中川 聡子 院長の独自取材記事
医療法人ナデシコ会 森ノ宮なかがわ眼科
(大阪市中央区/森ノ宮駅)
最終更新日:2025/10/06
大阪環状線、大阪メトロ中央線・長堀鶴見緑地線の森ノ宮駅から徒歩3分。北側には大阪城公園が広がり、散策のついでに足を運ぶ人も多い人気の商業施設もりのみやキューズモールBASE。2階フロアの一角に、2025年3月に法人化した「医療法人ナデシコ会 森ノ宮なかがわ眼科」。京都大学医学部附属病院や大阪赤十字病院などで豊富な臨床経験を持つ中川聡子先生が院長を務め、地域の基幹病院とも連携しながら、子どもから高齢者まで、一人ひとりの目と心に寄り添う眼科医療を提供している。バリアフリー対応で土日祝も診療、ウェブ予約可能など、通いやすさもとことん追求。気軽に相談できる身近なかかりつけ医として患者からの信頼も厚い中川院長に、医療に懸ける思いやクリニックについて、自身のキャリアを振り返りながら語ってもらった。
(取材日2022年9月15日/更新日2025年9月3日)
大規模病院での臨床経験から開業までの長い道のり
医師をめざしたきっかけと、眼科を選んだ理由はなんですか。

子どもの頃から医師に憧れを抱いていましたが、医学部をめざすと決めたのは高校時代。進学校だったので同じような目標を持つ友人が多く、私も頑張ってみようと思ったことが一番のきっかけです。眼科を志すようになったのは、臨床実習が始まった大学4回生頃です。目って顕微鏡で見るとキラキラしていてとてもきれいなんです。教授の手術も素晴らしく、こんなきれいな世界があるんだ……と感激して眼科に進むと決めました。当時は、医療の技術も機械も眼内レンズもいろいろなことが急激に進化した時代で、そうした進化の中に身を置きたいという思いもありました。また、眼科は他科と比べて比較的女性医師が多く、実際に子育てをしている女性の先輩もいましたし、医師としてのキャリアや自身のライフプランを考えた上でも眼科という選択になりました。
卒業後はどんなご経験を?
夫が京都大学出身だったこともあり、京都大学眼科学教室に入局し、京都大学医学部附属病院や京都桂病院で臨床経験を積みました。どちらの病院も症例が豊富で、そこにいるだけで勉強になるような恵まれた環境。おかげで日本眼科学会眼科専門医の資格も卒後5年で取得できました。2006年に第1子を出産してからは、仕事と子育てを両立する生活に。眼科専門医資格を維持するためには週4日以上の勤務をしなければなりませんから、周囲の先生の理解や夫の両親のサポートを受けながら何とか勤務を継続。京都大学大学院医学研究科眼科学教室で勉強し、大阪赤十字病院では時短勤務も経験しました。2010年代はちょうど国の子育て支援が進み始めた頃で、時代に助けられた部分も大いにありますが、医師としての技術や経験を深めるためにも、支えてくれる周りの人たちのためにも、精いっぱい走り続けてきました。
その後は開業されましたが、どんな経緯だったんでしょうか。

大阪赤十字病院は救急や当直もある病院ですから、ずっと時短勤務を続けることはできません。すでに子どもも2人いましたし、フルタイム勤務は現実的に無理。であればクリニックのほうが子育てと両立しやすいのではと考えていた時に、むさしドリーム眼科の武蔵国弘先生からお声をかけていただき、環境を変える決断をしました。むさしドリーム眼科では、上本町本院で手術や診察を行い、週に1度、森ノ宮分院で診察をしていたのですが、その後、独立するという話が出て、私が承継、開業することになりました。森ノ宮分院にはいろいろな医師が日替わりで診察に来ていましたが、承継して私が常勤すれば治療の継続性も図れます。私自身も40代を迎え、子どももさらに1人増え、これからの働き方について考える時期に来ていたので丁度良いタイミングだと思いました。
幼稚園の園医も地域活動も精力的なかかりつけ医
「医療法人ナデシコ会 森ノ宮なかがわ眼科」の特徴は?

開業当初から、身近な目のかかりつけ医として地域の皆さまに愛されるクリニックをめざしてきました。2025年3月に法人化した際、「ナデシコのように地域の皆さまに親しまれ愛されるように」という理念を込めました。学校の検診で弱視や斜視を指摘された子どもから、初めてコンタクトレンズをつける学生、老眼が始まった中高年、白内障や緑内障などの疾患を持つ高齢者まで、幅広い年齢層の患者さんが来られます。定期的な検診で変化や異変に気づき、病気の説明をしてその後の対処を一緒に考えていく予防医学寄りの診察を行うことが多いです。検査のための機械は一通りそろっていますが、手術設備はないので、手術が必要な場合は近隣にある地域の基幹病院を紹介しています。
学校保健に関わるようになったきっかけを教えてください。
2022年4月から、近くにある玉造幼稚園の園医をしています。園の検診で弱視や斜視と判断した園児が来院することもありますし、一緒に来られる親御さんに気になる症状があれば一緒に診察もしています。近年は近眼の子どもが増えているという背景もあって近視を矯正するために、特殊なレンズで角膜の形の矯正を図るオルソケラトロジー治療を受ける患者さんも多いですね。また、今年度から中央区学校保健協議会の役員を務めることになりました。現在は会議への出席が中心ですが、現場の学校保健の話を聞くことですごく勉強になりますし、眼科医の立場から子どもたちの健康に貢献できたらうれしいですね。医師会活動を通じて内科、小児科、耳鼻科などさまざまな科目の先生方と一緒に仕事できるのもいい刺激になっています。
診察する上で心がけていることはなんですか。

少しでも前向きな気持ちになって帰ってもらえるようにすること。当院で治療をして良くなってほしいという思いももちろんありますが、当院で治療ができなくても、「この病院に行けばこんな先生がいて、こんな治療ができますよ」と教えてあげることで、患者さんは前向きな気持ちになれると思うのです。近隣の病院を紹介した患者さんが手術を終えてニコニコして帰ってこられると、私もうれしいですしね。あと、特に心がけているわけではありませんが、子どもの患者さんには母親目線で接することが多いです。子どもにとって病院は敷居が高いところですから、少しでも親しみやすく感じてくれればそれでいいし、それも私の強みだと捉えています。親御さんとも、子育ての悩みなど、共有・共感できることが多いので、医師と患者の関係にとらわれず一緒に成長していけたらいいなと思っています。
医師を志す次の世代に伝えたい、私自身の生きる道
今後はどんなクリニックをめざしていきたいですか?

身近な目のかかりつけ医として、地域の人たちの目の健康を長くサポートしながら、私と同じく子育てをする親世代の人たちがすぐに相談できるようなクリニックをめざしていきたいと考えています。振り返ってみれば、医学部をめざしたのも、眼科に進んだのも、開業医になることを選んだのも、自分の強い意志というより、自分がその時にいた環境の中で周りの影響も受けながら決めてきたこと。受け身といえばそれまでですが、求められるものにうまく乗ってきたような気もしていて、今では求められることがあるのならそれが自分の生きる道だと思うようになりました。そして、子育て支援の恩恵を受けた者として、こういうキャリアやライフプランもあることを次の世代に伝えていくことも医療の未来に対する務めだと思っています。
仕事と家庭の両立で心がけていることを教えてください。
例えば、日々の買い物や掃除はアウトソーシングするけれど、子どもの保護者会は参加するなど、自分がしなければならないことと他人に任せてもいいことを区別して行動するようにしています。女性は結婚・出産・夫の転勤など、ライフイベントのたびに大きな決断をしないといけない場面があります。そういったときに本音で相談できる女医の先輩やママ友などと、日々コミュニケーションを取ることも大切だと思っています。
読者へのメッセージをお願いします。

目に何らかのトラブルがある人は定期的に通院されると思いますが、何もトラブルがなくても年に1回は眼科で検診を受け、かかりつけ医を持ってほしいと思います。目の健康を維持するにはそれなりの投資も必要です。また、当院はお子さんの来院も多く、初めての眼鏡、コンタクトレンズの相談も増えています。初めてに寄り添いたいと思っていますし、当院では専門家のサポートのもと、装脱練習までしっかり行っていますから、遠慮せず気軽に相談してください。今後も地域に根差して皆さんに喜んでいただける診療を提供していければと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー/両眼16万6000円(税込み)
両眼レンズ代+治療費

