受診を苦手とする女性に向けた
女性医師による大腸カメラ検査
まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック
(京都市伏見区/石田駅)
最終更新日:2023/12/14
- 保険診療
日本人女性のがん患者数のトップが乳がんというのはよく知られていても、死亡数では大腸がんがトップだというのは意外と知られていないのが現状。「人間ドックで便潜血が陽性だったにもかかわらず大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けない女性が多く、特に40代では約4分の1もいらしゃいます」と危機感を募らせるのは「まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック」の船越真木子院長。女性医師が行う『恥ずかしくないつらくない大腸カメラ検査』を前面に掲げ、大腸がんの早期発見・早期治療にエキスパートとして全力で取り組んでいる。そんな船越院長の解説をもとに、大腸カメラ検査の目的や意義、具体的な流れなどを患者目線で詳しくレポートした。
(取材日2022年3月10日/情報更新日2023年12月1日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qどのような人が大腸カメラ検査を受けるべきですか?
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A
まずは自覚症状のある方ですね。下痢と便秘を繰り返す、おなかが張りやすいといった便通異常や血便があれば、内視鏡検査で一度詳しく調べるべきでしょう。また、健康診断などの検便検査で便潜血が陽性反応だった場合は、必ず検査を受けてください。残念なことに、便潜血が陽性なのに大腸カメラ検査を受けずに放置し、やっと受診した時には進行がんになっていたという方は大勢いらっしゃいます。大腸がんは、早期発見・早期治療ができれば治療の期待が大きい病気です。「検査さえ受けていれば」と後悔する前に、大腸がんの家族歴がある方は30歳、そうでない方も40歳を過ぎたら必ず一度は大腸カメラ検査を受けていただきたいと思います。
- Q大腸カメラ検査では、どのような病気が発見できますか?
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A
大腸カメラ検査では、大腸がんや将来がんに進展する可能性のある大腸ポリープを発見することができます。また慢性・急性の腸炎も大腸カメラ検査で診断がつく場合があります。慢性下痢型の過敏性腸症候群の場合、大腸カメラ検査で腸内に炎症や潰瘍がなければ、機能面に原因があると判断することも可能です。このように大腸がんやポリープだけでなく、さまざまな症状の原因を大腸カメラ検査によって特定し、治療や改善につなげることが可能なわけですね。早期の大腸がんの場合は便潜血が陰性と出るケースもありますから、やはり適齢になった方、少しでも自覚症状がある方には大腸カメラ検査の受診をお勧めします。
- Q大腸カメラ検査には苦痛を伴うイメージがありますが……。
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A
現在は検査で鎮静剤を用いるのが一般的ですので、検査中に苦痛や不安を感じることはまずないでしょう。ですが、鎮静下であっても内視鏡(カメラ)を扱う技術は重要なポイントとなります。大腸の形は人によって異なり、決まったセオリーは特にありません。そこは担当する医師次第で、ある意味腕の見せどころでもあるでしょう。当院ではそうした技術に加え、鎮静剤や下剤にもバリエーションをもたせるなど、その患者さんに最適な検査を行えるよう心がけています。また、女性には特に配慮し、女医の私が検査を担当することはもちろん、さまざまな工夫で心理面でのハードルを下げ、誰もが受診しやすいように環境を整えています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・診察と下剤の処方
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まずは問診票に記入し、医師の診察を受けて検査が必要かどうかが決定される。健診結果や症状などはこのときに伝え、既往歴の記録やお薬手帳があれば持参しよう。大腸内視鏡検査には下剤の処方が必要で、事前に受け取り自宅で飲んでおくのが一般的。同院では4パターンの下剤を用意し、患者の希望や体質、生活背景などから適した下剤の処方を行うという。
- 2検査当日の事前準備
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自宅で下剤を飲んできた場合、まずは検査着に着替えて看護師の確認を受け、問題がなければ点滴による鎮静剤の投与が行われる。通常は前処理室でルートを確保をした上で検査室にて鎮静を行うが、すべての処置を検査室のストレッチャー上で行うこともあるという。同院では鎮静剤を2種類用意するなど、苦痛の低減と安全性の両面に配慮したきめ細かな処置を行うようにしているとのこと。
- 3大腸内視鏡検査の実施
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全身麻酔とは異なり完全に眠ってしまうことはないが、鎮静剤を用いることで検査中のことをほとんど覚えていない場合も多いのだとか。検査自体の所要時間は、およそ20分。検査中に万一小さなポリープが見つかった場合は、事前に承諾しておけばその場で切除も可能。小さな電気ワイヤーでポリープだけを安全に切り取っていくよう繊細な処置が行われる。原則、検査を含めたすべての医療行為に保険が適用される。
- 4検査後はリカバリールームにて休息
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検査後は鎮静からの回復を待ち、リカバリールームで30〜60分間程度の休息をとる。ぼんやりとした状態のまま徒歩で移動するのは危険という配慮から、検査時に横たわっていた可動式のストレッチャーのままリカバリールームへ搬送するのが同院での鉄則。作用が切れるまでの時間には個人差があるため、すぐに回復しないからと不安になる必要はない。落ち着くまでは無理をせず、リラックスして過ごすことがポイントだ。
- 5医師から検査結果の説明を受ける
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回復後、診察室にて医師による結果説明を受ける。何も問題がないケースもあれば、微妙な初期サインや病変が見つかるケース、より精密な検査や外科処置のために専門の医療機関の受診が必要なケースもある。どんなに深刻な事態であっても、この時点で発見できたことは少なくともグッドニュース。医師の診断やアドバイスに従い、一刻も早い治療や改善に取り組んでいくことが何より重要と捉えよう。