痛みの軽減と機能の回復をめざす
人工関節置換術
多治見スマートクリニック
(多治見市/多治見駅)
最終更新日:2024/10/02


- 保険診療
年齢を重ねるにつれて、「膝関節が痛くて歩行しにくい」「股関節の痛みで日常生活に支障が出ている」などといった悩みを抱えるようになった人は、少なくないだろう。加齢などによって関節の軟骨部分がすり減り、膝や股などに不調が起こるこの症状。代表的なものでは変形性膝関節症や変形性股関節症といった疾患があり、痛みが進行すると日常生活もままならず、生活の質がぐっと下がってしまう。そんな状況に光を差すのが、人工関節置換術だ。壊れた関節を人工関節に置き換えることによって、痛みの軽減と機能改善が期待できるものだ。この希望のある人工関節置換術に注力する「多治見スマートクリニック」では、専門家による質の高い治療を受けることが可能だ。今回は、この人工関節置換術を得意とする小林貴幸先生に、詳しく話を聞いた。
(取材日2024年8月26日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q人工関節置換術とはどのような手術でしょうか。
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A
骨と骨をつなぎ合わせる関節の表面にはクッションの働きをする軟骨が存在します。この軟骨がすり減ると、骨と骨がぶつかり滑らかな動きが阻害され、変形が起こったり、痛みが生じたりします。人工関節置換術は、これらを解決することが期待できる治療です。手術は基本的に保険診療となります。全身の各関節に人工関節置換術はありますが、一番は膝、次いで股の需要が圧倒的に多いです。痛みの主要な原因は、変形性膝関節症、変形性股関節症で、多くは加齢によるものです。今は人工物の寿命が延びているため、痛みが強い場合40代の方でも手術を行う場合があります。その場合、一生涯に一度は人工物の入れ替え手術が必要となる可能性があります。
- Q人工関節置換術はどのような方にお勧めですか?
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A
大きくは、膝、股の関節が痛くて困っている方になります。ご本人の訴えがあり、変形の大小や壊れ方の程度を調べますが、その結果から手術をするかどうかを医師が決めるのかというと、そうではありません。ご本人の年齢や状況によって、何年か後だと体力が落ちていて厳しいかもしれないなどといった場合に手術への背中を押すことはありますが、症状を正確にお伝えして、最終的に患者さんに決めていただきます。例えば、一見すると壊れ方が軽い方であっても、仕事に支障があるなど、目的によって決断される方もいるでしょう。痛みの度合いや困り具合は個々で異なりますので、手術をするタイミングはご本人に決めていただくということになります。
- Q手術後に気をつけることはありますか?
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A
手術は少なからず体にダメージを与える行為で、術後の体の回復にはある程度時間が必要です。調子が良いからと早い時期に動きすぎるのは回復の遅れにつながるため控えたほうがいいでしょう。個人差もありますが、半年から1年程で腫れが引き、ご自身の体に人工関節がなじんできます。その間は経過を見ながら一人ひとりに合ったアドバイスをしていきます。術後は理学療法士のもとリハビリテーションを行いますが、不安軽減や指導管理の意味合いが強いです。当院の入院期間の目安は片膝で約1週間、病室は全室個室です。入院の延長を希望される場合、空きがあれば対応可能ですが、難しい場合はリハビリ専門病院への転院をご提案します。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1診察・術前評価・治療
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まずは痛みの原因、変形の程度を調べ、診断が行われる。現在の症状や治療方法の説明の後、手術をするかどうか、また手術をするならどのタイミングで行うのか、患者の要望をもとに方針を決めていく。同院は人工関節置換術を専門として掲げていることもあり、手術目的で受診する人が多いという。術前の細かな検査や保存治療の過程をすでに他院で行っている場合は、手術の決定から実施へとスムーズに進む体制が整っている。
- 2術前リハビリによる筋力強化
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術前に筋力強化のためのリハビリを実施。痛みがある場合は簡単にはいかないが、痛みの許す範囲で慎重に行っていく。「術後の経過を円滑にしていくためにも、術前に少しでも筋力を上げておくことは重要です」と小林先生。手術はあくまで痛みという一つの障害の除去を図り、動きを滑らかにしていくために行うものなので、手術だけで筋力が戻るわけではない。だからこそ術前の筋力強化が役に立つのだという。
- 3手術についての説明の後、いよいよ手術開始
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手術前に術中や術後に起こり得る感染症や血栓、合併症などのリスクについての説明を受ける。人工関節置換術は進歩を遂げているとはいえ、すべての人の痛みを取る万能なものではない。そのため、患者の認識と実際の術後の痛みの取れ具合に解離が生じないよう丁寧な説明を心がけているという。手術は病状や患者の希望に応じて全身麻酔か下半身麻酔かを選択。全身麻酔の場合は麻酔科の医師による全身管理のもと安全性重視で行われる。
- 4術後リハビリ
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術後の日常生活動作に不安がある場合は、保険診療範囲内で術後も週に1回程度のリハビリが受けられる。ただ、術後リハビリは指導管理の意味合いが大きく、かつ通院の手間や費用の負担もあるため、同院ではリハビリプログラムの提案はしているが、実際に行うかどうかは患者本人の判断に委ねているそうだ。もし術後リハビリを自宅の近くのクリニックで通いたい場合は、紹介状を書いてもらうことも可能。
- 5退院後の通院
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人工物の入れ替え手術が必要となるような異常は、早期に見つけて対応する必要があるため、術後の定期検診は不可欠。最初は週に1度、異常なく傷の回復も良ければ徐々に間隔を空けていき、安定したら1年に1度継続して定期検診を受ける。定期検診では併せて骨粗しょう症の進行度もチェックし、骨密度の数値が悪い場合は、骨粗しょう症の治療も並行して行う。骨を丈夫にし続けることは人工物の持ちの良さにもつながるという。