横田 甚 院長、平川 恵基 さん、白石 香菜子 さんの独自取材記事
岸辺くすのき透析クリニック
(吹田市/岸辺駅)
最終更新日:2026/06/10
北大阪健康医療都市、通称「健都」に隣接した街並みの一画にある「岸辺くすのき透析クリニック」。広く居心地の良い透析室やフットシャワー設備、駐車場からスムーズに移動できるバリアフリーな動線など、透析患者の利便性を考慮した多くの工夫が凝らされている。腎臓内科を専門とする横田甚院長を中心に、各職種が高い意欲を持ち、幅広い透析治療を実践。日々の透析や同院が行う多彩な取り組みをチームワークで支えている。今回は、横田院長、臨床工学技士の平川恵基さん、看護師の白石香菜子さんの3人に、同院の魅力やチーム医療について語ってもらった。
(取材日2026年5月7日)
先進の設備と環境で、安全・快適な透析の提供をめざす
まずは、クリニックの歩みを教えてください。

【横田院長】当院の母体は大正区にある「大正くすのきクリニック」です。「国立循環器病研究センター」や「吹田市民病院」などの移転で「健都」が街開きしたので、人工透析の領域で貢献できればと2020年12月に当院が開設されました。患者さんの暮らしに密着した透析を行っており、血液透析や血液ろ過透析を中心に、ご希望があれば在宅血液透析の導入や腹膜透析の管理も行います。私は日本腎臓学会腎臓専門医で、透析になる前の状態から透析が必要な方まで幅広く対応できると自負しています。予約制ではありますが腎臓内科の外来も行っていますので、透析を受けていない方も受診いただけます。
設備面でも透析専門クリニックならではの特色や工夫があるそうですね。
【横田院長】透析室は患者さんが週3日、4時間以上過ごす場所ですから、居心地の良さが大切です。そのため、スタッフの目が行き届く広々としたワンフロアで、ベッドやチェアの間隔を広めに取り、過ごしやすく移動しやすい環境にしました。間接照明や風を感じない空調、木目調の内装など細部まで配慮しています。体への負担に配慮した低反発のベッドを導入したほか、ご希望や体調に応じてリクライニングチェアでも透析ができます。各チェアの足元には温水の給排水設備があり、フットケアを行えるのも特徴です。足を温めることは全身や足の血液循環にもプラスに働きますから、透析や足病変の治療を受けている患者さんにお勧めです。
【白石さん】足に創傷や病変があれば、看護師が医学的な観察や処置を行います。希望される患者さんには、専門スタッフが足のマッサージや角質・爪のケアなどを行う日も設けています。
院内の動線や検査機器にもこだわりがあるとか。

【平川さん】院内はバリアフリーで、透析室へはスロープやエレベーターを使って移動できますが、無料送迎を利用される患者さんはスタッフが透析室までサポートします。玄関には手洗い設備を設け、また、感染症の患者さんは別の入り口から入り、個室で透析を受けられるようにしました。血液検査は外部委託していますが、透析機器や検査機器は先進のものを備えています。心電計、エックス線検査装置、超音波診断装置に加え、最近は血管の硬さや詰まり具合を測定するABI検査装置、筋肉量や体の水分バランスを見る体組成計を導入しました。定期的な検査使用はもちろんのこと、患者さんに不調があれば早期の検査を行い、必要があれば連携している高度急性期病院へ紹介します。
在宅での透析やリハビリテーションまで、幅広く対応
現在、力を入れていることはありますか?

【横田院長】食事と運動を含めた専門的なトータルケアに力を入れています。これは、患者さんのご自宅での生活に対して、もっとできることがあるはずだという想いによるものです。例えば当院では透析時にお弁当をお出しするのですが、管理栄養士が検食してから提供する体制を取っています。また、定期的な栄養指導も行っています。運動面では透析時の運動療法だけでなく、透析のない日も当院の理学療法士が患者さんのご自宅に伺い訪問リハビリテーションを行っています。訪問リハビリテーションでは普段の生活の状況やご家族のご希望も確認するため、そのやり取りがきっかけで透析の内容が変わることもあるんですよ。生活に介入していくため、患者さんにとっては生活しやすくなるというメリットがあるでしょう。
多職種が連携して透析医療を支えているのですね。
【白石さん】看護師と臨床工学技士を中心に、いろいろな職種が密に関わることで、患者さんの情報が引き出しやすくなるんです。例えば非透析日に転倒した場合、理学療法士が間に入ることでその事実が浮き彫りになるので、院内外でどんな転倒があったかを可視化して共有し、対策を打てるようになりました。密な連携は運動指導でも生きていて、患者さんの運動の機会が減っている場合でも、理学療法士と相談しながら、より軽い運動を提案するなど、運動を続けやすい環境づくりにつなげられるようになったと感じます。
【横田院長】医療陣だけでなく、周りの患者さんの存在も大きな力になっていると感じます。透析時の運動指導は一般的に継続率が低いのが問題なのですが、患者さん同士でも支え合うなど、場の力が良い循環を生んでくれればうれしいですね。
近隣にグループ院があると聞きました。

【横田院長】同じ吹田市でグループ院を運営しています。同じ拠点内にグループ院があるため、災害や施設のトラブルで万が一、透析のご対応ができなくなってしまっても安心していただけるよう、患者さんを相互に誘導できればと思います。
【平川さん】他院の受診や家族の用事で当院の診療時間に間に合わなくなってしまった場合も、グループ院を案内することも可能です。診療時間の幅が広がると、患者さんが透析をメインに生活するのではなく、ご自身の生活のペースを守りながら透析を受けることができるので、患者さんの負担も軽減できれば良いなと思います。
地域に開かれた交流の場として、つながりを生みたい
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?

【横田院長】透析医療は患者さんと週3回、月に十数回もお会いするため、距離感が通常の外来とは異なります。同じ方と年間100回以上お会いするので「いつもの感じだろう」とならないように、大切な話をする時はまず「大切な話をする」ときっちりお伝えしてから話すようにしています。
【平川さん】患者さんがベッドに寝ている状態でお話しすることが多いので、目を合わせ、腰を据えてお話するよう心がけています。患者さんの声を引き出すことも大切ですので、患者さんから悩みを打ち明けられるような空気感を意識しています。
【白石さん】話を聞いてもらえる人になることを意識しています。そのためには、患者さんに受け入れてもらうことが必要です。患者さんとの共通点を探し、話してもらえる話題づくりは意識的にしていますね。
地域の方を対象にした取り組みも積極的に行っているそうですね。
【平川さん】駐車場やピロティー、院内にあるコミュニティーホールなど敷地全体を利用して、マルシェや季節の催しを定期的に実施しています。これらの地域活動は、行きづらい場所と思われがちなクリニックが地域に根づくための取り組みをしたい、という想いから始まりました。実は、院内の環境も、人が集まり関係性が生まれる場となるよう設計されているんです。例えばコミュニティーホールは、地域の自治会の会合場所としても活用されています。
【横田院長】診療は腎臓や透析に特化していますが、地域に対しては開かれた場でありたいんです。目的に向かって真っすぐ進む医療に対し「地域の人や子どもたち、出店者が楽しいと思うことだけやろう」と、あえて寄り道したことで、多くの仲間や出会いが生まれています。患者さんがお客さんや出店者として参加してくれたり、日本各地から見学に来られたりと、想定していなかった交流が生まれているんですよ。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【横田院長】地域の介護施設や包括支援センターとの連携をより強固にし広げていくことで、患者さんが最後まで透析と付き合っていくための負担を少しでも軽減させることが、次の目標です。われわれは透析患者さんを含め、来ていただく方をもてなす気持ちを強く持っています。ぜひ一度、この雰囲気を味わっていただきたいので、お気軽に見学にお越しください。もし、少し行きづらいなという場合も、マルシェにお客さんとして来ていただければと思います。

