小島 帯 院長の独自取材記事
小島ファミリークリニック
(各務原市/新那加駅)
最終更新日:2022/10/24

循環器内科を中心に糖尿病内科、内科と幅広く診療を行う「小島ファミリークリニック」。小島帯院長が2021年に開院した。小島院長の専門は循環器内科で、岐阜大学医学部卒業後、勤務医として主に心筋梗塞、心不全、狭心症などの心臓疾患、また高血圧、不整脈、糖尿病に携わってきた。若手医師時代には、心臓カテーテル治療に精通する先生のもとでの修業も経験。岐阜県総合医療センターでは、糖尿病患者のフットケアに着目し「足の外来」の立ちあげも行ったという。そんな小島院長だが、「専門領域にとらわれず、皆さんの家族の一員であるようなクリニックでありたい」と気軽な来院を呼びかける。そんな小島院長に、これまでの経歴やめざすクリニックについて話を聞いた。
(取材日2022年3月17日)
家族の一員であるような医師でありたい
ご開業された理由を教えてください。

この地域に医師として貢献したいという思いですね。クリニックの場所が、卒業した小学校の学区なのです。総合病院で長年循環器内科の医師として勤務していたので、ハートクリニックなど専門性の高い名前にしようかとも考えたこともありました。ですが、自分が生まれ育ったところで暮らしている地域の方々が安心して通えるかかりつけ医でありたいと思い、専門色は出さず家族のようにいろんなことを相談していただけるような医師になりたいと「ファミリークリニック」という名称にしました。小中学校の同級生から開業の話が広まり、花飾りをもらったり内覧会にもたくさん来てくれたりとうれしいですね。
院長先生が診療で心がけていることはありますか。
「患者さんは、数々の不安を持ち精神的に落ち込んだ状態で診察にくるので、話をしっかり聞き患者さんの不安に共感して、病気より前に心のケアをしてあげなさい」と、研修の最初に恩師に言われた言葉を開業してから特に大事にしています。総合病院での勤務医時代は、患者さんの目的ははっきりしていて、私が行える治療技術を提供するために医療をやっている感じでした。しかし、開業してからは、心臓病よりもどこかが痛いとか熱があるなどさまざまな患者さんがいらっしゃいます。ですので、今はなるべく時間をかけて、特に初めての患者さんからは、不安な思いをくみ取れるようじっくり向き合っています。例えば最年長の患者さんは今年100歳になられるのですが、お祝いしてあげようかなと。医師と患者の関係を超えた深いつながりで地域を見ていきたいですね。
患者さんが多いときの対応はどうしていますか。

飛び込みでも診させていただいていますが、お話をじっくりと伺いたいので予約制を基本に時間の余裕をとっています。総合病院ですと、まずは看護師が話を聞いて検査を先に行って医師の問診は最後というケースが多いですが、当クリニックでは検査の合間に一度お話を伺い、なぜこの検査をするのかご説明させていただき、患者さんにご納得いただけるような体制にしています。
専門医師の視線で糖尿病合併症の予防や治療に注力
先生のご専門である心疾患や血管の異常など、受診を勧める症状はありますか?

胸が苦しくなったり痛くなったりするというのは相当に進行した症状だったりするので、さすがに皆さん受診されると思います。初期症状として注意していただきたいのは、息切れと足にむくみがある場合です。ところが息切れがある場合、人間の体は無意識に歩くスピードや距離をセーブするのです。そうなると無自覚でいる場合があり、知らず知らずのうちに病状が進行してしまいます。息切れの表れかもしれない疲れや体のだるさと足のむくみを気にかけてください。あとは高血圧です。現在の医学では、高血圧は心不全のステージAだと言われています。上の血圧が190~200まで上がらないと無症状なので注意が必要です。自宅で測って上が150を超える方は、年齢問わず一度ご相談ください。問診の際にこれらの点には必ず気を配っています。
心疾患と糖尿病の関係を教えてください。
糖尿病は合併症が起こりやすい怖い病気です。腎臓病や網膜症がありますが、循環器内科医から見ますと、糖尿病は神経障害が起こるので狭心症や心筋梗塞が、痛みが出ないまま重症になってから発見されることが多いのです。当クリニックには糖尿病療養を専門的に学んできた看護師がおりますので、家での食事や外食の仕方など食生活の指導相談を大事にしています。また現在は、糖尿病治療のインスリン注射もそれ自体を打つのではなく、インスリンの分泌を促進するための薬剤があります。これは1週間に1度の注射で済みます。
糖尿病の合併症予防としてのフットケアについて教えてください。

糖尿病の合併症である神経障害になると足先の感覚が失われていきます。足が傷ついても感じなくなるので、足指の変形や水虫、靴擦れに気づかなくなりがちです。さらに網膜症のため視力が落ち、深爪をして傷ついてもそのままということも。同時に血流障害も起きているので傷も治りにくくなります。放置が続くと足潰瘍や足壊疽(えそ)になり、最悪、足を切断となってしまいます。勤務医時代は足潰瘍の治療を長年やってきたのですが、それでは切断の回避が難しかったですね。足潰瘍予防のために定期的なケアをすることが切断の低下につながると思います。当クリニックでは積極的かつ専門的な足潰瘍予防に力を入れています。
循環器内科の専門性を兼ね備えた地域のかかりつけ医院
医師を志した理由はなんでしょうか。

地元の岐阜高校に進学し、論理的な教科である数学が好きでしたので理系を選びました。また、人体や遺伝子に興味はありましたが、特に覚えているのは父からのアドバイスです。父は当時からクリニックを多く手がけていた建築設計士でした。クライアントの開業医さんとやりとりする中で「やりがいがある仕事」と深く知った父から進められたことも医師という職業を意識したきっかけの一つですね。岐阜大学医学部に進学し、専門領域を心臓に決めました。人間の命をつかさどるコアな臓器で、例えば血液を多く入れると心拍数が増えるなど物理学的というかロジックがしっかりしている臓器だというところに私の理系頭脳は引かれましたね。そして、卒業時に循環器内科の道を選びました。
若手医師時代に心臓カテーテル治療についても専門的に学ばれていたそうですね。
大学病院と総合病院でそれぞれ1年勤務した後に、北九州の病院に派遣されました。そこは日本でも早くから心臓カテーテル治療を取り入れ、また普及に努められた先生がいらっしゃったので、その治療を間近で見て指導を受けられたことは私の大きな財産ですね。派遣が1年間限定と決まっていたので、早く術式を習得できるよう病院側も、数多くの症例にあたる機会を設けてくれたこともありがたいことでした。
最後に患者さんにメッセージをお願いします。

病気になると、不安ですが、診察後は少し明るい気持ちになって帰っていただけたらなと。そのために、ただ薬を処方する診察ではなく患者さんの前回から今回までの間に何があったのかに気を配りたいです。家族全体の健康とか、生活とか病気とかに関する不安を共有できるクリニックでありたいですね。ご家族の中に医者がいれば気軽に何でも相談できますよね。「私が治す」ではなくて良いので、その最適な医療への近道を見つけてあげる窓口になれると良いなという思いで日々診療しています。また、カテーテル治療を受け状態が安定した後、継続治療を受けられるクリニックを探していらっしゃる方は一度ご相談いただければと思います。