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植松 淳一 院長の独自取材記事

悠翠会うえまつクリニック

(調布市/調布駅)

最終更新日:2021/10/12

植松淳一院長 悠翠会うえまつクリニック main

在宅医療に特化することで、病院と同レベルの医療の提供をめざす「悠翠会うえまつクリニック」。狛江市の「うえまつ在宅クリニック」の分院として2021年1月に開院した。両院を率いる植松淳一院長は在宅医療の経験に加え、長年の消化器内科医師としての知見を生かし、緩和ケア・看取りを中心としたがんの終末期医療にも対応。24時間365日体制で患者を支える。自宅で患者を看取るには医師らも相当な労力を要するが、それでも同院が多くの患者の希望に寄り添う理由は「責任感と熱意」だという。「在宅医療はこれからの医療の中心になるであろうからこそ、その重要性を社会に示していきたい」。そう力強く、そして朗らかに話す植松院長に、同院で提供する医療の詳細や在宅医療への考えなどを聞かせてもらった。

(取材日2021年2月28日)

在宅医療の本質は「患者の生活の質」を向上させること

今回、調布市にこちらをオープンした経緯を聞かせてください。

植松淳一院長 悠翠会うえまつクリニック1

私は2019年に狛江市に「うえまつ在宅クリニック」を開院したのですが、その頃から調布市の患者さんをたくさん診ていたのです。調布市には訪問看護ステーションやケアマネジャー居宅介護支援事業所は多くあるのに、24時間体制で患者さんを支えてくれる在宅医療専門クリニックが足りていなかったのです。少しでも地域に貢献ができればという思いから調布エリアでも開院することを決意しました。ここに開院したことで、狛江市に加えて、調布市、三鷹市、府中市と、より広範囲をカバーできるようになりました。

先生はなぜ、在宅医療専門のクリニックを開院しようと考えたのですか?

私は消化器内科医師として大学病院に長年勤務し、内科、救急医療、がん治療・緩和ケアを中心に診療してきました。その頃は在宅医療を行う医師らに患者さんをお任せする立場だったのですが、大切な患者さんたちがその後にどのような流れで診療を受けているのかと興味を抱き、アルバイトで在宅医療に関わるようになったのです。その中で「自分には在宅医療が向いている」と強く感じ、大学病院から在宅医療専門のクリニックに移って研鑽を積みました。

どんなポリシーを持って、在宅医療に取り組まれているのでしょう。

植松淳一院長 悠翠会うえまつクリニック2

在宅医療に求められるのは医療の質や専門性だけではなく、患者さんが家で過ごす生活の質を向上させることだと思っています。同じ病気を抱えている患者さんでも、経済状況や生活様式、ご家族の事情などは一人ひとり異なります。その患者さんが何を求めているのか、どんなふうに過ごすことがベストなのかを患者さんと同じ目線で考えることが大切だと思います。在宅医療を受ける患者さんの中には、人生最期の時間を迎える方もいらっしゃいます。その大切な時間を後悔なく過ごしていただきたいので、患者さんにとってベストだと判断すれば、「病気のことはあまり気にせず、好きなものを食べてもいいですよ」とアドバイスすることもあります。

諦めない姿勢、強い責任感でがんの緩和ケアにも対応

がんの緩和ケアに注力なさっているそうですが、その理由は何でしょうか?

植松淳一院長 悠翠会うえまつクリニック3

はい、当院では緩和ケアや看取りといった、がんの終末期医療にも注力しています。厚生労働省の調査によると、6割以上の国民が自宅療養を希望する一方で、残念ながらがん患者さんの自宅死亡率は1割に満たないというデータもあります。確かにがん患者さんを自宅で看取るのは非常に大変です。本人はもちろんご家族の負担も大きいですし、医師らも24時間365日体制でケアしなければなりません。自宅での看取りを途中で諦めて、「やっぱり病院に行こう」というケースもとても多いんです。そこをどうにか、私たちがサポートすることで最後まで諦めずに乗り切って、患者さんの希望をかなえたいと考えています。

どういった思いから看取りに多く対応されているのですか?

「最期まで自宅で過ごしたい」と希望する患者さんについては、できるだけその希望をかなえられるようにしております。それができる理由は、諦めない姿勢・強い責任感だと思います。せっかくわれわれを選んでくださったわけですから、その気持ちに応えたいというのが一番の原動力ですね。そういったニーズに対応するためにも、当院には医師も含め20人ほどのスタッフが在籍しています。ソーシャルワーカー、診療に同行する診療助手、診療コーディネーター、病院やケアマネジャーらとの連携を強化する医療連携部や、救命救急士が在籍する救命部も設け、病院と遜色ない体制をつくりたいと思っています。

皮膚科や精神科の医師も含めたチームを結成して、診療にあたると聞きました。

植松淳一院長 悠翠会うえまつクリニック4

当院には緩和ケア内科医師、精神科医師、皮膚科医師など、さまざまな分野のエキスパートが在籍しています。そういった専門家がチームとなって患者さん一人ひとりが抱える痛みや苦痛を可能な限り取り除く、総合的なオーダーメイド診療を意識しています。特に最近は在宅医療における精神科へのニーズが高まっていると感じますので、精神科医師がサポートできることは大きな強みになると思っています。認知症によってうつ病などの精神疾患を発症する高齢患者さんが増えていますし、若い方でも精神疾患が悪化して通院が難しくなり在宅医療を希望する方もいらっしゃいます。

在宅でも病院と同等の医療の追求を

病院と変わらないレベルの診療にこだわっているそうですね。

植松淳一院長 悠翠会うえまつクリニック5

24時間365日対応の訪問診療および緊急往診に加えて、がんや心不全などの緩和ケアや看取り、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防と治療、薬局との連携による薬の配達・服薬指導など幅広く対応しています。リハビリテーション指導、エコー検査、人工呼吸器の使用も可能ですし、胃ろうや経鼻カテーテルなど経管栄養の管理も行います。在宅でのケアが難しいといわれるがん終末期の患者さんに対しては、麻酔薬を使った痛みのコントロール、精神科医師による心のケアも含め総合的な緩和ケアを実施しています。「在宅での診療には限界がある、治療のレベルは外来よりも劣る」という誤解から、患者さんやご家族が在宅診療を最初から諦めてしまうようなことだけは避けたいと思っています。

在宅医療は患者本人だけでなく、家族との関わりも大切だと思います。

患者さん本人だけでなく、ご家族がどこまで頑張れるかも重要ですから、ご家族のケアも重視しています。経済的な問題やお仕事のことなどさまざまな事情があると思いますので、当院では先にスタッフが訪問して各ご家庭の希望を聞いた上で慎重に対応します。ご家族の皆さんは本当に大変だと思いますが、最期を自宅で過ごした患者さんのご家族は「在宅医療を選んで本当に良かった」という方が多いんですよ。もちろん、患者さんやご家族が「やっぱり病院に戻る」と希望すれば、無理に在宅医療の継続を提案することはありません。そういう場合はすぐにホスピスや専門病院を紹介できるよう、常に地域医療機関と連携をとっています。訪問診療においては連携が非常に重要ですから、普段から介護士やケアマネジャーの方々とも日々の出来事をリアルタイムで共有しています。

最後に読者へメッセージをお願いします。

植松淳一院長 悠翠会うえまつクリニック6

日本は超高齢社会に突入し、在宅医療の推進が必要不可欠になっています。多くの高齢患者さんが自宅で過ごすことを望んでいても、それがほとんどかなっていないのが現状です。私たちは少しでも多くの患者さんの希望をかなえるお手伝いがしたいと思っています。私は必ず患者さんに「残された時間を、どこで、誰と、どんなふうに過ごしたいかをしっかり考えてください」とお伝えしているんです。そして患者さんの意思が固まったら、それに沿ってできる限りサポートさせていただきます。患者さんの環境や生活はそれぞれ違うので、「この病気にはこの治療を」という正解があるわけではありません。病気だけでなく患者さんやご家族の考え方・生活とじっくり向き合い、ベストな診療をご提案させていただきたいと思います。

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