船越 真木子 院長の独自取材記事
まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック
(京都市伏見区/石田駅)
最終更新日:2025/08/07

京都市営地下鉄東西線石田駅から徒歩2分の「まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック」は、内視鏡検査や大腸がんの早期発見・治療に注力している。院長の船越真木子先生は、上品な印象だが、明るく気さくな人柄で話しやすい雰囲気だ。「気になる症状があったら迷わず検査に来てください」と、呼びかけ、大腸がんなどの早期発見に取り組む船越院長。近隣のクリニックとも連携し、リスクのある患者が検査に踏み出す後押しをしている。また、同クリニックでは、社会人や子育て中の人も検査が受けやすいよう、胃と大腸内視鏡検査の同日実施や土日・早朝の検査も実施している。「患者さんの希望を把握し、一人ひとりに合わせて対応したいです」と、患者に寄り添った診療をめざす船越院長に、大腸内視鏡検査の重要性やがんの早期発見への思いを聞いた。
(取材日2025年5月20日)
女性が受けやすい大腸内視鏡検査をめざす
クリニックの特徴について教えてください。

当クリニックでは、女性が安心して大腸の内視鏡検査を受けられる体制を整えています。大腸がん検診で要検査となった40代女性の約4分の1は精密検査を受診しない現状があり、男性医師にはデリケートな相談がしにくいもの。当クリニックでは、非常勤も含めて女性医師が4人在籍しているので、気兼ねなく受診していただけると思います。看護師などのスタッフも増員し、より多くの患者さんに対応できるようになりました。適切なタイミングで内視鏡検査を受けることが、胃がんや大腸がんの早期発見につながります。がんになっても初期段階で発見できれば治療できる可能性もありますから、リスクの高い人がもっと検査を受けやすいように、当クリニックではさまざまな工夫をしています。もちろん、内視鏡検査以外に、一般内科や消化器内科、生活習慣病などの診療にも対応しています。
内視鏡検査で工夫しているポイントはありますか?
当クリニックの内視鏡検査は、曜日や時間の柔軟性が高いです。「モーニング大腸カメラ」では、朝5時から下剤を服用して出勤前に検査を終えることができます。胃と大腸の内視鏡検査を同日に受けられるのは、患者さんが来院するために予定の調整を行ったり、お仕事を休んだりする回数を減らすためです。また、土日にも検査枠を設けています。検査については、患者さんに合わせて2種類の鎮静剤を使い分け、眠っているような状態になっている間に検査が終わることをめざしています。患者さんにとって苦しい感覚が少ないほど、定期的な検査につながりやすいからです。大腸カメラでは、検査後のおなかの張りを抑えるために炭酸ガスを用いています。検査を受けやすい環境を整えることで、患者さんの不安を取り除いてあげたいですね。
どのような場合に検査を受けたほうがいいのでしょうか?

胃は30歳、大腸は40歳を目安に一度は内視鏡検査を受けてほしいですね。一度検査をした後は、医師の指示に従って次回は5年以上開けても問題ないことも多いです。胃がん・大腸がんは、男女ともにがん死亡数の上位に入り、症状が出た時にはすでに進行しているケースが多いのが現状です。そのため、特にご家族に胃がん・大腸がんの罹患者がいる場合は、胃の痛みや血便といった明確な症状がなくても、おなかの張りなど些細な違和感だけでも早めに受診してください。「大腸がん検診をしているから大丈夫」と思うかもしれませんが、内視鏡検査をお勧めします。検診では検便しかないので、早期がんやポリープを見つけるのが難しいというデータもあります。早期発見が何よりも大切ですから、まずは内視鏡検査を受けていただきたいですね。
患者に「来て良かった」と思ってもらいたい
船越先生が大腸内視鏡検査を推進される理由を教えてください。

胃については、以前に比べて内視鏡検査が一般的になりピロリ菌の除菌治療も普及したことで、胃がんによる死亡率も減少傾向にあるとされています。一方で、大腸についてはまだ内視鏡検査が十分ではないと思います。その理由としては、やはりデリケートな臓器ということもあり、人に相談したり検査を受けたりすることに抵抗があるのでしょう。私としては、内視鏡検査が必要なのに、興味・関心がない潜在層の患者さんたちを啓発して、大腸の進行がんを少しでも減らしたいという思いがあります。早めの内視鏡検査によって初期のがんが見つかり、助かったというケースも多いですから、他人事だと決めつけずに検査を受けに来てほしいです。
検査後のフォロー体制について教えてください。
検査結果をお伝えする際には、看護師が同席してフォローすることもあります。スタッフ自ら判断して、必要なときには同席する形です。検査後、鎮静剤が抜けるスピードは患者さんによっても違います。結果を長々と説明を受けても帰宅したら忘れてしまうので、ポイントを絞ってわかりやすく伝えるようにしています。検査で異常が見つかった場合は、薬に頼る前に生活習慣を整えることが大切です。患者さんごとに伝え方を工夫しながら、生活習慣の見直しによる症状の改善をめざします。
診療の際に心がけていることはありますか?

患者さんに「来て良かった」と思っていただけるよう、常に患者さんの要望を把握できるように心を配っています。例えば、「お薬が欲しい」とか「おなかを触って診てほしい」といった、患者さんそれぞれのニーズに寄り添うことを大切にしています。患者さんにしてみたら、気がかりな症状があり、具合が悪い中でクリニックに来ていますし、私たち医師やスタッフに「診てもらう」という立場ですから、ある意味引け目を感じるのではないでしょうか。こちらの態度によっては、患者さんはより弱い立場になってしまいますから、配慮しながらうまく悩みや困っていることを引き出せるような声のトーンや言葉遣いを意識していますね。
もっと身近な検査で地域に貢献したい
スタッフの連携と育成について教えてください。

週1回のミーティングを通じて、職種間の垣根なくコミュニケーションを取っています。各スタッフには、ジョブシェアで職種の垣根を越えた業務をしてもらっています。マルチタスクでいろいろな業務に挑戦することで、クリニック全体がレベルアップし、スタッフ自身も広い視野が身について成長につながるという考えです。スタッフ同士の仲も良く、お互いに切磋琢磨していて、良いスタッフに恵まれたと感じます。また、患者さんが安心して受診できるように、接遇についても日々練習していますよ。他には、働き方改革の一環として常勤スタッフの勤務時間を週36時間に減らしました。 将来的には週32時間まで減らしていきたいです。スタッフが生き生きと働ける環境が、患者さんへのより良い医療提供につながると思います。
地域医療への貢献についてどのように考えていらっしゃいますか?
大腸がんは早期発見が大切とわかっていても、さまざまな理由から内視鏡検査を受けない方がまだ多くいらっしゃいます。地域全体で内視鏡検査を推進していくことが患者さんのためになるとの思いで、近隣のクリニックに足を運び、先生方に当クリニックの強みをお伝えしています。患者さんにしても、いつも診てもらっていて信頼できる医師から検査を勧められたら、「じゃあ受けてみようかな」という気持ちになるはず。また、駅やバスなどに看板を出し、気になる症状があったときに検査のことを思い出してもらえるように工夫しています。当クリニックだけではなく地域で連携して、患者さんに内視鏡検査の重要性を認識してもらう活動を続けていきたいです。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

繰り返しになりますが、ちょっとしたことでも症状があったらすぐに検査に来てほしいと思います。今後は、午後に半日休みを取れば検査ができる「ナイト大腸カメラ」の新設も検討していて、より患者さんの希望に合わせた柔軟な検査体制を構築していくつもりです。苦痛の少ない内視鏡検査をめざしているので、以前に検査を受けて苦しい思いをした方も、一度受診してみてください。万が一、がんが見つかった場合、発見のタイミングが命の分かれ目になることがあります。検査を受けなかったことを後悔してほしくないので、何かあればちゅうちょせず相談してください。
自由診療費用の目安
自由診療とは上部内視鏡検査/1万4000円
下部内視鏡検査/2万4000円
上下部内視鏡検査セット/3万6000円