小林 貴幸 先生の独自取材記事
多治見スマートクリニック
(多治見市/多治見駅)
最終更新日:2025/03/03

多治見駅から車で6分の場所に「多治見スマートクリニック」はある。整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科を標榜する同院では、特に人工関節に関わる手術に力を注いでいる。そんな同院にて2024年から診療に取り組むのは、小林貴幸先生。膝・股関節の人工関節手術を専門とし、長年研鑽を積んできたエキスパートだ。より厳しい環境に身を置き、自身の技術をさらにブラッシュアップするため、同院への入職を決断した。「目の前にいる患者さんにとって日本一、世界一の医師でありたいのです」。そう真っすぐに、力強く語る小林先生。患者に良質な医療を提供するため、常に努力を続けてきた。患者への思いも人一倍強く、傾聴し患者の不安な気持ちに寄り添うことも大切にしている小林先生に、今までの経験や診療時の心がけ、今後の目標など、多くの話を聞いた。
(取材日2024年8月26日/情報更新日2025年2月13日)
人工関節手術に専門特化し、良質な医療を提供する
クリニックの特徴を教えてください。

当院は整形外科はもちろんのこと、皮膚科、耳鼻咽喉科もあります。有床診療所で手術室もありますので、病院に近いイメージですね。総合病院はさまざまな診療科がありますが、当院では人工関節手術に専門特化しているのが最大の特徴ともいえます。今は医療機関を患者さんが自由に選択できますので、良質な医療を提供できなければ、患者さんに選んでいただけない時代です。そのため、当院では専門的な医師が多く在籍し、当院の中でも切磋琢磨しています。「人工関節手術においてはお任せください」、と自信を持って言えるよう、クリニック全体で高め合い、日本トップレベルの医療の提供に努めています。
小林先生がこちらに入職されたのは、どういった理由からでしょうか?
より厳しい環境に身を置き、人工関節手術の技術を高めたいと思ったからです。より自身の技術を磨いていくには、人工関節手術に特化したクリニックで、技術競争の激しい環境に身を置くことが必要だと感じたのです。手術の巧拙を明確に測る物差しはありません。そんな中でいかに患者さんに信頼していただけるかが大切です。目の前の患者さんに誠実に向き合い、一つ一つ丁寧に積み上げていくしかないと考えています。患者さんの幸せな生活につながるよう、労をいとわず努力を惜しまずに、新しい技術を習得しより高みをめざして、より良い医療を提供し続けたいと思っています。
小林先生は今までどういった経験を積まれてきたのですか?

人工関節手術に関しては10年以上携わっています。他の医師が担当した手術も含めて、当院全体としては2021年4月から2024年12月の間に、約900件の手術を行いました。いずれにおいても、お一人お一人にしっかりと向き合ってきたという自負があります。症例数を求めてしまうと、一つ一つの手術が日常業務のようになってくる部分があるかもしれません。しかし、私はお一人お一人と密に関わることのできる機会をつくるよう努め、しっかりと集中できる環境を求めました。また、その一回の手術でもし自身の技術に足りない部分があったら猛烈に反省をして、次に生かせるように勉強し、誰にも負けないくらいの努力を積んできたと思っています。愛してやまない人工関節手術に、命を懸けて取り組んできました。
治療後のその先の、患者の笑顔を支えたい
人工関節手術を愛してやまなくなったきっかけは何でしょうか?

治療後の患者さんの笑顔に他ありません。人工関節手術は、歩けなくなって痛みでつらい生活をされていた方でも、手術という方法で笑顔になっていただける可能性が期待できる。もうこれは何にも代えがたい喜びです。つまり、自身の技術力を磨いて手を尽くせば、患者さんから笑顔が返ってくることに、魅了されているのです。
今までのご経験の中で印象に残っていることはありますか?
強く印象に残っているのは、痛恨ながら人工関節手術を受けたけれども、術後の経過が思わしくなかった患者さんのことです。人工関節手術は機能回復のための手術ですから、成功が当たり前とされ、今より悪くなることは許されないんです。にもかかわらずその方は、他の医療機関で人工関節手術を受けた後、感染症がきっかけで患部が悪化してしまい、私のもとを受診されました。結果的には人工物を抜かなければならなくなってしまったため、涙を流しながら「手術を受けなければ良かった」とおっしゃったんです。私はその時、医師である以上、絶対にこんなことを患者さんに言わせてはいけないと痛感したのを覚えています。感染症は人工関節手術のリスクの一つであり、そうした結果になった方の顔は、いまだに忘れられません。私の中では十字架のように背負っていくものでもあります。決してこのような結果を生まないよう、努力を続けていくと心に固く誓っています。
そもそも小林先生が医師をめざしたきっかけは何だったのでしょうか。

子どもの頃体が弱くて、医療機関に入院することが身近だったんです。命を支え助けることにつなげられる素晴らしい職業だと、医師という存在に憧れの念を持っていました。そして、医師になるには医学部に入ることが絶対条件ですから、どうしてもそこを乗り越えないといけません。たとえ熱意があっても勉強が嫌いだと、医師にはなれませんからね。私の場合、勉強することが苦にならなかったので、真っすぐに突き進むことができたのも、恵まれていたと思っています。整形外科を専門にしたのは、手先が器用で手術が好きだったからです。自分に生まれ持って備わったことが、医師になるための土台になっていると感じます。両親に感謝しなければなりませんね。
患者の不安な気持ちにも寄り添い、治療に取り組む
診療時はどういったことを心がけていらっしゃいますか?

お一人お一人の患者さんに対して、しっかりと時間をかけることです。手術適応の患者さんだからと手術して終わりにするのではなくて、手術の目的や治療の長所と短所などを、時間の許す限り丁寧にお話ししています。待ち時間も考慮する必要はありますが、忙しいとか、お金にならないことを理由にお話を聞かないことは決してないように、患者さんのお気持ちをしっかりと傾聴することを心がけています。
経験に基づいた技術を提供するだけでなく、患者さんの気持ちに寄り添うことも大切にされているのですね。
はい。体に異常がなくなるよう導くことができれば医学的に問題はないので、それで終わりでもいいのかもしれません。ですが、技術力があることは大前提として、それ以上に大切なことが患者さんとの関わりの中ではあると思っています。そして、それを大事にできる医師でありたいと思っています。患者さんは別の人間であるために、完全に気持ちを理解することは難しいかもしれませんが、その気持ちに寄り添うことはできます。「会えて良かった」「話を聞いてくれてありがとう」の言葉とともに、患者さんの笑顔が見られると、こちらもとてもうれしくなります。医師との相性もあると思いますので、しっかり目を見て話を聞いてくれる、この人なら命を預けられると思える医師、そしてクリニックに出会ってほしいなと心から願っています。
最後に今後の目標をお願いします。

クリニックの目標としては、人工関節手術において、まず東海一、そして日本一をめざしたいです。その日本一とは、目の前の患者さんにとって日本一、世界一のクリニックであり、医師であるということでもあります。もちろん、私よりも技術力に長けた医師はいらっしゃると思いますが、一番をめざして、「負けちゃいけない」という気持ちは常に持っていたい。それは忘れてはいけないと思っています。そこに至るまでに欠けているものもあれば、日々改善する努力をし続けなければなりません。少なくとも、お越しくださった患者さんにとっては、世界一でありたいのです。今まで培ってきた技術を総動員して、「この人だったら任せたい」と思われる医師でありたいと思っています。