種田 研一 院長の独自取材記事
平和台皮フ科
(練馬区/平和台駅)
最終更新日:2025/03/24

2021年1月に、平和台駅近くに「平和台皮フ科」を開院した種田研一院長。開業を考えていたところこの場所と出合い、平和台エリアには皮膚科のクリニックが少なく、地域住民が苦労していると聞き開業を決断したという。順天堂大学を卒業後、同大学皮膚科学講座に入局。研究や幅広い診療に携わってきた種田院長は、特にかゆみの診療に精通し、アトピー性皮膚炎の治療にも豊富な経験を持つ。皮膚科のかかりつけ医として多様な症状に対応し、特に皮膚トラブルの多い子どもの診療に注力する。趣味はサーフィンというたくましい風貌と優しい笑顔、気さくな語り口が印象的だ。「わかりやすい説明と質の高い治療、安心して受診できる環境づくりを心がけています」と話す種田院長に、クリニックの特徴や診療にかける思いを聞いた。
(取材日2024年5月29日)
先進的な治療も取り入れ、幅広い皮膚の悩みに対応
まずは、クリニックの特徴を教えてください。

当院は保険診療を中心に、皮膚に関する病気や症状・悩みに幅広く対応する皮膚科クリニックです。地域の皮膚のかかりつけ医院になることをめざして、2021年に開業しました。お子さんからお年寄りまで幅広い層の患者さんが来院されますが、どちらかと言えば30~50代までの若い世代が多い印象がありますね。小さなお子さん連れのママさんなど、ご家族ぐるみでの受診も増えています。受診の理由も、皮膚のかゆみやかぶれ、湿疹、水虫、虫刺され、じんましんのほか、ニキビやアトピー性皮膚炎、円形脱毛症、乾癬など、さまざまですね。また、大きな手術はできませんが、粉瘤や、軟性線維腫と呼ばれる首などにできるイボに対する小手術は行っています。そのほか、しみ、赤ら顔、ほくろのケアなど、保険診療でカバーしきれない肌のお悩みは美容皮膚科で対応しています。
どのような経緯で開業されたのでしょうか。
祖父も父も医師という環境で生まれ育ち、自然に医師を志すようになりました。やりがいがあって、社会に貢献できる仕事と感じていたのですね。順天堂大学を卒業後、同大学医学部附属順天堂医院で臨床研修を終え、同大学皮膚科学講座に入局。同大学の付属病院である浦安病院や静岡市立静岡病院などで、一般的な皮膚科疾患から良性・悪性腫瘍、皮膚外科手術まで、幅広く診療してきました。その後、父が院長を務める皮膚科医院や、静岡県の伊豆今井浜病院でも診療するうちに、そろそろ自分で開業してみたいと考えるようになったのです。そんな時にこの場所と巡り合い、皮膚科が少ないエリアで地域の皆さんも苦労されていると聞いて開業を決意しました。
かゆみやアトピー性皮膚炎が得意分野だと伺っています。

浦安病院に勤務していた時に、かゆみ診療の専門家である高森建二教授のもとで研鑽を積みました。かゆみと一言で言っても幅広いので、一人ひとりの患者さんの訴えや症状をよく把握して、問題解決に導きたいと考えています。また、アトピー性皮膚炎の患者さんの診療にも数多く携わってきました。アトピー性皮膚炎では、新しい注射薬や内服薬も開発され、かなり重症の方でも改善をめざせるようになっています。かゆみの抑制にも有用なので、我慢できずにかいてしまって、またひどくなるという悪循環を絶つことが期待できます。また、免疫反応の抑制を図り紫外線を利用する、エキシマライト治療という方法もあります。患者さんにとってメリットの大きな治療だと思いますので、治療に難渋している方には積極的にご提案するようにしています。
アトピー性皮膚炎の治療や子どもの診療にも注力
アトピー性皮膚炎の治療は、ここ数年で大きく変わってきているそうですね。

はい。肌の保湿とステロイド外用薬、抗アレルギー薬の内服が治療の基本であることは変わりませんが、2018年に皮膚の炎症の原因となる、サイトカインと呼ばれるタンパク質の働きを直接抑えるための生物学的製剤が、2020年にはサイトカインのシグナル伝達に必要な酵素の働きを抑えるのに役立つJAK阻害薬が登場しました。発売当初は使用年齢が限られていましたが、後に小児アトピー性皮膚炎への適用も可能となり、生物学的製剤は生後6ヵ月から、内服のJAK阻害薬は2歳から使用できるようになっています。かゆみなどの症状が強いとよく眠れず、勉強や運動に集中できないなど日常生活に大きな影響を与えます。将来的に病状を悪化させないためにも、まずは炎症をしっかり抑え、かゆみなどの症状をコントロールすることが大切です。医師から全身療法を提案された場合は、前向きに検討していただきたいと思います。
小児患者さんの診療で心がけていることは?
子どもの皮膚は大人より薄くて皮脂が少なく、敏感になりやすいので、肌を健やかに保つスキンケアからサポートしています。私も3児の父ですので、子どもとのコミュニケーションには慣れているつもりです。小児患者さんを診療する際は、優しくフレンドリーに接するよう心がけています。また、保護者の方が毎日お子さんに薬を塗るのも大変なことだと思います。決められた使用量や回数を守れなかったり、塗り忘れてしまったりしても怒らず、「塗ってあげてくださいね」と優しく促すようにしています。外用薬の塗り方については看護師が説明していますので、わからないこと、不安なことがあればいつでもご相談ください。それから、生後2、3ヵ月の赤ちゃんがかかる乳児脂漏性湿疹に、アトピー性皮膚炎が隠れていることがあります。この2つは見分けがつきにくいので、まずは皮膚科を受診していただきたいですね。
皮膚科を受診する、適切なタイミングを教えてください。

「こんな小さなことで受診するのは申し訳ないから」と、まずは市販薬を使って、改善しない場合に受診するというステップを踏む方も多いと思いますが、個人的にはその時間がもったいないと思います。また、市販薬で治れば良いのですが、例えば本当は湿疹なのに水虫薬を使ってしまうなど、誤用によって症状が悪化することもあります。内科などでも皮膚科の薬を処方してもらうことはできますが、症状の程度に合わせて薬を変更するなど細かなコントロールは専門家でなければ難しいと思います。皮膚に関わる症状であれば、まずは皮膚科の医師の診断を受けることをお勧めします。
皮膚の悩みは、専門である皮膚科に相談してほしい
先生の診療方針を教えてください。

皮膚科では、足裏のイボは尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)、ニキビは尋常性ざ瘡という名前があったり、疥癬と乾癬があったり、意外と難しい用語が多いです。できるだけ専門的な用語は言い換え、症状の原因や今後の見込みなどをわかりやすい言葉でお伝えするよう心がけています。それから、患者さんのお話をしっかり聞くことも大切にしています。患者さんには医師に聞いてほしいことがたくさんあると思うので、診察の最初に症状を聞くだけでなく、診察の最後にも「他に聞きたいことはありますか?」とお聞きして、患者さんが言いたいことを全部言えたかどうか、また私の話を理解できたかどうか、確認するようにしています。
ところで、先生自身のスキンケアについて教えてください。
趣味がサーフィンなので、日焼けに気をつけています。あとは乾燥しないように皮膚の保湿に努めています。皮膚が乾燥すると、花粉やほこり、化学繊維の衣服、自分の汗など外からの刺激に弱くなってかゆくなったり、トラブルが起きやすくなったりするのです。保湿はとても重要で、やりすぎということはありません。季節によって保湿剤の剤形を変え一年中使用することが重要です。入浴後、すぐに保湿剤を塗るのが理想的なので、家では子ども3人をお風呂に入れて、お風呂上がりにバーッと一気に保湿剤を塗るようにしています。すぐに逃げるので大変ですが(笑)。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

私が勤務医時代にはまだアトピー性皮膚炎に対する有用な薬がなく、人前に出る仕事ができないと悩まれている方など深いお悩みを持つ患者さんを多く診てきました。しかし、近年では新薬が次々と登場し、従来の治療では良くならなかった方も症状をコントロールすることが期待できるようになっています。同様にニキビ治療も進化しており、保険診療の外用薬や内服薬で改善が見込めるケースが増えています。皮膚の病気は人目につきやすく、悩んでおられる患者さんも多いと思います。だからこそ、治療によって前向きな気持ちになっていただきたいと思っています。皮膚のかかりつけ医として気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは軟性線維腫の小手術/~1mm:1100円、しみのケア/~5mm:5500円、赤ら顔のケア/22000円~、ほくろのケア/~2mm:8800円