体全体に影響を及ぼす顎関節症
音や痛みがあればすぐに歯科医院へ
小倉ゆめ歯科おとな歯科こども歯科
(北九州市小倉北区/城野駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
「顎関節症」と聞くと、口が開かなくなる、カクカク音が鳴る、というようなイメージが浮かぶ人も多いだろう。しかしそれゆえに軽い病気だとも考えられがちだ。「音が鳴る程度の軽い症状であればかかりつけ医でも対応できますが、放置し、ひどくなると大学病院の口腔外科で手術を要する場合も。甘く見ることなく、気になる症状があればすぐに診察を受けてください」と警鐘を鳴らすのは、「小倉ゆめ歯科おとな歯科こども歯科」の山西喜寛院長だ。顎関節症は頬づえなどといった日常的な動作、さらには歯科の治療もが引き金になることもあるという。「だからこそ歯科に相談してほしいんです。顎関節症という単一の病気ではなく口全体のリスク管理も大切ですから」と語る院長に顎関節症の原因や治療の流れなどを聞いた。
(取材日2021年8月25日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q顎関節症にはどんな症状がありますか?
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A
症状は実にさまざまで、カクカク・ジャリジャリという音がする、顎が痛い、口が開かない・閉じないなどは皆さんもよく耳にされると思います。症状が単独で出る場合もあれば、音がして痛みもあるなど複合的に出る場合もあります。原因もさまざまで、何が原因だとは一概に言えません。噛み合わせに偏りがあることが原因になったり、歯ぎしり、頬づえ、さらには吹奏楽での楽器演奏がきっかけで、という方もおられました。また歯科治療が症状を引き起こすこともまれにあります。歯ぎしり防止のマウスピースをつける、虫歯治療でかぶせ物をするなど、些細な出来事であっても体にとっては大きな変化であり、症状の引き金になるということもあるのです。
- Q顎関節症は何科に相談するべきなのでしょうか?
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A
歯科です。まずは地域の歯科を訪ね、症状の詳しい内容や重症度をしっかり調べてもらってください。口が開かない・閉じない、ひどい痛みがあるといった日常生活に関わる重い症状の場合は大学病院の口腔外科などに紹介することもあります。一方でかかりつけ医で対応できる場合は、原因を見極めた上で院内でできる処置を行っていきます。例えば歯ぎしりが原因だとわかればマウスピースをつけてもらう、などです。大切なのは音や痛みといった軽い症状を甘く見ないこと。炎症がひどくなれば顎の部分に穴を開け、生理食塩水などで患部を洗い流すことなども必要になってきます。長期化を防ぐためにも思い当たる症状があればすぐに歯科を訪ねてください。
- Qもし症状を放置すると、どんなリスクがありますか?
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A
かなり症状が進むと、拘縮といって関節が硬くなり、その結果、関節の動きが制限された状態になってしまうことも。そうなると大がかりな手術も考えられるようになります。他の病気と同様に放置すればするほど重症化しますし、リスクも大きくなります。ぜひ「音が気になる」「ちょっと顎が痛い」くらいで来院されることをお勧めします。また音がある場合はつい気になってご自分でカクカク鳴らす方もおられますが、こちらも症状を悪化させる要因になるため控えていただきたいですね。それに口が開かない・閉じないとなれば食事や会話もままなりません。体全体にも影響する病気なのだということをしっかり認識してほしいと思います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・相談
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顎関節症の症状を自覚している場合は、来院し、問診票に気になる症状を記入する。同院では21時まで対応しており、急な痛みや症状が出ても相談しやすい環境だ。また虫歯・歯周病など他の治療で通院している最中でも、「実は先日から顎の痛みがあって」などの相談をすることも可能だという。顎関節症は軽い病気と捉えるのではなく、小さな症状のうちに早急に対処するという意識を持って歯科医院に向かいたい。
- 2検査
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まずはエックス線を撮り、顎の関節の状態を確認。加えて触診、口の開口量などを確認し、症状の程度を含め診断を行う。顎関節症は重症度によって5つのステージに分けられており、どこに該当するかによって治療法も変わってくるため、検査は欠かすことのできない重要な項目だという。また同院では、クリニックでの治療が難しいと判断すればすぐに近隣の大学病院などに紹介し、適切な治療へと移行する体制も整えている。
- 3検査結果の説明
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検査結果を踏まえ、今後の治療の流れを患者に説明。さらに問診などでは聞き取れていなかった点などをさらに深堀りし、症状に関係することがらを丁寧に照らし合わせていく。話を進めていくうちに「そういう症状もあります」という患者側からの気づきを促すためでもあるという。患者との対話によって診断の精度を高め、より適切な治療が受けられるよう導いていく。
- 4治療
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同院では痛みがあれば鎮痛剤や抗炎症剤を処方し、安静にしてもらうという。その後の状況によってマウスピースのほか、筋肉のマッサージなども必要に応じて取り入れていく。注意したい点としては、かかりつけ医が対応できるのは“患者自身で日常生活を送れる状況にある”こと。それ以上の重い症状になれば、大学病院などの専門機関での治療が必要になる。日常生活に支障があるかという点が判断基準となることに留意しておきたい。
- 5治療後のケア
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大学病院への紹介となり、そこでの手術となっても、術後のケアなどは地域のかかりつけ医である同院が対応するというスタンス。また治療後のケアだけではなく、「顎関節症を単一の症状として診るのではなく、虫歯、歯周病の予防や歯のメンテナンスなどを含め、常日頃から包括的にリスク管理をしていくという視点が非常に大切です」と山西院長は語る。