専門的な検査・治療を行います。加えて、腹部超音波画像診断などにより、肝臓・胆嚢・膵臓領域の疾患の診断・評価も行います。そして、ウイルス性肝炎や脂肪肝といった肝疾患の診断や治療に関しては、CTやMRIが必要な場合は提携施設で撮っていただきますが、私が画像診断を行いますし、入院が必要な検査や治療以外は、当院で対応できると思います。
医学的根拠に基づいた質の高い検査・治療を追求
こちらの胃と大腸の内視鏡検査の特徴を教えてください。

消化器内科では、がんなど病気の早期発見に内視鏡検査がとても重要ですので、とにかく楽に快適に検査を受けていただけるようにしたいと思っています。胃の検査では経口内視鏡と経鼻内視鏡に対応しますし、経口内視鏡と大腸内視鏡の場合は鎮静剤を使用して、ウトウトと眠ったような状態で検査を受けていただけるようにしています。また、着替え室がリカバリー室にもなっていて、ベッドとトイレもついているので、プライバシーを守りながらゆっくり過ごしていただけます。内視鏡検査機器は微細な病変も捉えるための特殊光観察に対応し、さらに経口内視鏡と大腸内視鏡に関しては拡大内視鏡を使って、腫瘍が良性か悪性かを判断します。大腸の良性ポリープはその場で切除し、悪性と思われる場合は精密検査を行い、治療ができる施設につなぎます。
安心して検査が受けられそうですね。
質の高い医療を提供するため、丁寧に診療をしています。そのためにも大切なのは、患者さんに関する資料を事前にしっかりと確認することです。どういう検査が必要になるかとか、どういうプランで治療を進めるとか、想定されることはすべて書き出しています。他にも、紹介状が必要になりそうな場合は書いておくなど、診察は診て説明して、治療方針を相談・決定するのみの場になるよう事前準備は怠りません。そうすることで、限られた診療時間で濃密な診察ができるのです。内視鏡検査はがんなど重篤な病気の早期発見に有用な検査です。進行したがんでメスを用いた外科的な手術になると、体にかかる負担が大きくなります。患者さんのQOL(生活の質)を落とさないためにも、質の高い検査・治療を続けていきたいです。
診察の際は、どんなことを大切にしていますか?

患者さんによく説明して、理解し納得していただくことです。検査結果から、疑われる疾患、確認するための精密検査、検査項目やメリットデメリット、その結果から考えられる治療の選択肢など、順序立ててわかりやすく説明することを心がけています。というのも、健康診断を受けたが結果がよくわからない、という方も少なくないからです。理解できるまで説明をされていないということなのでしょう。特に肝疾患は自覚症状がなく、経過を診ていかなければならない病気ですから、途中で治療をやめることが最も問題となります。また患者さんによっては、心配だからもっと検査をしてほしいという方もいらっしゃいます。でも、必要のない検査を勧めることはしません。ガイドラインなどの資料を見せながら医学的根拠を説明し、納得してもらえるようコミュニケーションを大切にしています。
専門的な医療を提供し、早期発見・治療に貢献していく
アメリカ国立衛生研究所でのエピソードを聞かせてください。

とにかく一度、世界のトップを見たいと考えて、5年間留学しました。日本との違いもありましたが、先端の医療に触れて、問題に対する取り組み方を学びました。世界中から医学で社会に貢献したいという思いを持った人たちが集まり、医学的に正しいことを見つけ、それを社会に還元する。そういうことをやっている人たちを見ていたので、それが正しいことだと思っていますし、本当に自分がいいと思った治療しかやりません。今も毎週英語論文を読み、知識や診療技術を常にアップデートしています。医学は学問ですから、開業医も勉強を続けるべきだと思うのです。
肝臓疾患の専門家の立場から、最近気になっていることはありますか?
欧米型の食生活や運動不足で、若い人にも脂質異常症の人が増えて肝臓にも脂肪がつきやすくなっています。まずは、運動する習慣を皆さんに身につけてほしいですね。歩くことからでもいいので、持続可能な頻度で続けていただき、調子が良ければその途中ちょっと走ってみる。やっていて嫌にならないことから始めていただければと思います。また、市区の検診や勤務先の健康診断などはきちんと受診し、肝機能の検査値に異常があると指摘されたら、消化器内科や肝臓専門の医師の診断を受けてください。治療を途中で放置したら病気が進行したというケースも少なくないので、継続的に経過を診ていくことも重要です。当院では、まずは超音波や血液検査を行い、進行性とそうではないものを見極め、必要があれば提携施設でMRIや肝生検を実施します。脂肪肝の診断の際には、肝臓や膵臓に腫瘍などほかのトラブルが起こっていないかも注視しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

今後も内科全般から肝炎・脂肪肝・肝臓がんなどの肝臓疾患、胃や大腸の消化器疾患について専門的な医療を提供していきます。肝臓の病気は、大きな病院に行く必要があると思われている方が多いと思いますが、当院では、肝疾患に関わる診療の中で入院を必要とする検査や治療以外はほとんど対応可能です。中には、「コストをかけて検査しなくても、薬で症状が治まれば」と考える方もいるかもしれませんが、検査は治療方法を決定する重要な手段で、検査による原因解明はベストな治療のために必要なことです。また私自身、体重を減らすために食事制限や運動を工夫した経験があるので、体のメンテナンスに関わる取り組みも手がけたいと思っています。気になることがあれば気軽に相談にお越しください。