全国のドクター9,080人の想いを取材
クリニック・病院 159,391件の情報を掲載(2023年12月04日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 世田谷区
  4. 自由が丘駅
  5. 医療法人社団創福会 ふくろうクリニック自由が丘
  6. 橋本 昌也 院長

橋本 昌也 院長の独自取材記事

ふくろうクリニック自由が丘

(世田谷区/自由が丘駅)

最終更新日:2021/10/12

橋本昌也院長 ふくろうクリニック自由が丘 main

世田谷区奥沢に開院した「ふくろうクリニック自由が丘」橋本昌也院長。大学卒業以降、一貫して認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患を専門にキャリアを積んできたドクターだ。在宅医療の豊富な経験も生かし、在宅医療が必要となる前段階の患者や、生活習慣や運動器に問題があり認知症につながる可能性のある患者に働きかけ、脳と体の健康維持に貢献したいと語る。「たとえ治らない病気であっても、ご本人とご家族が穏やかに暮らせるようサポートしていきたい」と、患者と家族に寄り添う診療姿勢も印象的だ。そんな橋本院長にクリニックの特徴や認知症診療について取材した。

(取材日2021年6月15日)

認知症など脳・神経疾患と整形外科、生活習慣病に対応

まず、こちらのクリニックの成り立ちを教えてください。

橋本昌也院長 ふくろうクリニック自由が丘1

私はこれまで、当院と同じ法人のクリニックである「ふくろうクリニック等々力」において、主に高齢者を対象とした在宅医療と、認知症やがん緩和ケア、脳神経内科の外来診療に従事してきました。在宅医療では、かなり病状が進んだ方が対象となるので、それより前の軽い状態や、まだ病気になっていないがなんらかの問題のある方を診ることで、重症化を防ぎ、健康寿命の延伸に取り組みたいと開院したのが当院です。認知症や脳血管疾患、パーキンソン症候群といった神経難病など脳の疾患の診療と、筋力低下による腰、膝の痛みなど整形疾患の診療を中心としています。骨折などから転倒して寝たきりになり、認知症が進行するケースも多いので、整形外科からのアプローチも重要なのです。また、MRI画像検査機器を整備し、脳と体を診ることができることから、脳震盪などスポーツ外傷の診療も行っています。

2階には、リハビリテーションルームもあるのですね。

そうです。リラックスして楽しくリハビリを受けていただけるように、病院というより、スポーツジムに近いイメージで整備しました。理学療法士や作業療法士が在籍し、スポーツ頭部外傷、高次脳機能障害、全身の骨や関節筋肉の痛みなど運動器の問題、がんの手術前後など多岐にわたるリハビリを行っています。また、認知症の進行予防には、脳と体のトレーニング、栄養バランスの取れた食生活が重要です。そこで、管理栄養士と公認心理師が連携して、フレイルや認知症の予防プログラムにも取り組んでいます。

院長就任までの経緯を教えてください。

橋本昌也院長 ふくろうクリニック自由が丘2

私は、医師の一家に生まれて自然な流れで医学部に進みました。脳神経内科を選んだのは、脳という見えない部分を探って、診断をつけて治していくことが面白いと感じたことと、難しい大きな病気になると、医師によって診断が異なり、それをカンファレンスや回診でディスカッションして、絞っていく過程が興味深かったのですね。その後、実家の病院や、虎ノ門病院を経て「ふくろうクリニック等々力」で、認知症や神経難病の方の在宅医療などを担当していました。今回、「在宅医療が必要になる前の方に働きかけて健康寿命を延ばす」という理事長の考えに賛同してこちらの院長に就任しました。医師として診療を行うことは同じですが、院長としての雑務は増えましたね(笑)。

認知症は早めのアプローチと、適切な診断が重要

認知症の診療で大切なことはなんでしょうか。

橋本昌也院長 ふくろうクリニック自由が丘3

認知症は、物忘れというイメージが強いと思いますが、実は、周辺症状と呼ばれる不穏や被害妄想、一人歩き、医療の拒否など記憶の問題以外の部分で、社会との関わりがうまくいかなくなることのほうが問題で、それに対処する必要があるのです。特に独居の方や高齢のご夫婦だけの場合、なかなか医療に結びつかずに対応も難しくなってしまうということがあります。ですから、なるべく早くアプローチすることと、認知症にもアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などいろいろなタイプがありますから、しっかり診断をつけることが重要ですね。診断がつけば、その後の治療もだいたい決まってきますし、どんな周辺症状が出やすいのかなど予想がつきますので、より適切な対処ができるようになるのです。

認知症が疑われたときは、どのような診療の流れになるのですか。

まずはご本人に話を聞いて、その次にご家族の話をしっかりと聞き、神経学的な診察を行います。これで7〜8割は“あたり”がつきます。必要であればMRIなどの検査を行いますし、当院には認知症に詳しい公認心理師がいますので、より専門的な物忘れのチェックをしてもらうこともあります。治療は、ほとんどが内服薬による治療で、最近では薬の種類も増えましたので、その人に合わせて処方を調整するようになります。完治する病気ではありませんので、治療の目標は進行を遅らせると同時に周辺症状をうまく抑えること、また患者さんに危険がないように配慮しながら、ご本人とご家族が穏やかに生活できるようにすることとなります。

診療の際には、どのようなことを心がけていますか。

橋本昌也院長 ふくろうクリニック自由が丘4

最短時間で、診断をきちんとつけることです。医師は診断がすべてだと思っています。病気の範疇かどうか、病気だったら何の病なのか、これをなんとか早く突き止めることです。脳神経内科の病気は検査でわかるというものではなく、疑いというのも結構多いのですが、できるだけしっかりと診断をつけることを意識しています。もう一つは「主訴からの解放」です。認知症も神経難病も、現在は根本的に治療をすることは困難ですが、可能な限り主訴を楽にすることを心がけています。これは大学時代、パーキンソン病の勉強をしていたときの恩師から常々教えられてきた言葉で、今の私の診療スタイルの原点にもなっています。認知症に関しては完治はしない、記憶を呼び戻せたり、以前の状態に戻ったりすることはない、ということをご家族に理解していただくことも大切に考えています。

脳と体のケアや、生活習慣の改善で健康長寿をめざす

これからの展望について聞かせてください。

橋本昌也院長 ふくろうクリニック自由が丘5

まだ開院したばかりですから、一つ一つの取り組みを充実させていくことに加え、MRIを近隣の開業医の先生方に積極的に活用していただく診診連携も進めたいですね。リハビリが必要な患者さんもご紹介いただければと思います。近いうちにスポーツ外傷を専門とする医師の診療日も設ける予定です。また「ふくろうクリニック等々力」の患者さんで、がんの緩和ケアなど外来診療が必要な場合は、スペースに余裕がある当院で治療を行ったり、あるいは当院の患者さんで在宅医療が必要になったら向こうにシフトしたり、そうした連携をしながら地域のお役に立ちたいと思っています。最近、認知症に関して治療薬の開発が進んでいるというニュースもあり期待していますが、今のところは、きちんと診断をつけて、穏やかな生活を送っていただくことを目標に診療を進めていきたいと思っています。

認知症を予防するためには、どうしたらよいのでしょうか。

物忘れは誰にでも起きることであり、悪いことではありません。年を取るとできなくなることも増えますが、その分、経験値は上がります。プラマイゼロだと思うんですよ。ただ物忘れによって生活に支障が出てくると治療や対応が必要となります。認知症になっても、突然、家族の顔もわからなくなるほど重くなることはほぼないので、そんなに不安に思わないでいただきたいですね。一方で、骨粗しょう症や栄養の偏りなどがあると、脳だけを鍛えても認知症を予防することは困難です。元気な方も転んで骨折して寝たきりになると、一気に認知症が進行することもあります。膝痛や腰痛の原因を見極めて修正し、骨粗しょう症や生活習慣病を予防、管理することが大切だと思います。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

橋本昌也院長 ふくろうクリニック自由が丘6

認知症やパーキンソン症候群などの脳・神経疾患、筋力低下による腰や膝の痛みなど気軽にご相談ください。認知症に関してはあまり怖がらないでいただきたいですね。ご自分やご家族のことで気になることがあれば、まずは相談をしていただいて、そこから一緒に考えていきましょう。相談が早すぎることはありませんし、「病気でなければそれで良かった」というくらいに気軽に相談してください。若い方でも、食生活や生活習慣に問題があれば認知症や寝たきりにつながりますから、何か不安がある方は一度来ていただければ、今後どういうふうにしていけば認知症や病気のリスクが減らしていけるかなど、そんなアドバイスもさせていただけるかと思います。脳ドックやリハビリも利用して、地域の皆さんに健康寿命を延ばしていただきたいと願っています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

脳ドック/3万円

Access